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 光弾が防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体に命中。すると光弾が当たった箇所に無数のひび割れが発生。びっくりする姫。

「ええ、たった1発で?・・・」

 ひび割れは防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体の半分に及びました。それを見て準一も焦ります。

「くっ、なんて威力だ・・・」

 ブリュンはほくそ笑み、

「なんだ、あなたの魔法、大したことないわねぇ」

 今度はヒルドが光弾銃を撃ちました。

「とどめよ!」

「ちっ!」

 姫は防御魔法スヴェルクーゲルの光を張ったまま、横にスライドしてその光弾を避けます。真正面からではないですが、その光弾がスヴェルクーゲルの光の球体に命中。光の球体はガラスのように粉々に砕け散りました。

 さらに光弾は2人のすぐ脇を通過。準一はそれを避けようとして、体勢を崩してしまいます。

「う・・・

 うわーっ!」

 準一は箒から落ちました。姫はそれに気づき、

「準一ーっ!」

 落下する準一の身体。けど、何か変です。落下スピードが遅いのです。通常ならどんどん加速するはずなのですが、逆にスピードは徐々にスローに。驚く準一。

「あ、あれ、どうなってるんだ?」

 準一はそのままゆっくり脚からテラスに着陸しました。姫はそれを見て微笑みます。

「マナの力・・・ あは、準一のマナの力はやっぱ私以上だったんだ! 私じゃあれ、できないもん!」

 ブリュンは姫を見て、

「ふっ、あなた、さっき言ってたわよね。あなた以外で魔法を使えるものはすべて魔女だと。どうやらあなたのパートナーも魔女だったみたいね」

 姫は反論します。

「そんなことないわよ!」

 と、突然ブリュンが跨ってるマシーンからピーという電子音が。警告音です。

「あら~ バッテリー切れの警告音かしら?」

 ブリュンはヒルドを見て、

「ヒルド、撤退するわよ」

「ええ、どうして、お姉様?」

「警告音が出ちゃったのよ」

 ブリュンは跨ってるマシーンを見て、

「今こいつには、海峡を渡って帰る分しかバッテリーが残ってないのよ」

「せっかくここまで追い詰めたのに・・・ いいわ、こっから先は私1人でやるわ! お姉様は着陸して見てるがいいわ!」

 ブリュンは呆れ気味。

「あ~あ、もう・・・ こういうときは間違いっていうやつが発生しやすくなるんだけど・・・

 ま、いっか。私は着陸してゆっくりと見物するか」

 ブリュンのマシーンはゆっくりと降下し始めました。ヒルドはそれを確認し、次に箒に乗った姫を見ました。

「さあ、行くわよ、女王様!」

 ヒルドが跨ってる空飛ぶ鉄の馬が、姫に向かって突進開始。それを見て焦る準一と、いつの間にか彼の側に来てる侍従長。

「姫ーっ!」

 ヒルドが光弾銃を2発発射。

「死ねーっ!」

 姫は右手で碧いブローチを握り、

防御魔法スヴェルクーゲル!」

 すると防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体が発生。それを見て準一は焦ります。

「くっ、姫の防御魔法スヴェルクーゲルの光は、あの光弾に1発までなら耐えることができるけど、2発目は・・・ なんとか耐えてくれよ・・・」

 2発の光弾が防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体に命中。が、光の球体はそのまま、何も変化がありません。準一はそれを見て、思わずガッツポーズ。

「やった! 耐えることができたーっ!」

 ヒルドの空飛ぶ鉄の馬は、姫の防御魔法スヴェルクーゲルの光の球体の横を通り過ぎ、そして空中急停止、ヒルドはマシーンごと振り向き、姫を見ました。

「ええ、効いてない?」

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