169 クレームサンプル、異世界流。
「アリちゃん、大変なんだ、お店の危機なんだっ!!助けて!!!」
「えっ?!なになに、お店の危機?なんか不穏すぎる……手紙見るの怖いな……」
ヤギさん魔術具が届けてくれた、定時連絡代わりのラースさんからのお手紙。何故だかシワとインク汚れが激しいそのお手紙の書き出しは、私の不安を煽りに煽りまくる物だった。
「なんだか最近、お客様からのクレームが毎日のように来るんだよ。怒ってるお客様も多いし、従業員にも問題が増えてきて……これってどうしたらいいのかな?接客のプロのアリちゃんに、アドバイスを貰えないかなと思って……頼っても大丈夫かな?お返事待ってます」
「あー……やっぱり……そりゃクレームの一つや二つや百もくるよ、あんなんだもん」
開店前の視察日や、先月の開業日を思い出した私は、無情な呟きを一人こぼしてしまった。
「とりあえず、明後日くらいには二号店に行けるかな?またバイトさんたちだけでこっちを回して貰わないといけないし、シフト調整しなきゃ……めんどい……」
表はバイトのコーリンさんに任せて、私は誰もいない事務所でサボり…じゃなくて発注と在庫管理に熱中していた。気が重くなるラースさんの手紙をそこらにほっぽって、業務の続きに戻る。
「……あ、レジ混んできた。ヘルプ行かなきゃ」
視界の端の監視カメラに都度反応して、事務作業とレジ接客を忙しなく往復する。そんな忙しない、いつも通りのコンビニ営業。そこに頻繁に訪れるイレギュラー業務は、なかなかに面倒だ。
とにかく一度来て現状確認と対策を考えて欲しいと締められた、報告とも相談ともつかぬ、泣き言満載のラースさんの手紙。
それを手に今回は一人で、遠路はるばる苦労ゼロでやって来た異世界コンビニ二号店。
お久しぶりの挨拶もそこそこに、店長のラースさんに連れられて事務所に侵入した私は、彼からコンビニには似つかわしくない気持ち悪い物を手渡された。
「参考になるかと思って、いくつか監視カメラのサンプル映像を用意しておいたんだ。アリちゃん、好きなのから見てみてよ」
「これは……カラス?やたらとリアルですけど、生きてはないですよね?動かないし硬いし、剥製?プラモ?うわ、クチバシこわい……」
カラスを乗せた私の両手がつい震えてしまう。手触りからして作り物だとは分かるけど、それはそうとして嫌悪感が凄いんだよ。ゴミを漁るカラスは、コンビニや飲食店の天敵ですよ。
「ああこれ?これはうちの防犯用カメラだよ。まぁ本当は、アンゼルム君の私物の秘蔵魔術具なんだけどね。嬉しいよね、こんな高級品をお店の為にポンと貸してくれるなんて。ほら見て、店内の今の映像も見放題だし、昔の映像も遡れるし編集だって出来るんだよ!」
どうやらこの店の監視カメラやモニター類は、伯爵さんの孫の財力ありきだったらしい。
ラースさんは嬉しそうに、私の手の上のカラスの頭をぼんぼんと叩く。するとカラスの目がキラリと光り、カラスが見つめる先の白い壁に映像が映し出された。どうやらカラス君はプロジェクター機能も搭載してるようだ。しかも映像はタッチ対応式。異世界なのにやたらと電子的で高性能だ。
結論から言うとこのカラス君、録画も再生も編集も自由自在、複数映像の切り替えもズームもお手のもの、おまけに画質も音質もハイレベルという、超優れもの魔術具だった。本部推奨のショボいうちの店のカメラと交換して欲しいくらいだよ。形状はカラスから変えてほしいけど。
ラースさんに完全にお任せされた私は、とりあえず一番左上のファイルを選んでみる。
「ふざけんなっ!!お前ら揃いも揃って、客をバカにした態度取りやがって!!」
「はいっ!申し訳ございませんっ!!…………あっ、違った、映像のお客様に謝っちゃった」
再生を始めたと同時に、鼓膜を突き破るような怒号が響き渡った。その勢いへの恐怖と染み付いた日頃の接客業のクセで、私は反射的に深々としたお辞儀と謝罪をしてしまっていた。
深く深呼吸してから改めて映像に対峙した私の体は、自分でもはっきり分かるほどブルブルと震えていた。
「アリちゃん、大丈夫?落ち着いて。もうこの映像は見るのやめとく?」
