秘密結社 NTRe
黒糖
第1話 僕は石定シンゴ
僕の住む町は新生第四真東京。愛称『おいでませトーキョー』。
此処に住む人々には活気が無く引き篭りが多い。たまに出会った人も目が死んでいる。
それは…日常に刺激がないからだった
僕は石定シンゴ(せきじょう しんご)
高校二年、バリバリの包茎だ。
家は一軒家…だけど僕一人暮らし。母さんは10年ちょっと前に蒸発したから…記憶に残る思い出がない。もう慣れたとはいえ、寂しいのは確か。
父さんも三年くらい前から家に帰って来なくなる。生活費として月々、口座にお金は振り込んでくれているけど。
僕は父さんが何か凄い仕事をしているのではないか?と薄々気付いている。たぶん母さんにも関わる事ではないかと思うんだ。
父さんは父さんなりに頑張っているみたいだし……僕も去年高校生になってから自分なりに母さんを捜してはみた。
だけどダメだった
ガキが出来ることなんか知れている。僕の小遣いじゃ探偵を雇うことなんてできやしない。ましてや素人の僕の聞き込みなんて何の情報も得られやしない。
僕は途方に暮れたんだ
何の手掛かりも得られないまま一年が経つ。
春になった。
二年生になった僕は…
(冒頭に戻る)
♦︎
「シンゴまたなー」
「ああ、また明日ね」
学校帰り友達と別れて自宅がある方へ。今日は部活が無かったので、いつもよりかなり早い帰宅になる。
急いで帰っても『おかえり』と言ってくれる人はいない。アイツが羨ましいな…
道草でもしy
" ドンッ!"
「?! いってぇ!!…な?」
エンジン音が無い?
まさか電気軽トラかっ?!
背後から僕に軽トラが突っ込んで来た。幸いにもサイドミラーに接触しただけだったから『痛い』で済んだんだけど。
僕は文句の一つでも言ってやろうと軽トラに近づいて行くと、助席に最接近した所でドアが開く
「君がシンゴ君ね?」
黒髪の綺麗な人だった
「あっ?! 見えてますよ…モロに!」
お姉さんは大股開き。秘境はジャングルだった。まるでウニを股間に着けているような、そんな感じ。
「分かる? 履いてないのよ」
「?!」
その時、僕はオトナの階段を一つ登ったんだ
そう、これが鏑木チサト…彼女との出会い。
僕がラバーデリオンの初号機として活躍するきっかけだった。
♦︎
「で、チサトさん。僕をどこに連れて行くの?」
カップホルダーに、水を並々と入れたカップを置き…溢さないようにドリフトを楽しむチサトさんに尋ねる。
「貴方のお父様…石定司令がいる場所よ」
「父さんの職場に行くんですか?!」
父さんを三年くらい見てないし、職場を見学するなんて初めてだ。…カップの中に水なんて残って無いじゃないか!
「そうよ。…でもねいい? 今から行く場所は最重要機密満載の場所なの。例え尻の穴が裂けても喋ったらダメだからね」
「………」
「…どうしたの?お父さんに会うのが怖い?」
「違うんです…。どんな顔して会えばいいのか分かんなくて。母さんが蒸発して…僕は父さんと二人で生きてきました。
でも……ある日突然、父さんが消えたんです。僕の机の上にコンドーム(半分使用済み)を置いて!
書き置きには『避妊しろよ?』とだけ広告の余白に書いてありました。裏の白紙ならまだ分かりますよ? しかも中途半端に達筆だから、見落とすとこでしたよっ。
チサトさんには僕の気持ちなんて…分かんないでしょ?!」
「思春期ねー」
♦︎
「着いたわ」
最重要機密と聞かされたから山にあるトンネルを通り、地底奥深く入った場所に…をイメージしていたんだけど…
ネオン街に来ていた。
酔っ払いのサラリーマンや若者のグループが屯ってた場所を過ぎ、今はカップルが腕を組んだり、いちゃついてる姿しか見えなくなっていた。
そう、この場所は…
「え?…ここってラブホじゃ…。
…もしかして筆下ろしですか?!僕、男になるんですね!」
「違うわ。この地下…すっごく下に基地があるのよ。この建物は謂わば入り口ね。ただのハリボテなのよ、これ」
「悔しいです!!」
「じゃ、行きましょう」
期待に股間を膨らませた僕は、あまり擦れないように後をついて歩いた
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