好奇心いっぱい リトルクイーンのいけない魔法《マジック》

27

「なんなんだよ、これはーっ!?」

　ここはそんなボートの１つ。手元に弾丸が着弾し、漕ぎ手の１人がびっくり。

「ひーっ！」

　その反対側に乗ってた漕ぎ手の後頭部に弾丸が命中。１つ後ろの漕ぎ手の後頭部にその脳みそがべっちょりと飛び散ります。脳みそを浴びた漕ぎ手も悲鳴をあげました。

「ぐわーっ！」

　その漕ぎ手は兵に訴えます。

「こ、これ以上進んだら、オレたち、やつらの餌食になってしまいますよ～！　もう引き返しましょう！」

　次の瞬間、その漕ぎ手が影に覆われ、漕ぎ手の顔は恐怖にひきつりました。

「な、なにを･･･」

　影の正体は巨漢のグラニ帝国軍の兵でした。兵は持ってたこん棒を振りました。とげとげがいっぱいついた金属製のこん棒です。次の瞬間漕ぎ手の首は消滅。切断箇所から血がドバーッと吹き出しました。それを見て他の漕ぎ手は縮み込みました。

「ひーっ！･･･」

　こん棒を持った兵。

「お前ら奴隷どもがオレたちに命令するなんざ、100万年早いわ！　黙って漕げ！」

　漕ぎ手たちは呆気に取られてフリーズ。するとこん棒を持った兵が身近にいた漕ぎ手の頭をこん棒で殴打。

「漕げと言ってんだよ、オラーっ！」

　その頭は宙を飛び、数十メートル先の海に落下。漕ぎ手たちはもう泣きそう。

「あ、ああ･･･ す、すみません！」

　漕ぎ手たちは謝罪するや否や、一斉に漕ぎ始めました。こん棒を持った兵はニャッと笑いました。

「わかりゃいいんだよ、わかりゃ！」

　次の瞬間、その兵の右眼に弾丸が的中。

「ぐおーっ！　眼が、眼がーっ！」

　兵は両手で顔を覆います。と、その兵の身体が物凄い勢いでバックし始めました。数人の漕ぎ手がこの兵をラクビーのようにタックルしてるのです。これではいくら兵が巨大であっても、一溜りもありません。兵は海にドブーンと落下。それを見た別の巨漢の兵が、

「お前ら、何やってる！」

　この兵にも別の複数の漕ぎ手が背後からタックル。兵は思わず悲鳴。

「うわっ！」

　その兵も海にザブーンと落ちました。兵は騎馬民族な上に、重い鎧を纏ってます。当然泳げません。水中であっぷあっぷ状態です。

「うぐぉ～　助けてくれーっ！　助けてくれよ～！　頼む･･･」

　兵はそのまま水中に没しました。それを見ていた漕ぎ手の１人が振り返り、

「よーし、みんな、引き返すぞ！」

　手漕ぎボートはＵターンを開始。他の手漕ぎボートでも漕ぎ手たちが続々と反乱を起こし、乗っていた兵を次々と海に突き落とします。そしてＵターン。元来た方向へ帰って行きました。