「……いえ、最後まで見ます。お客様のお怒り内容はちゃんと把握して対応すべきだって、チェーン本部からもマニュアルが来てましたから……ちゃんとしないと」
それにぶっちゃけ、対面でリアルタイムに怒られるよりかはずっとマシだしね。私は気を持ち直して映像の続きを見始める。
レジ越しに怒号を上げ続ける男性客様の対面には、男性バイトさんが一人突っ立っていた。視察の時に見かけたような気のせいのような、曖昧な印象しかないバイトさんだ。画角が斜め上から見下ろす角度だから、彼の表情とかまでは読み取れないけれど。
「それでも謝罪している様子はないよね……お辞儀してないし……てか身体の向きおかしくない?思いっきり斜めを向いてお客様の方を向いてないけど……これが斜に構えるってやつ?物理的に」
名も知らぬバイトさんは、目の前で般若のように怒り散らしているお客様に対して、謝ることも反論することも仲間に助けを求めることもなく、何一つのアクションも起こす気配はなかった。ただその場に棒立ちして、ただなんとなく時間が経つのを待っているだけ。果たしてお客様の声を聞いているかどうかすら怪しく思えてくる。
「だからなおいっ!!聞いてんのか!?誠意を感じねぇんだよお前らの仕事にはっ!!!客が来ても無視、見慣れねぇ商品について聞いても無視、会計を頼もうと待っててもとにかく延々と無視!!俺は幽霊じゃねえんだぞ!!」
「お前らの給料は誰のおかげで出てんだ、なあ?俺ら客の払った金からだろ?だったらありがたいお客様にはどういう態度をすべきか、その使えねえ頭でも分かんだろ?それともなにか、俺はそんな難しいこと言ってるか、おい!!」
「いい加減謝罪の一つでもしたらどうなんだっ!!表情一個も変えねえで、聞いてんのかも分かんねぇだろうがよ!!お前は銅像か?このまんま黙ってたら終わるとか、んなぬるいこと考えてんじゃねえだろうな?お前が土下座するまで、絶対許してやんねえからな!!」
覚悟を決めて見届けたクレーム映像は、なんと一時間近くもあった。とどまるところを知らないその怒号を、映像越しに見続けるだけでぐったりしてしまった。
気になって他の画角の映像もチェックしたけれど、この一時間ずっと他のお客様や店員の姿もなかった。つまりこの時店内には、お怒りのお客様と地蔵のような店員さんだけ。こんな地獄みたいな一時間をよく過ごせたよね、どっちも。
「ラースさん、この時他のバイトさんはどうしてたんですか?まさかまだ新人ひよこちゃんのバイトさんにワンオペさせてたんですか?」
まぁ全従業員三人しかいなかった故郷時代の当店では、むしろワンオペがデフォでしたけどね。
「あー……たしかに、どうしたんだろう?また遅刻かな?それともカメラの死角でサボってたのかな?カラスは優秀だけど、でもどうしても出来ちゃうみたいなんだよね、死角。トイレの中とか、倉庫の一部とか。もっといい魔術具を探して貰えば死角はなくなるかな?この時間ならあと二人はいたはずだよ。多分勝手に帰ったりはしてないはずだけど……ああでも、この前あったっけ、二十分働いて、気づいたら勝手に帰っちゃってたの。まぁ今度聞いておくよ」
「え?遅刻やらサボりやら無断早退やらもあるんですか……?それはそれで大問題……」
どうやら私が想定していた以上に、かなり闇が深いみたいだ、二号店のアルバイトさんたちは。
「お客様、大変申し訳ありません!店長の僕がキツく指導するので、どうかお許しいただけませんか?」
「…………ふん」
このクレーム騒動は、私服で来店してきたラースさんの謝罪によって終息した。どうやら出勤したてだったようだ。謝らないバイトさんの代わりに深々と頭を下げて始まる勤務なんて、気分下がりまくりだっただろうなぁ……
「いやー、よくこんなにずっと怒ってられるよねぇ?逆に尊敬しちゃいそうだよ。まぁ僕の言葉だけで納得して帰ってくれたから、まだ優しい人だったよ。お金を要求したり、怒り任せに殴ってくる人も少なくないからね、この街には。いやーラッキーだった」
しかし当のラースさんは、実にあっけらかんとした様子でこの厄日を振り返っていた。すごい、そのメンタル、見習わなくちゃ。
それから六つの映像ファイルを立て続けに確認したが、なんと全てがお客様からクレームをいただいている現場映像だったのだ。性別も年齢も来店時間もお怒りの長さもまちまちなお客様方。その全てのご指摘ポイントが、この店のアルバイトさんの態度に関するものだったのだ。愛想がない、覇気がない、生気がない、笑顔がない、声量がない、反応がない、対応がない、誠意がない、謝罪がないなど、とにかくないない尽くしだ。例を挙げればキリがない。
「はぁ……メンタルがやばい……やだもう、さっさと切り替えよう……次、次……」
次の映像はレジ前から移り、どうやら倉庫のカメラのようだ。見覚えのあるキャバ嬢めいたバイトさんが二人。お菓子の在庫がみっちりと入ったケースを、引っ張り出したり売場に持って行ったり、ケースの中身をごそごそ漁ったりしている。
「在庫の整理と補充だよね……?内引きとかじゃないよね……?」
思わずズームして彼女たちの手付きをマジマジと見てしまったところ、一応ちゃんと仕事はしていたようだ。疑ってごめんなさい。
「そもそもさー、うちらって販売員っしょ?客って結局ブツが欲しいだけっしょ?それでうちらが愛想振り撒く必要とかあるわけえー?」
「それなそれなー!うちらが売ってやってるから客の望みが叶ってるってことじゃん?それだけで満足すべきじゃん?それ以上をうちらに求めてくるとかおこがましーじゃん?」
「マジそれなー!てかそもそもさー、こんな低賃金でこき使われてるってのに、愛想まで求めてくんなって話っしょ?うちらの愛想はタダじゃねーっての!笑顔が欲しいなら金払えってわけ」
「なー!うちらにだって都合とか気分ってのがあるじゃん!メシ買えるだけでありがたいって思えー!うちらに感謝しろー!!」
私は大きなため息を隠そうともせず、一度監視カメラの映像を止めた。
「なるほど、そういう意識なのか、バイトさんたちは……口調と態度は最悪だけど……でも、あの子たちの言い分も多少は分かるんだよなぁ……日本でもたびたび話題になってたもん」
コンビニ店員の接客の質については、日本ではもう定番の話題だろう。やれ店員の態度が悪いとか、接客業に就く資格がないとかの手厳しいお客様の意見もあれば、逆に迷惑な客が来たとか理不尽なクレームをつけられたなんていう、従業員側の生々しい体験談もよく見かける。
気になった人はちょっと調べてみてください。きっとあり得ないほど膨大な量のネット記事やら呟きやらクチコミやらが出てくると思うから。
「あー、思い出したらネット見たくなってきた……いやいや、今は一応視察っていう仕事中だし……あ、そもそもこの世界にネット通ってないか」
関係ないことに思考を巡らせてないで、嫌なことはさっさと済ませてしまおう。
「そもそもさー、この在庫整理もやる必要あるわけー?毎日やったって意味なくなーい?売れてんのいつも一緒だし、全部なくなってから動いた方がこーりつよくない?」
「それなー、マジ無意味ー!まーでもサボれてちょーどいーじゃん?立ちっぱ動きっぱって、うちらには合ってないんよねー。あと一時間くらいはここでダラダラするっしょ!」
途切れることなく文句が出てくるド派手コンビニバイトさんたちの映像はもういいや、次いこ次。
「次は……伯爵さんのお孫さんのアンゼルムさんだ。それと向かいの席には若い女性もいる……イートインでティータイムみたいだね。デートかな?」
当店支給のユニフォームを半分脱ぎかけた、仕事中だか休憩中だか仕事上がりだか分からない、だらしない格好のアンゼルムさん。彼は赤いロングドレスを着たお上品な女性と向かい合って座り、優雅にコーヒーを嗜んでいた。当チェーン自慢のカウンターコーヒーだったら尚更良かったんだろうけど、残念ながらこの二号店にはコーヒーマシンを導入できていない。よって彼が啜っているのは缶コーヒーだ。なんだかカッコつかないなぁ。
しかし映像から確認できる二人の様子は、どう見ても楽しそうなデートとは言えなかった。お上品なドレスを着たお嬢様は、親の仇でも見るような顔でアンゼルムさんに詰め寄っていたのだ。なんだ、別れ話かな?
「アンゼルム様、いつまでこんなだっさい店に居続けるおつもりですの?!おじいさまからの密令を果たしたらすぐに辞めて、私のお父様の会社に来るお約束でしょう?!」
しかし別れ話ではなかった。
彼女はお姿に似つかわしくない荒々しい動作で、テーブルをバンっと叩く。その衝撃で彼女の手元の、当チェーンブランドのルイボスティーのペットボトルが大きく倒れ転がっていた。しっかりと蓋が締まる仕様に感謝してほしいね、ドレスが汚れなかったんだから。
「ははは、そうなんだけどね……困ったことになかなかね……大丈夫さ、なんとかするさ」
対面のアンゼルムさんは、彼のトレードマークの金色の三つ編みを指で弄びながら、気まずそうに何度も何度も缶コーヒーを口に運び、ヘラヘラと笑う。
「そもそもアンゼルム様がなさるべきお仕事ではありませんわ、こんな小さなお店なんて!あなた様はいずれこの街の領主となるお方!こんなダサくて安くて底辺なお仕事は、すぐに辞めるべきですわ!!」
「あはは……そうだね、レディ」
「うわぁ、お上品な見た目と口調の割に、けっこう言うなぁ、この人……」
コンビニ店員をダサくて安くて底辺なんて言うなんて、ひょっとしてこのお嬢様は日本のネット社会のご出身なのかな?コンビニ店員だって一生懸命お仕事してるんだぞ!!
この映像はここで終わりだった。結局お嬢様の偏見を知るだけの映像だったね。
「多分この出来事のあとからなんだよね。ここ最近ずっとアンゼルム君の接客態度が、元の暗くて寂しい感じに戻っちゃったんだよ。開店日に正体を明かしてから、明るく人懐っこく接客してくれていたのに。おかげで彼目当てだったお客様も随分減っちゃってねぇ……アリちゃん、どうしたらいいと思う?」
「あー……開店前の視察の時の根暗な感じですか。たしかにあの接客態度だと、嫌がるお客様もいるかもしれませんね。私に聞かれても困りますが、仲直りなり気分転換なりで、どうにか陽キャに戻ってほしいですね」
私がまだアルバイトですらない、お手伝い程度でいられた中学生時代。その頃にはまだ当店にも人間のアルバイトさんがそこそこいたけれど、よくいたものだ。その日の気分や体調で仕事のパフォーマンスがめっちゃ変わる人。そういうのもクレームをいただきやすいんだよね。接客という仕事である以上、ある程度のクオリティーを維持してほしいものだ。
「というかお客様が減るのは死活問題ですけど……でもアンゼルムさん一人なら、そんなに売上に影響はなさそうですよね?」
「それがそうでもないんだよねぇ……アンゼルムさん目当てにわざわざ街の外のここまで来てくれていたお客さんが、すっごいかなり減っちゃったんだよ。毎日来てくれる若いお嬢さんたちとか、一日何回もレジに来てくれてたマダムとか、何か企んでいそうな権力者様とかがね。売上の数字だけでもほら、四割減くらいにはなってるんだよ」
あごに手を当ててため息をこぼすラースさんが、なんだかだんだんオネエに見えてきた。
「マジですか……じゃあそれは大問題ですね……」
恐るべし、アンゼルムさんのカリスマパワー。
「アリちゃん、まだ時間大丈夫?これが最後だよ」
最後の映像の舞台は、これまたイートインの一角だった。軍服をきっちりと着込んだ若い男性二人がカップ麺を食べている。仕事のお昼休憩中かな?
「あ、この制服……」
「うん、僕の元同僚たちだよ。まぁ所属隊が違ったから、あんまり喋ったこともなかったんだけどね。それでも昔のよしみでよく通ってくれてるんだよ。優しいよね」
心から嬉しそうな笑みを浮かべて録画画面を見つめるラースさん。今度はなんだか少し哀愁も感じられるけど、前職が懐かしいのかな?
「マジでこの店いい立地に出来たよな。外門当番の日にわざわざ、街中に戻って飯買うの面倒だったんだよな。買いに行くには遠いし、食って来ようにも何処も混んでるし」
「なー!その分ここは外門のすぐそこ!街の敷地の外だから他の客も少ないしな!超助かるぜ!」
おお、男性客様たちが当店でお買い物してくれてお食事してくれて、なおかつ大声で大絶賛してくれている。
「たとえ一人でも、こうしてお店を誉めてくれるお客様がいらっしゃるのは嬉しいなぁ」
「だがなぁ……」
私がモニターの前でこっそりとガッツポーズをしたと同時に、映像内の男性が不穏な雰囲気を醸し出し始めた。
「こんなにみっちりと大量の商品が並んでる店だってのに、半分くらいは怪しいブツだろ?あれ何だろうな?」
「ああ……いくら紙で味やら何やらがご丁寧に説明されててもなぁ……怖くて手を出せねーよな?こんなド派手なパッケージ、どこの誰が作ったもんなんだ?怪しすぎるぜ」
「聞いた話じゃ、アンゼルム殿下が民衆の前で実食して見せたモンらしいが……それでも怖えもんは怖えよなぁ」
「結局安心して食えるのはいつものメシだよ。でもぶっちゃけこれならどの店でも食えるし、それならここじゃなくてもいいんだよな……だからこんなにがら空きなんだよな。他の奴らが遠くまで来る意味がねぇし」
「まぁ俺らには大助かりだけどな、近いし空いてるし。早々に潰れなきゃいいんだけどな。ここで働いてるデュラースの為にもな」
俯瞰映像をよくよく見てみると、彼らが食べているのは例の真っ白パッケージの物だった。私が卸してない、この街のオリジナルだという商品。もしかしてちゃんと売れてると思ったのは当チェーンのコンビニ商品じゃなくて、お客様に馴染みの物ばっかりなのかな?
「まぁ異世界のコンビニ商品が、そう簡単に受け入れられるはずないよね……むしろ大喜びで我先にと大量買いしてくれたエルフさんたちが異常だったんだね……どうしたものか……」
当チェーン商品の知名度を上げるとか何かしら対策しないと、コンビニを使って稼ぎまくる私の計画も座礁してしまう。
「異世界でコンビニをオープンさせても、まだまだ前途多難すぎる……」
「アリちゃん、お疲れさま。どうだった、うちの経営状況は?参考になったかな?」
「ええ、色々と勉強になりました……ヤバいくらい大問題だということに……ありがとうございます……」
「大丈夫?そんなに落ち込んじゃうんなら、映像なんて用意しない方がよかったかな……」
映像はありがたかったけど、それでもめっちゃ疲れた……もう帰りたい……
「ところで話は変わるんだけどさ、売上が全然伸びてなくて……共同経営者の伯爵様から、あと三日で売上倍増させないと、この店を潰すって言われちゃってるんだよね。アリちゃん、どうしたらいいかな?」
「はいっ?!あと三日で閉店の危機?!それを先に言ってくださいよ!!」
一番重大なことをこの期に及んでサラッと言うなんて、なんて困ったお人なんだ、ラースさんは!
え?まるでどこかの誰かを見ているようだって?SVに新商品対策を唐突にお願いした、いつぞやの電話連絡を彷彿とさせるって?まさかまさか、そんな訳ないじゃないですか。
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