作られた価値観、作る価値観

隅田 天美

他人が作った価値観、自分が作り出す価値観

 多くの犠牲者を出した東日本大震災から約十年。

 現在、日本と言うか世界中がコロナ禍の真っ只中にいる。

 正直、ネットやニュース、周囲の人間を観察していると『人って十年じゃあ変わらないんだなぁ』と失望もする。

 いや、心が弱くなったとも言える。

 被害者を虐める、訳の分からない噂やデマの流布、芸能人叩き、一方的な正義の押し付け……

 これらは、東日本大震災の時にみんな文字通り「嫌っ!」って言うほど味わったはずなのに、同じことを繰り返している。

 なるほど。

『歴史は繰り返す』とはよく言ったものだ。


 しかし、やっている本人は「正義の味方」なのだ。

――自分の生活を守るため

――日本を守るため

 とかなんとか……

 でも、本当にそう思っているかは不明である。

 大抵は反論されるとキレる。

 SNSでいうのならアクセス禁止したりブロックをする。

 そこに正義の味方の姿はあるだろうか?

 私的には正義の味方マンごっこをしている子供とさして変わらない。

 周りから「わー、凄いですねぇ」とか「尊敬します」なんて言われたいだけだ。

 対して知識や情報があるわけでもなく、そこに何の哲学もなければ生き様もない。

 質が悪いのは、そこに利権や金儲けの連中が群がって本人をいい気にさせる。


 余談にもなるが、私たちは北朝鮮テレビで「将軍様、ばんざーい!」なんていう映像を「うわー、独裁国家だなぁ」と笑うことがある。

 でも、テレビのワイドショーはまさに「○○(司会者)ばんざーい!}という北朝鮮国民と何ら変わらない。


 さらに、質が悪くなるとそういう頭の悪い連中から金を巻き上げる。

 褒められること依存症になっている人間は、褒められない人間=価値がないと思っているので金を惜しげもなく差し出す。


 そういう光景を私はネットや会社で否応なく見てきた。

 まあ、そこは、個々の政治思想とかあるので詳しくは書かないが、俗にイキっている人間を見るとぶん殴りたくなる。

 褒められることだけを生きがいにして、生きていく。

 なんと空しい人間なんだろう?

 しかし、その空しい人間はこの十年で増え、文学の世界にも影響を与えている。


 それが「テンプレ作家」の登場だ。

 テンプレ、テンプレートを使う作家のことを指すそうだが、私は自給自足タイプの作家のため、ほとんど読んだことがないが内容は大体察する。

「ざまぁ系」「ハーレム」「俺TUEEE!」

 そんなに失敗が怖いのだろうか?

「自分は、自分だけのジャンルを作ってやる!」という気概はないのだろうか?


 日本の教育制度は平等であり成功主義だ。

 間違えたり特別扱いすることは悪とされていた。

私は今まで「味方だと思っていた同級生が真偽も不明な噂だけで翌日、敵になる」と言うのを味わって以来、人を信じることが苦手になっている。

 師匠(原幌平晴氏)はチャットなどで話すとき、根拠を元に話すのでだいぶ楽なのだが、それでも、百パーセント信じているかと問われれば難しい部分はある。

 だから、私は普通の人より多分考えることが多い。

 その分、自分の価値を作って、時にはそれを元に行動をした。

 いい経験、悪い経験、辛い事、楽しい事……

 それらはアイディアになり小説になる。

 先の「ざまぁ系」「ハーレム」「俺TUEEE!」を見ているとイキっている割に読者に嫌われたくない媚びた心見え透いて嫌になる。

 自分の価値観を示すことは、実はとても勇気がいる。

 味方はない。(賛同者は出てくれるかもしれないけど)

 批判も嘲笑も全部ひとりで背負う。

(もっとも、アマチュアは作家ではない故に例外かも知れないけど)

 責任は全部ひとりだ。

 でも。

 だから。

 誰かの心に私の言葉の何かが刺さり、響き、感想をもらえるととても嬉しいのだ。


 ある今は亡き俳優が生前、こんなことを言っていた。

「二十代、三十代は悩み抜け。誰のせいにもするな。そうすれば、道は見つかる」



(今回は、ほぼ思っていることをそのまま書きました。傷つけたならごめんなさい)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

作られた価値観、作る価値観 隅田 天美 @sumida-amami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