第15話 加納家の三賀日

とんだクリスマスが過ぎ、もう直ぐ

お正月がやって来る。



元日、悠里と桜佑は本家爺様に

年始の挨拶へ二人揃って

行く事が決まっている。


本家では着物を着るのが慣わしだが

まだ挙式は予定では二年後あくまでも

予定だ、着物なんて悠里は、持っていない。


桜佑が着物を買うと言って

二人で着物を見に言った。

悠里はこういう買い物は無頓着


京都の老舗の支店に足を運んだ。

悠里の目は爛々


「うっワ━━━綺麗」



悠里は次々と羽織らせて貰い

赤い牡丹の振袖を手に取って

超ご機嫌。


桜佑もグリーンの着物に決めて

帯も一式揃えて桜佑の、お会計は

済んでいた。



「悠里、決まったか‼」



「うっ、あ、ううん、あんまり

好きな の無いかな━━━ゴメン‼」



ホントは赤い牡丹の振袖が

欲しかった。

しかし手に入れれる訳も無い‼

金が無い‼(´⚲_⚲`)


サラサラとした手触りの生地が肌に

ピッタリ張り付いて着心地も良く

悠里の顔をパアアッと、明るく

華やかに写してくれる。



しかし・・・・!

先立っモノがニャイ‼.。oO💸💰



「ゴメンね、お金が足りない

から買えない。」

なんて口に出していえない。


そう言えば桜祐は

またギャハハ大笑いして金無いのに

着物着る気?とギャハハと笑うだろう

あの日も笑われた金無いのに高校

行く気だったのかと

偽金持ちの貧乏人と

馬鹿にした後、情けで買って

くれる流れ


それに・・・💦

三上の、家はそんな支度してくれない。

赤の他人には金を使わないタイプ

だからと言って

16歳の悠里がそんな大金持ってナイ‼


悠里は2万位で買えると思って

ノコノコ桜佑に付いて来たが



Oの多さにﻌﻌﻌﻌもうビックリ‼

それに帯、足袋、帯締め、半衿

バックに、草履etc

合わせて合わせてン十万

こんな高いのをポンと買えるなんて

桜佑は凄い。



悠里にはそんな💰‼️無い💦‼

着物に捧げる大金は無い‼

桜祐にそれは言え無い🙊



「そっか‼

違う店まわるか?」


「ええっううん、帰ろ‼

やっぱ気に入ったのが欲しいし

ね、ね、ゴメン‼」



「でも日にちが無いぞ‼」



「あ、まだ学生だし制服でいいよ

別に着物着なくてもいいし

しかも似合わないし‼

七五三にも着ていないし!

今更」



桜佑は暫く考えていたが

悠里が支払の事を

気にしているなんて思いもしなかった。

それくらいの器量は俺にもある。

それを知らない俺は


「そうかぁ

悠里がそう言うなら、分かった。」


と了承してしまった。



それから桜佑と買い物をして帰る。

今日の晩ご飯は・・


ヤッパリすき焼き、すき焼き大好き‼


肉は細切れで充分

ネギ、白菜野菜をいっぱい買う。

今日は桜佑の運転だから

大量に買い込める。


白菜も安いから五玉購入‼



桜佑は何に使うのかと不思議顔

ホームセンターによって

漬物樽を購入

早速マンションのベランダに

白菜を五玉半分に切りベランダに

干した。



朝食で食べたりんごを剥いた皮と

何故か柿の皮も白菜と並べて干した。

次の日も白菜を干して、悠里は

バイトへ桜佑は会社へと

向かう。



悠里はギリギリ、31日までバイトを

入れていた。


加納の家では、元旦朝から、

玄関からの女性の出入りは禁止


何でも朝から女性がバタバタと

出入りすると一年中騒がしい

と言う江戸時代から、加納家代々

の言い伝えらしい。


の、せいなのかは知らないけど

加納家に関係のある女の人は

裏口から出入りするらしい。

定かでは無い‼




だから悠里も、お昼からの

訪問になったが桜佑は嫡男跡取り

の為元旦、朝から本家に居た。


ややこしい事は良く分からないが

それなりの意味があるらしい。

悠里もチャリを萌から借りて

加納の家に行く。

高い欅の木の下に自転車を括り付け

カチッと鍵をする。


鍵は無くさないように制服の

ポケットにいれた


時間は11:00

ちょっと早かったかな?

とスマホをポチポチしながら

玄関に向かうと


「ちょっとちょっと、

早く早く、何遅れてるの💢」


見た事のないコワイおばさんが

急げ、急げと急かせてくる。


「え、あ、はい。

すみません。」


おじい様が待ちかねてるのか?

まさか?とか考えながらついて行く。


「はい、制服脱いでね

着替えはここよ!

早くしなさい。

お客様絶えないんだから

がんばんなさいよ。」


悠里は棒立ちでポカーン。


同じ年頃の子達が4、5人着替えを

していた。


悠里はその子達に聞いてみた。


「え・・・と皆何してるの?」


え(๑°⌓°๑)

「あんた誰?バイトじゃないなら

出て行きなよ!

どっかの、お嬢様?」


「いえ、あ・・・の‼」

家柄は三上だが扱いはパシリ&

家政婦、こういう場合、お嬢様と

呼べるのだろうか・・

返事に困っていると


「早く着替えないと

また怒られるよ!

私達バイトなんだからね‼」


悠里は、ビックリした。

「ば、バイト?」

加納の家は、正月にバイトを

入れる程忙しいの?


「ほらほらー

あんたも着替えないと‼」


急き立てられるように壁に

かけてあるピンクの作務衣に

着替え髪を一括りにする。


「桜佑、お前の許婚は何しとる!

もう12:00だぞ、寝とるのか💢

だらしない!💢」

加納一大は、ご立腹‼


「あ、いや、スマホも繋がら

無くて、どうしたのか‼

俺見てきます!」


飛び出そうとする桜祐を一喝

「まて‼」



「お前は跡取りだ‼

正月から家を開けてどうする‼」


「しかし・・・何かあってたら」

桜祐は落ちつかない様子


「真壁、真━━━━壁‼」

「はい。」


スーツ姿の真壁瑞希は会長

お気に入りの秘書(29)である。

身長170、体重50のスレンダー美人

頭も良くて気も効く。

ミディアムヘアーはキャリアウーマン

の厳つさを和らげ、一見穏やかそう

にみえる。


「見て来てくれ‼」

会長の一言にスッと動き出す。


「はい。」

真壁は、静かに立ち

車を走らせる。


「あーこんな事なら一緒に

連れて来れば良かった。」


ふと桜佑から零れる言葉に

桜佑の祖母雪乃は


「まあまあ、仲が宜しくて

何よりね。」


とカッカする桜佑の祖父

を横目にニコニコ。

そうこうしていると厳格な父親

と母親が祖父母に新年の挨拶に

カナダから帰って来た。


「お父さん、お母さん

新年明けましておめでとう

ございます。」

桜佑の両親は頭を下げた。


桜佑には弟がいて、

父親は婿養子に出た。

生まれた、最初の男の子、つまり

桜佑が20歳になったら加納の

名を取ることが決まっていた。


母親は家は代々商売をしていて

長女、父親は一人息子

最初の息子を加納の跡取りにする

その条件で結婚を許したと言う。

商売はうまく軌道に乗り


日本食がブームの今

あと二年はカナダ暮し、そしたら

日本へ帰って来るらしい。


「桜佑の嫁が決まったと聞き

ましたが何処にいる?」


「ほんとに早くお目にかかりたいわ。」

母親はどんな娘か興味津々


そう聞かれた桜佑は、

「ちょっと用事で出ています。」

母親は「用事?元旦から?」

キッと顔を強ばらせた。

俺としても気を使う。


母はちょっと気難しい。



バタバタと足音がして

真壁が帰って来て


「桜佑様・・ちょっと‼」

と膝をつき桜佑に耳打ちする。



「マンションに行って参りましたが

あ、お部屋は綺麗にされていて

・・・でも悠里様はいらっしゃい

ませんでした。」


桜佑は、眉をしかめ

「いない?」


「はい、いらっしゃいません。」

キッパリ

「会長にはなんと御報告

しましょうか?」


「う・・・!」


「真壁、ちょっと外で話そう。」

2人はコソコソと席を立ち

「直ぐ戻ります。」

廊下に出て真壁と相談をして

いた時‼



バタバタバタバタ

「ちょっと、ちょっと悠里さん

バタバタ走らない!

全く‼」


え‼((´(´・(´・_(´・_・(´・_・`(´・_・`)えっ

真壁と桜佑は振り返る。

すると作務衣を来て御節を運ぶ

悠里がいた。


「あ━━━ッ

なんでそんなトコに?」



「真壁・・どうする。」


「・・・」



「(•́ε•̀;ก)会長には、そのまま

申し上げましょう。

加納の家の事を知る為実は

下働きに出した・・と‼」


「ε-(•́ω•̀๑)うん。

誤魔化すのはいいが

どうしてこうなったんだ?」


「さぁどうしてでしょう。」

2人はセッセと動き回る悠里を

見ながら首をひねる。



「このまま、会長には見て見ぬ振り

をして貰って、家政婦長の宮に

鍛えてもらうか?

・・・

悠里の行動に合わせるしか

ないよな!」


「はい

宮さんだけには本当の事を

申し上げましょう。

この際ビシビシやって貰いましょ う。」


「そうだな!

