第132話 夢の研究所で見たもの

 伝説の猛者もさのありかを察知したヒビキたちは、夢の研究所にたどり着いた。

「研究所とは研究、また試験、鑑定かんていなどを行うための組織であり、またその施設のことである。広義には、天文台や農業試験所なども含めて指している場合もある。研究所ごとに様々で、たとえば自然科学、人文科学、社会科学などの諸分野しょぶんや、あるいはそれらの中から細分化された特定の分野を対象にしたものが設立されている。また科学に限らず、様々な領域の研究所が存在している。設立者は特に限定されておらず、国際機関、ある国の中央政府、地方政府、大学、企業きぎょう、財団、個人など多岐たきわたる。日本の場合、企業が企業の中に設置したものを企業内研究所などと呼び、個人が設置したものは私設研究所、政府系では日本国が設立したものを国立試験研究機関、地方自治体が設置するものを公設試験研究機関と称する。研究所の分類は、様々あり、例えば学問の種類による分類がある。また、基礎きそ研究けんきゅう、応用研究という意味の分類や、予めミッションの決まったトップダウン型研究、研究者の自由な発想に基づくボトムアップ型研究という意味の分類がされることもある。大学は通常、研究所に分類しないが、研究所という名称をかんした機関を持つことが多い。諸分野に関する政策立案、政策せいさくていげんを主たる業務とするシンクタンクも、研究所という名称を使用しているものが多い。英語のlaboratoryは広い範囲はんいを示し、単に設備が整った場所も含む。このため、研究ではない既知の技術を使った分析や製造を行う施設しせつもそう呼ばれる」

「チリンチリンチリン…」

「いでよ、伝説の猛者!」

ガラスのすずの音色に導かれて、パソコンの画面から黄龍こうりゅうが現れた。

「黄龍は、黄金おうごんかがやくく竜であると言う異説いせつもある。老いた応竜は黄竜と呼ばれるとある。四神の中心的存在、または、四神の長とも呼ばれている。四神が東西南北の守護しゅごじゅうなのに対し、中央を守るとされる。五行説で黄は土行であり、土行に割り当てられた方角は中央である。同様に四神は春夏秋冬を表すものでもあり、黄龍はそれぞれの土用を表すとされている。 十二天将勾じゅうにてんしょうこうちんや創世神応竜と同一視・混同される。中国古書『荊州かいしゅううらない』では、黄竜は太一の妻とある。中国ではずいじゅうの出現を記念して改元を行うことがあるが、黄龍が出現したというので黄龍と改元されたこともあった。日本でも黄竜はめでたい獣とされ、宇多天皇のときに黄竜が出現したといわれている。黄竜は皇帝こうてい権威けんいを象徴する竜とされたが、後に麒麟きりんと置き換えられたり、同一視されるようになった。『瑞応記』では黄龍者 神之精 四龍之長などと四竜の長とされる。『げいぶん類聚るいじゅう』には『瑞応図』からの引用として黄龍者 四龍之長と記されている」

「勇気と友情があれば、何でもできる!」

ヒビキたちは、黄龍の封印にいどむ。

「決めるなら、今しかない!」

「俺も力になってみせる!」

ヒビキとアラシは力を合わせて、

「ジュエリーレイン!」

「マーブルスパーク!」

チララとバニラ、ココアの魔法によって、黄龍を封印することに成功した。

 すると、

「これは…」

山吹やまぶきいろのしずくだ!」

「ヤマブキは、低山の明るい林の木陰こかげなどに群生する。樹木ではあるが、くきは細く、柔らかい。背丈は一メートルから二メートル程度で立ち上がるが、先端せんたんはややかたむき、往々にして山腹では麓側ふもとがわに垂れる。地下に茎を横に伸ばし、群生する。葉はきょがはっきりしており、うすい。晩春ばんしゅんあざやかな黄色の花を多数つける。多数のしべと五個から八個の離生りしょう心皮しんぴがある。心皮はじゅくして分果になる。北海道から九州まで分布し、国外では中国に産する。古くから親しまれた花で、庭に栽培される。花は一重のものと八重のものがあり、特に八重やえき品種が好まれ、よく栽培される。一重のものは、花弁は五枚である。ヤマブキには実がつかないと思われがちであるが、実際には一重の基本種には立派に実がつく。八重ヤマブキの場合は雌しべが退化して花弁になっているため、実を結ぶことがない。日本で昔から栽培されてきたヤマブキの多くが実をつけない八重咲き種であったため、ヤマブキは実をつけないと言われるようになった」

ヒビキは、山吹色のしずくを手に入れた。

 そして、

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

セントラル地方を守る光の泉が天空の島とつながった。

 すると、

「よくここまで来たんだね!」

「アリクイは、アリやシロアリを食べることからアリクイ、英語でもアントイーターと呼ぶ。分類群の学名はぜん虫状ちゅうじょうの舌を意味し、まれにちゅうぜつ亜目あもくとも訳されるが、もっぱらアリクイ亜目と意訳される。ただし、分類体系によっては下目にもなる。その学名のとおりミミズのような細長い舌を持ち、粘着力ねんちゃくりょくのある唾液だえきを付け、餌を舌に粘着させて捕る。口吻こうふんは極端に細長く、口は小さく歯がほとんどない。餌は丸呑まるのみされる。このため、虫のような小さな餌かペースト状の餌しか食べることができない。は長くて力強く、オオアリクイ以外は物に巻きつけることができる。前足の第三指は強大なかぎつめを持ち、ありづかくずしたり、木に登ったり、捕食者に対する武器として使う。嗅覚きゅうかくすぐれるが、視覚と聴覚はにぶい。群は作らず、単独か母子で行動する。野生のアリクイは一日に約三万匹のアリやシロアリを捕食している。短くやわらかい毛に覆われる。ただしオオアリクイは長くかたい毛に覆われる。威嚇いかくするときに仁王立ちのようなポーズをとる」

アリクイのレム博士と、

「私たちの研究所を取り戻してくれたのですね」

「バクは、現生種はすべてバク属に分類される。最小種はTapirus kabomaniである。成獣の体長は二メートル程度である。体型は流線型で、やぶの中を進むのに適している。かた(かた)よりもこしの方が高い。皮膚ひふ分厚ぶあつく、ヤマバクを除いて体毛は少ない。ヤマバクは長い体毛でおおわれ、寒さから身を守るのに役立つと考えられている。頸部けいぶに鬣状に体毛が伸長する種もいるが、これは捕食者から頸部を守る役割があると考えられている。マレーバクは体色が前部と後部が黒・胴体どうたい中央部ちゅうおうぶが白だが、これも夜間では体が分断されたように見え輪郭りんかくがつかめず捕食者から身を守る役割があると考えられている。ブタのような体つきをし、ゾウのはなのような口吻をもつ。吻端は鼻と上唇うわくちびるがあわさり、その先端に鼻孔びこうが開口する。眼は小型で眼窩の奥の方にあり、藪の中で眼が傷つきにくくなっている。四肢ししは短く頑丈がんじょうである。前脚まえあしが後脚よりも長いという特異な骨格こっかく構造こうぞうを持つ。これは主な生息域には藪が多く、背丈の長い草を掻き分けて走ることに適した形状であるとされる。前肢の指は四本、後肢のあしゆびは三本である。前肢の四本目の指は小型で高い位置にあり、柔らかい地面を移動する時にのみ用いられる。指趾しし蹄状ひづめじょうになっているが、接地面は球状である。奇蹄目はその名が示すとおり、通常奇数の指をもつが、バクの各脚の指の数は、前脚が四本、後脚が三本である。幼獣の体色はせき褐色かっしょくで、白い斑点はんてんすじ模様もようが入る。この体色も藪の中では保護ほごしょくになると考えられている。これらの形態が中国や日本に伝わるげんじゅうばくに似ていることが名称の由来だが、むしろ架空かくうの獏こそがバクをモデルとした動物だという説もある」

レム博士の助手であるバクのスーがやってきた。

「眠っている間に見る夢を研究しているんだ!」

「ゼルコバ博士とリアとも協力しているわ!」

レム博士とスーは、夢の研究所で働いているのだ。

 その後、

「グハハハハハッ!」

ヒビキたちがトリップ号に戻ってくると、大魔王の新たな目撃もくげき情報じょうほうが入ってきた。

「どこで見かけたのだろうか?」

「九州で見かけたわ」

「九州は、北海道・本州・四国とともに主要四島の一つでもあり、この中では三番目に大きい島で、世界の島の中では、スピッツベルゲン島に次ぐ第三十七位の大きさである。地質学や考古学などでは九州島という名称も使用される。九州とその付随ふずいする島、および沖縄県おきなわけんを合わせて九州地方と言う。九州の最高標高は千七百九十一メートル で、大分県の九重くじゅう連山れんざん・中岳の標高である。また、九州地方の最高標高は千九百三十六メートルで、鹿児島県かごしまけんの屋久島・宮之浦みやのうらだけの標高である。九州には七つの地方公共団体があり、七県総人口は千三百十万八千に十七人、沖縄県をふくめた八県総人口は一千四百五十二万四千六百十四人である。九州の古代の呼称は、筑紫ちくししま筑紫ちくししゅうである」

異常いじょう気象きしょうが相次いでいるらしい」

ゼルコバ博士とリアは、大魔王の現在地について語っていると、

「次なる伝説の猛者は、インディゴ地方にいるそうだ」

「今すぐ行くしかない!」

「うん!」

次なる伝説の猛者を見つけるために、ヒビキたちを乗せたトリップ号は、インディゴ地方へと飛び立っていった。

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