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お側ご用人の2人は小銃を乱射。
「くそーっ!」
開け放たれた扉でも近衛兵たちが小銃を乱射。樹々に隠れてる間者たちは身動きが取れなくなりました。悔しがるリーダー格の間者。
「くそーっ、ここまで来たっていうのに、何もできねぇ・・・」
舟が扉の前に着き、すぐに梯子が降ろされ、上にいた近衛兵の1人が半分くらい下り、手を伸ばしました。
「さあ、姫!」
姫はその手を見ますが、動こうとしません。侍従長はそれを見て、
「姫、早く!」
姫はコマンダーの顔を見上げます。コマンダーは姫を見て微笑みます。
「姫、自分は大丈夫です。さあ、上がってください!」
姫は申し訳なさそうにぽつり。
「ご、ごめんなさい・・・」
姫は差し伸べられた近衛兵の手を握ります。そして梯子を上り始めました。間者の1人はそれを見て、
「チャンス!」
その間者が樹の幹から飛び出し、矢を
「もらった!」
「させるか!」
侍女が舟の上で小銃を連射。その間者はあっという間に蜂の巣になってしまいました。
「うぐぁーっ!」
リーダー格の間者は、転がったその間者の身体(死体)を見て、
「ばかやろ・・・」
梯子を上る姫。と、途中で振り返りました。十数本の矢が刺さったまま、大の字で踏ん張ってるコマンダー。姫は再び愕然。
「ああ・・・」
コマンダーは横目で姫を見て、ぽつり。
「姫、なんとしても生き延びてくださいよ・・・」
姫は何か返答しようと思いましたが、いい言葉が思い浮かびません。姫の手を取ってる近衛兵は、無理やり姫の身体を引っ張り上げます。
「姫、早く!」
姫は仕方なく梯子を上ります。次の瞬間姫の背後からドカッ!という大きな音が。けど、姫は振り返ることができませんでした。ただ、唇を噛むだけ。
姫に続いてお側ご用人の2人と船頭役の近衛兵も梯子を上がりした。侍従長は観音開きの扉の片方のドアノブを持って、3人を誘導。
「さあ、早く!」
3人は扉を通り過ぎました。侍従長はさっそく両側のドアノブを握って扉を閉めようとします。が、瞬間コマンダーの方を見ました。
「すまなかった・・・」
バタン! 扉が閉まりました。
ここは宮殿内の廊下。廊下のどん突きには姫、侍従長、2人の侍女、10人ほどの黒服姿の近衛兵がいます。側には小さな観音開きの扉があります。たった今閉ざされた扉です。
侍従長はぽつり。
「くー・・・ やはり最後にもう1回兵を巡回させておくべきだった・・・」
一方姫は顔面蒼白状態になってました。自分と関係の深い人がまた眼の前で殺されてしまった。今回は将軍のときと違って姫自身に落ち度はなかったのですが、ショックは計り知れません。もうこれ以上配下の者が死ぬのは嫌だ。こうなったら・・・
姫は侍従長を見て、
「じぃ、お願い。私の飛行魔法を元に戻して!」
しかし、侍従長は姫の期待に応える気はないようです。
「できません!」
姫はむっとしました。
「なんで? なんでよ!? このままじゃ、みんな死んじゃうよ! 私が箒に乗って逃げれば、それで済むことじゃん!
私、約束するよ! あの要塞には絶対突っ込まない! 準一の仇なんか一切考えないから!」
侍従長は怒鳴ります。
「ダメと言ったらダメです!」
姫は唖然。
「な、なんでよ・・・」
と、姫は何か思いついたようです。姫は懐に右手を入れ、すぐにその手を抜きました。するとその手には軍用拳銃が逃げられてました。それを見てお側ご用人の2人と近衛兵たちはびっくり。
「ひ、姫!?」
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