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グラニ帝国軍の手漕ぎボードはまだ20隻以上残存してました。しかしです。残存してるボートに残ってるグラニ帝国軍兵士は、1隻に2人いるかどうか。しかも半数はケガをしてます。これでは話になりません。それでも手漕ぎボードが次々と砂浜に到着しました。
ノルン王国軍の兵たちは、小銃を刀剣に替え、上陸してきたグラニ帝国軍兵士に突進します。巨漢なコマンダーも巨大な半月刀を振り上げ、突撃して行きました。
「うおーっ!」
姫はそれを見て、次に将軍を見ました。
「将軍、殺すのは兵だけにして! 船を漕いできた人たちに危害を加えないで!」
「御意!
皆の者! 船を漕いできたものに手を出すな! 殺していいのは敵兵だけじゃ! これは姫の勅令じゃ!」
兵全員が一斉に応えます。
「御意!」
いよいよグラニ帝国軍とノルン王国軍が激突。しかし、勝負はもう決まったようなもの。グラニ帝国軍の兵は囲まれ、なぶり殺し状態。侍従長はそれを見て、姫に、
「我が軍の圧倒的勝利ですな」
そのとき姫の背後が突然騒がしくなりました。
「うぉーっ!」
その場にいた者すべてが振り返ると、スクルド王国軍の兵たちがこっちに向かって突っ込んで来るところでした。自分の母親の故郷の兵が私を襲ってきた・・・ 茫然とする姫。
「ええ、なんで?・・・」
ほとんどのノルン王国軍の兵はグラニ帝国軍と交戦中。姫とスクルド王国軍の間には、ノルン王国軍の兵は3人しかいません。その3人は両手を広げてスクルド王国軍の行く手を阻みます。
「謀反だーっ!」
「くそーっ、裏切り者めーっ!」
スクルド王国軍の兵たちが走りながら小銃を撃ちます。
「邪魔すんなーっ!」
実は彼らは、グラニ帝国軍と交戦中、小銃を構えていただけでした。銃弾を温存してたのです。
3人のノルン王国軍の兵はあっという間に蜂の巣に。それを見て姫は愕然とします。
「ああ・・・」
「姫ーっ!」
侍従長は姫の身体を抱きしめようとします。自らの身体を盾にする気のようです。けど、姫はその侍従長の身体を両手で突き放しました。
「じぃ、来ないで!」
「うわっ!」
侍従長は尻もち。姫は首からぶら下げた碧のブローチを右手で握り、叫びます。
「
スクルド王国軍の兵たちは立ち止まり、
「撃てーっ!」
一斉射撃。その銃弾が姫の身体に向かっていきます。思わず声をあげる侍従長。
「姫ーっ!」
姫の身体に銃弾が当たる寸前、何かが銃弾を弾きました。
「な、なんだ、この光は?・・・」
一方、侍従長はほっとしてます。
「姫の、姫の先祖のブローチが姫を救ってくれた・・・」
しかしです。スクルド王国軍の兵の一斉射撃を浴びてるうち、
「え?」
そのひびが光の球体のあちらこちらで発生。それを見た侍従長。
「こ、これはマズい・・・」
将軍。
「
準一も焦ってます。
「姫ーっ!」
小銃を連射し続けるスクルド王国軍の兵たち。
「よーし、もう少し、もう少しであの光の障壁が破れるぞ!」
「撃て! 撃て! 撃てーっ!」
姫は歯を喰いしばって耐えるしかありません。
「くーっ・・・」
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