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 侍従長の説明が続いてます。

「ただ、対岸に放った間者によると、やつらは地元民をすべて奴隷化し、大きな手漕ぎボードを何艘も造らせてるようです」

「へ~」

「我々にとって唯一の救いは、やつらは帆は造れなかったことでしょうか。帆船だったら一度に大量の兵を連れてくるのでしょうが、その危険性は今のところはないようです。

 ま、いずれにせよ、やつらが近々手漕ぎボードに乗って攻めて来ることは確か」

 ここで準一は頭にぽっと浮かんだ疑問をストレートに言葉にしました。

「これを機にウルズ王国とスクルド王国も攻めてくる、なんてことはないのですか?」

「左様。ただ、50年前の事件の制裁でこの2つの国は、軍艦や大型の船舶の所持は禁止になってます」

「国境線沿いの山脈のお蔭で、陸路で攻めて来ることもないか・・・」

 侍従長は地図のノルン連合王国の一番左端を指さし、

「しかし、今年に入ってヴェルザンディ公国は、遠くの国から大型船舶を何隻か仕入れてるという情報があります。もしかしたらその船舶は、ウルズ王国とスクルド王国が購入した軍艦かもしれません」

「前門の虎後門の狼かよ・・・」

「この国の存亡の危機を考えて、姫は命がけであなたを異世界から連れてきたのですぞ。わかってますか?」

 準一は堅苦しい笑顔を見せ、

「あは、わかってますよ」

「あなたの活躍に期待してますぞ」

 ここで準一は頭の中にずーっと浮かんでた疑問を侍従長にぶつけてみることにしました。

「あの~ お姫様は今12歳なんですか?」

「左様」

「12歳にしてはずいぶんおませなような気がするんですが? この世界の女の子て、たいてい12歳までに性的な経験を済ませておくんですか?」

「ふふ、まさか。あなたの世界では、12歳になるまでたいていのことを済ませておくんですかな、女子は?」

「あはは、まさかあ。

 え~と、じぃでしたっけ?」

「はい。ま、正確な役職は侍従長ですが」

「じゃ、侍従長様。さっきオレを指差して、この男はベッドの中で本性を剥き出しにしますぞ! と大きな声で言いましたよね」

「お気を損ねましたか? 申し訳ございません」

「いや、逆ですよ。もし隣りにあんなにかわいいが寝ていたら、オレ、絶対手をだしてたと思います。止めてくれてありがとうございます」

「いえいえ、これが侍従長の務め。

 今日はもう遅くなりました。そろそろご就寝ください」

「わかりました」

 準一は立ち上がりました。


 ここは女王(姫)専用の浴室。前回と同じ宮殿内の浴室です。

 何1つ纏ってないお側ご用人の2人が抱き合ってます。2人は激しいキスの最中。身長差があるので侍従が侍女を真上からキスしてる感じ。

 侍従は多少鍛えてるのか、ちょっと立派な身体。侍女の肌は透き通るような純白。ただ、背中には巨大な魔法円の刺青があります。同じ魔法円は侍従の左二の腕にも見られました。

 ねっちょりと絡み合う2人の舌。2人の身体は若干開いていてこの濃厚なキスを誰かに見せているようです。キスを見ていたのは姫でした。

 姫もやっぱり素っ裸。フロ用のイスに座ってます。自慢の長髪はシニヨンにまとめてます。右手の指は自分の股間をまさぐってます。脚はちょっと開いてる感じ。顔は赤くなってます。ハァハァと少し荒い息。

 姫は真っ赤になってる侍女の顔に注目し、心の中でつぶやきました。

「まただ。また違う顔になってる。なんでいつもと違う顔になるの?・・・」

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