思い出のタピオカミルクティー
あさの紅茶
プロローグ
01
桜。
パンジー。
チューリップ。
春の暖かな風にのって、いろいろな花の香りが鼻をくすぐっていく。
毎年同じなのに、何故だかこの季節は新鮮な気持ちになったりはしないだろうか。
私は毎年春の匂いを感じると胸がドキドキと高鳴る。
緊張にも似たこの感覚は何なんだろう。
学生の私にとって、今日は特別な日だ。
始業式である今日、何が特別かというと、同時にクラス発表があるからだ。
小学生の頃は単純に”仲のいい友達と一緒がいい”と思っていた。
中学生になると”好きな人と同じクラスだといいな”なんて淡い期待を寄せたりもしたっけ。
そして高校生の今、クラス替えには先生の思惑(大人の事情)が絡んでいるということにようやく気付いた。
だから何も期待することはない。
必ず話せる友達が一人くらいは一緒だということがわかっているからだ。
それに加え、私が通う高校は女子校だ。
好きな人と~という淡い期待など初めからない。
そして何と言っても一番大きいのは、二年生は文理の選択があり、私は理系を選択した。
うちの学校で理系を選ぶ女子は意外と少ない。
だから理系を選んだ人の人数は一クラス分くらいに収まってしまうので、たぶん全員同じクラスだと思う。
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