プロローグ

1,プロローグ(旧作 赤い髪のリリスのあらすじ)

世界は、いくつものページに分かれて、平行して時間が流れている。

そう解釈された本が、アトラーナの魔導師の塔にある古文書には残っている。


一つのページは、きらびやかで、便利に満ちあふれた文明というものが発展した国ニッポンというものに繋がり、そして間に狭間はざまのページが幾重いくえにもつらなって、その先にアトラーナのある世界のページが大きく広がる。

ニッポンとは、日本とも言うらしいがどんな世界なのか、それは良くわかっていない。

狭間を行き来する力を持つものだけの、他の世界を見る事が出来る特権だ。


さて、この話はアトラーナという国の話。

ここは精霊の国と言われ、一握りの王族と、そして騎士や戦士、貴族、魔導師たちが階級を作って国を治め、石で出来た城を構え、隣国と牽制けんせいし合う……そう、中世のような世界を織りなしている。


地水火風の精霊たちにはそれぞれ精霊王が君臨くんりんし、人間の巫子が仕え、今では地と水の神殿が残って栄えている。

簡単に言うとそんな国の話だ。


魔導師リリスはその赤い髪と色違いの目と言う奇異な姿から生後すぐに捨てられ、魔導師を育てていた風の精霊王セフィーリアに引き取られて育てられた。

赤い髪は、250年ほど昔にあったアトラーナの厄災で、国を滅ぼそうとした赤い髪の魔女リリサレーンを彷彿ほうふつとさせる為に、アトラーナではみ嫌われるのだ。


彼は親無し子として城から来る養育係に厳しくしつけられ、使用人としてそれは厳しくしつけられながらもセフィーリアに愛情を注がれて、魔導師としても能力を大きく伸ばしていた。


そんな彼が、表舞台に出たのは王子との『ラーナブラッドのちかい』の旅。

世継ぎの王子が13歳になると、精霊王の承認と忠誠を再確認する『ラーナブラッドの誓い』の旅に出なければならない。


と言う訳で、13歳になった世継ぎの王子キアナルーサは、リリスと騎士ザレルを従え出発!


…したものの、わがまま王子に振り回され、異世界日本のヴァシュラムの元を目指す時に肝心の石を落とす始末。


そこで出会ったアイやヨーコたち中学生3人と、アトラーナに戻って旅を共にすることになったものの、地の精霊王ヴァシュラム、水の精霊王シールーンと、なかなか認めて貰えない。

その上叔父のベスレムに住まうラグンベルクに命を狙われ、リリスは王子をかばって重傷を負ってしまう。


そして、最後に訪れた、山で眠りについていた火の精霊王フレアゴート。


フレアゴートは、自分の巫子を魔女扱いされた上に、同じ髪の色をした子が生まれるたびに殺されるのを見て、絶望感にさいなまれていたのだ。

そこに来た王子に、彼はとうとう秘密の暴露ばくろをしてしまう。


それは、「リリスこそ王の長子、真の世継ぎの王子はリリスである」という言葉だった。


愕然がくぜんとするキアナルーサ。

だが、うろたえる王子に、リリスは自分がこの旅に選ばれた理由を察し、崖から飛び降りてしまう。


彼を見守っていた風の精霊王セフィーリアは激怒し、フレアゴートに戦いを望む。

だが、そこに現れたヴァシュラムにさとされ、精霊王たちは二度と王族が髪の色で過ちを起こさない事を条件に、キアナルーサを認めてラーナブラッドに誓いを果たす。


その後リリスは傷の治りが悪く、心配したザレルもセフィーリアの館に転がり込んで共に暮らすようになり、リリスは家族を得て幸せに暮らした。




と、旧作はここまで。

リリスは結局それまでと変わらず、セフィーリアの館で騎士長に昇進したザレルと共に3人で暮らしていた。


しかし、それから2年後……


秘密はうわさとなり、それは出が王族であるラグンベルクからと言う事もあって、リリスの知らぬ所で彼を利用して覇権はけんを狙おうと考えるものまで出る始末。


実際、彼の元にはキアナルーサではなく、彼を傀儡かいらいとして立てようとした者達が接触を試みようとし始めていた。

リリスは世を乱す事は望まず、セフィーリアに相談する。


そして、彼は日本のヴァシュラムの元へ…………


静かに、普通の暮らしが始まっていた。


しかし、そこから、物語が始まる。

時はすべてのコマをそろえ、厄災の時代から続くアトラーナのねじれを解消して行く。


時代を超えて、関わる人々を巻き込んで。

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