第10話 活字への芽生え

あたしが、23歳の頃。


会社の後輩の18歳の子が、面白いからって、小説を貸してくれた。


確か、ミステリーものだったと思う。


それまで、あたしは、活字の本なんて、数えるくらいしか、読んでこなかった。


漫画かファッション雑誌、趣味の本ばかり。


自分より後輩の5歳も下の子が小説を読んでいるのに、あたしは社会人として、恥ずかしい。ヤバい。終わってる。という危機感が生まれた。


恥ずかしけど、だいぶ遅い、「読書」デビューです。



その夏は、2ヶ月で、100冊の本を読もうと目標を立てた。


文字通り、本の虫となり、手当たり次第、読みまくった。


家にある両親や兄弟の本、職場の先輩から借りたり、図書館で借りたり、ブックオフで100円の本を買ったりした。


どのジャンルの本も面白かった。新しい世界が広がった。


あたしの趣味に「読書」が加わった。



それからは、本を読む習慣ができた。


会社のHPで、ブログ担当になった時も、文章に悩むことがなくなった。


それもこれも、あの時、彼女があたしに本を貸してくれたからだ。


彼女にはもう長い間会っていないけど、きっかけを与えてくれた彼女には感謝しているし、彼女の存在はきっと忘れることはないと思う。


ありがとう。

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