7
「こんにちは」
――少女の挨拶とともに、さあっと視界が晴れた。足元には石造りの小道が現れ、左右には立派な桜の木が生える。澄み渡る青空に、心地の良い風。突然の情景の変化に、
「ようこそ、
振り返ると、そこには紺色の巫女装束を身に纏った、可憐な少女がいた。少し癖のついたミディアムヘアの白髪に、キラキラと輝く髪飾り。美しい碧眼を持った彼女は、呆気に取られている二人を見て、ニコッと笑い掛けた。
「どうぞ、こちらへ」
彼女の示す先には、荘厳な本殿がある。先ほどまでの小さな祠は、一体どこへ消えてしまったのだろうか。
「え……、え……」
彼女の顔を見た米倉は、壊れたおもちゃのように「え……」を繰り返した。目の前で起きている出来事が、彼女には到底信じられない。
「えーーっ!? 『幽玄の巫女』の
鼓膜を裂くようなその叫び声に、巫女少女はゆっくりと頭を下げた。
「はい。『幽玄の巫女』の、
「先輩……。あの子、本当にアニメのキャラなんですか?」
「間違いないよ! コスプレにしては完璧すぎだし……」
米倉は興奮した様子で、奥に消えていく巫女少女を見送っている。アニメ好きからしたら、心臓が止まるほどの大サービスだろう。
「でも、こんなことってありえますかね……?」
「私も信じられないけど……。あの
この景色の変わりようといい、あの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます