シェア始めました
岡上 山羊
第1話 鈴木 修斗①
親の期待なんて子供にとってみたら、ウザったい以外の何物でもない。大体、生まれてすぐに、この子にどんな能力があるのか、どんな可能性があるのか、なんて親であっても分かるはずもない。
なのに “親の期待” と言うものだけで希望的観測な名前を付け、自分たちの不足を埋める為だけに教育を施し、それが満ち足りないとみるや、途端に放任主義と言うベクトルに方向転換する。正直、うんざりだ。
俺の名前から分かるかどうかは分からないが、ウチの父親は、
だけど選手として大成したかと問われると、恐らく “うーん、もしもの話しだから言いきれないけど、そこそこ行けたと思う” などと曖昧に答える事だろう。
それで生まれた俺に対する期待が名前に現れる訳だ。修斗。漢字に意味なんてない。ただ韻が “シュート” だから。
ただ残念な事に、俺にサッカーは
俺にとってしてみれば、名字の “鈴木” 通りに、在り来りで平凡な、なんの特殊能力もない、極一般的な人間である事を、親の教育方針により、知らしめさせられただけだった。
俺は中高と適当にサッカー部に所属し、適当に努力している振りをして、大学へ進学した。目標があった訳でもなんでもなく、現実逃避の為だけに大学に入学したのだ。
もちろんだが、この頃になると、サッカー選手としての芽なんて皆無だった。だからたまたま入った法学部と言う所属を理由に、法律家を目指すと言う、
そして俺はこの“夢見荘” へ入居したのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます