第2話 ふたりの天使 ②

「お母さま、ルカはいつまでこんな格好をしていなきゃいけないの。

お兄さまのように、もっと飛んだり跳ねたり走ったりしやすいお洋服がきたい。

こんなお洋服着てるから、ルカは今日、転んじゃったんだ。

ルカ、こんなお洋服、もう着たくない!」


 ルカは母に泣いて訴えたが、逆に母はルカを叱った。


「だめよ、ルカ。ルカはこの町では男の子ではなくて、女の子なの。

 名前はエカテリーナ。

 いいわね。そうでないとお兄ちゃんと一緒に、いられなくなるのよ。

 それでもいいの?」


 その母の言葉にルカは、また泣いて、

「いやだ! ルカはおにいちゃんと一緒にいる!」

と言った。


 母はふたりの子供たちが不憫で泣いた。

 ふたりの子供たちは、父親が違った。


 そのことがふたりの子供たちが、隠れて暮らさなければならない大きな理由でもあったのだが、母は上の子の父親の名前を、実の兄にも決して話せなかった。


 ふたりの子供たちはどちらも高貴な血を引いていたのだが、訳あって、そのことを

公にすることはできないのだった。


 そしてそれゆへ、子供たちは複数の組織から狙われ、追われていた。



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