アトラス世界旅行記
グリーンティー
第0篇 プロローグ:海の国にて
これは私の物語です……
私が生まれたのは、「海の国」と呼ばれる国です。国とは言いますが、この世界でいう「国」とは、小さな国を束ねるものでしかなく、強い力を持つものではありません……少なくとも「海の国」は。
小さな国とは、すなわち市や町、村を指します。しかし、これは逆に、想像するよりも大きな共同体となります。城壁を築き、自らの領土を守っています。
私は、海の国にある、海辺の町で生まれ、育ちました。15歳になると、私は自らが生まれた町の自警団に入るため、国立の剣術学校に進学、たくさんの技術と知識を詰め込まれ、18歳で卒業しました。
晴れて自警団となった私でしたが、この町はとても閉じた社会でした。この大陸には10個の国があるといわれていますが、唯一、海の国だけが島国であり、どこの国とも隣接していません。そのため、外界に疎いのです。ですから、かつてほかの国から攻め込まれたこともありました。その時の反省をもとに、今の国立剣術学校が設立されたという経緯があります。
緑色の瞳を輝かせ、肩の上あたりで切りそろえられた金色の髪を風になびかせる少女は、アトラスといいます。旅人らしく、装飾があまりない、しかし彼女のかわいらしい容姿をより引き立たせる淡い水色の服は、彼女の目の前に広がる海の色を反射しているようでした。
彼女は、この朝、海辺の町を出発するのでした――
たくさんの希望を胸に。
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