俺たちに心配かけた罰だ‼」


真壁はそそくさと会長に報告し

会長はハッと言う顔をした。


「宮を呼べ‼お茶を次いでに

頼む、雪乃の分もな‼」


「はい、会長‼」


しばらくして家政婦長の宮が

お茶をお禅に乗せてやってきた。




「話は聞いたか?」

会長は宮がお茶を揃える前に

聞いて来た。


「はい。申し訳ありません。

裏口から制服で

いらっしゃいましたし

てっきりバイトの子と

勘違い致しました。」


みやは60歳、二十歳の頃か務め

40年、家の隅々を知り尽くしている。


「悠里の働きぶりはどうじゃ?」


「なかなか手際がよく

先回りして何でもこなしています。

お嬢様じゃ無ければ、

ずっと欲しい人材です。」



「・・・・そうか‼

なら三日間、素知らぬ振りをして

他の娘達と分け隔て無く

扱え‼」


「はい。

了承いたしました。」


宮は頭を下げて部屋を出ていった。

本業の家政婦は落ち着いたピンクの

着物を着る。

宮はそのうちでも濃ゆいピンクの

着物を来ていて他の家政婦より

ハッキリ格上だと思わせる。


宮は厳しい顔をして近寄り難い。

しかし40年も勤上げ一大の妻雪乃も

一目置く存在だ。

ぺーぺの、バイト生は作務衣で分け

てある。

悠里はそのぺーぺの、扱いなのだ‼



「ちょっと悠里さんっ‼」


「は、はい。」


「早く広間に行って‼

お座布団を敷きなさい。

そのあとテーブルを出して

料理を運ぶのよ。

お膳だから、お料理並べてよ。

板さんが運んで来るからね。

ところで

鯛の向きわかる?」


「はい、頭が左でお腹が手前です。」


「え( ⊙_⊙)あ、良く知ってたわね!」

家政婦のお姉さん達は、一瞬

いびり損なったみたいな、唖然とした

顔をした。


「フン常識ですヨ‼」

バイト仲間の有紗はツーンとして

「ね、悠里‼」ニコッ


「え‼ああ、う・・ん。」

有紗は悠里の肩をポンポンと

叩くと座布団をヨイショツと抱えた。


「私奈美」

「私香苗」

「美津」

次々に座布団抱えたまま

今更ながら自己紹介‼

「たった三日の間だけど宜しくね。」


「うん。

宜しく‼」

悠里もなんか嬉しくなっきた。

同じ学校の二奈や萌以外と接する

のは、初めてだった。


2時、やっとお昼にあずかれた。

使用人バイト生にも、御節と

雑煮が振る舞われた。

勿論大皿にド━━━━━━ンと

山盛り盛られた食べ放題な、

バイキング制


「ほら、悠里行くよ〃

食い損なってしまうから。」

高二の有紗が叫ぶ。


「( ⊙_⊙)ええっ、私も食べて

いいの?」


「は?当たり前じゃん行くよ(笑)

悠里食いっぱぐれないようにね‼」


「う、うん。」


初めて悠里は御節、という食べ物を

食べた、作り方や分量は毎年の事で

暗記する程叩き込まれてきた。

しかし初めてテーブルに乗った

御節やお雑煮を食した。


「お雑煮ってこんな美味しい

それに御節だってこんな

沢山たべれるなをてー

夢みたい。」


それは重箱の隅に残った物ではなく

お雑煮もちゃんとお餅が入っている。

ヨダレ垂らしながらお茶漬けを

かきこんで次の仕事に走るでも無く

ちゃんと休み時間が有る。

加納の家はなんて暖かいんだろう。


悠里は初めて楽しいお正月を

迎えた気がして幸せを感じていた。


「悠里さんこっち」

「次々急いで急いで」

桜佑はそんな悠里の様子を見ながら


「真壁、悠里に用事言い付けるの

多くないか!悠里疲れてしまう。」

と心配していた。



「ん?確かに他のバイト生より

多い気しますね。

宮さんに言って来ます。」



そういうと真壁は宮の元に行った。


「こちらのやり方に口を出すな‼」

だ、そうです。



「じゃあ悠里の賃金上げろ

でないと納得行かない‼

そう言って来てくれ‼」



「分かりました。

倍払います。」

との事です。


「宮さんは何か考えがあるようです。

もうお任せしましょう。」


「・・・明日はバイト辞めさせる‼」


桜佑の言葉に真壁は( ꒪Д꒪)はあ?

あんなにオンナ遊びの激しかった

桜佑が悠里をこんなにも大事に

思っているのかと呆れてしまった。


しかし悠里は休む暇なく

真壁の目に入って来た。


「あの動きは、慣れてる・・・

お嬢様のハズなのに

それに楽しそうなのは何故だろう。」


真壁はちょっと不思議に思った。


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