東江とーゆ

第1話 はじまり

高校のグラウンドに積み上げられた、無数のバラバラ死体。


目撃者は突如空中から、それが現れたと証言する。


警察やマスコミ、野次馬にカルト集団が学校を取り巻き、生徒たちは直ちに帰宅させられる。


メディアやネットは、この怪事件一色に染まり、当分の間休校となることが予想された。


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しかし一夜明けて、事件は夢のように消えてしまう。しかも誰も事件を憶えていないのだ。


3年生の望月翼と、その恋人で1年生の大友渚の2人以外は。


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事件を憶えている2人には、グランドの死体が積み上げられていた場所に、横倒しになって地中に半分埋まっている、禿頭の巨大な顔が見えていた。


他の人たちは見えていないが、ぶつかったりして転ぶことはある。


転んだ人は不思議そうな顔をするが、不意に転んでしまったくらいに思い、それ以上気にすることはない。


大きい顔の方は声は出さないが、人がぶつかったり、ボールがぶつかると、顔をしかめて嫌そうな表情になる。


とはいえ大きな顔は、元から面白くなさそうな顔をして辺りを通り過ぎる人たちを睨んでいるから、ぶつかろうが何もなくても、然程表情に変化はなかった。

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