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 輪廻転生の女神は準一に質問しました。

「あなたの恋人が今何をやってるのか、覗き見してみませんか?」

「え、そんなことできるんですか?」

 女神は微笑みました。

「ふふ」

 次の瞬間突然2人の前に巨大なディスプレイが現れました。何も質感がない、厚みもない、映像だけのディスプレイです。

 そのディスプレイには箒に乗って空を飛ぶ姫が映ってました。準一は思わずつぶやきます。

「姫・・・」

 姫は姫が図書館と呼んでる小さな建物の前に降り立ちました。準一は安心顔。

「あは、異世界に逃げる気なんだ。よかった・・・」

 準一は安心した顔を見せました。が、その一方で不安も発生しました。姫が異世界に逃げたら、自分は姫と輪廻転生できないのか?

 準一は横目で女神を見ました。さっきの話だとこの女神は、この世界のことだけしか係わることができない? 姫が他の世界に逃げ出してしまったら、輪廻転生できないのではないか? 輪廻転生は2人1組じゃないとできないと言ってたが・・・

 けど、それならそれでいいじゃないか。準一は喜んで自分の輪廻転生を諦めることにしました。

 姫が図書館のドアを開けました。


 ここは図書館の中。姫が入ってきました。姫は書架から1冊の本を取り出しました。薄いけどかなり大きな本です。姫はこの本を面積の狭いテーブルの上に載せ、ページをめくりました。すると魔法円が描かれたページが現れました。この魔法円を床に描くつもりです。

 床に魔法円を描くとなると、かなりのスペースが必要となります。姫はすぐにそのテーブルを移動させました。テーブルは重いうえに姫は隻腕なのでかなり大変そう。

「くーっ・・・」

 なんとかテーブルの移動が完了しました。姫はため息。

「ふーっ・・・」

 姫はもう1つのテーブルを見ました。このテーブルも邪魔になります。が、姫がこのテーブルの足下を見たら、床にビス止めしてありました。唖然とする姫。

「ええ・・・」

 姫はそのテーブルの上を見ました。ドーム状のガラス。その中に収納されてる黒い箱。そう、この箱の中身は、この国の最期の日にこの国の王が読むとされてる本です。

 姫はその箱の前でフリーズしてしまいました。


 黄泉の国の準一は、ディスプレイ越しにそれを見て、

「ええ、姫、それって読んじゃいけない本だろ!」

 そう、その箱の中に入ってる本は、読むと呪いがかかり、ジャスト24時間後に死んでしまうと言われてる本なのです。

 姫は眼を閉じました。いろんな顔が浮かび上がってきます。準一、侍従長、巨漢のコマンダー、将軍、そしてお側ご用人の2人・・・ みんな、自分を守るために死にました。私はこのままの異世界に逃げていいの?

 姫は空に浮く要塞を思い浮かべました。あの空中要塞には、グラニ帝国第2皇子ナルヴィがいます。あいつが敵の最高責任者。あいつになんとかひと泡を吹かせたい・・・ 姫が凝視してる黒い箱。この箱の中に入ってる本は、敵を撃退する魔法が書かれてるはず!

 姫は意を決すると、右手でドーム状のガラスを掴みました。すると不思議な声が聞こえてきました。複数の人の声です。

「いいのか? その本を読むとお前は24時間後に死ぬことになるんだぞ」

「お前、こんなところで死んでいいのか?」

「お前が死ぬと悲しむ者がいるんじゃないか!」

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