釣り大会~古代魚編~

 「ただいまから、り大会を始めるのじゃ!」

ハミングタウンの広場に集められたヒビキたちは、カメじいの説明を聞く。

「今回のテーマは、古代魚なのじゃ!制限時間内にどれだけ釣ったのかを競うのじゃ!」

こうして、釣り大会が始まった。

せせらぎ川では、

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

「アロワナだ!」

「アロワナは、南アメリカ、オーストラリアおよび東南アジアの淡水たんすいに生息する。淡水域に生息する魚のうちでも大型に成長する種類のものが多く知られている古代魚で、食性は主に肉食だが、飼育しいく環境下かんきょうかでの性質は穏やかで、また飼育方法も確立されていることからペットとして人気がある。小型魚を丸呑まるの(まるの)みするために下あごがせり出したような大きく開く口が特徴的とくちょうてきで、水面より上にいる虫にとびつき捕食することが出来る。体半分より後にに続く背びれ・しりひれと、大きく発達しななめ下方に延びたむねひれを持つ。うろこは大抵たいていの種類で大きくその一つ一つがはっきりしており、そのいずれにも濃淡のうたん色彩しきさいの変化がある。中国では龍魚りゅうぎょと呼ばれ、龍が権力と繁栄はんえい象徴しょうちょうすることから、華僑かきょうなどを中心に幸運を呼ぶとして愛好者あいこうかが見られ、あかへん異種いしゅは特に高値で取引される。日本でも大型でゆっくり泳ぐ様子や独特の風貌ふうぼうに対する愛好者が見られる。繁殖ようしょく方法ほうほうも確立されていることから、養殖された稚魚ちぎょなどがペット市場向けに流通している。反面、自然環境にいるものは保護され商取引や輸出入が制限されている種類も多い」

ヒビキがアロワナを釣り、

「えいっ!」

「これは…」

「ピラルクーだわ!」

「ピラルクーは、現存するアラパイマぞく唯一ゆいいつの種である。原産地での名Pirarucu の表音がそのまま標準和名となり、カナ表記される。語尾ごびに音引きを伴わせずピラルクと発音、表記される場合も多い。また、アラパイマ, パイチェとも。英名はArapaima であるが、日本と同様、原産地での呼び名のままPirarucu とも呼ばれる。体長三メートル以上になり、世界最大級の淡水魚の一つに数えられる。ただしメコンオオナマズやヒマンチュラ・チャオプラヤ、海水域にも分布するオオチョウザメを最大とする研究者もいる。進化において一億年間ほとんど姿が変わっていないと考えられ、生きた化石とも言われている。特長的な形態や大きさから水族館などでも人気がある。成魚の体長は二メートルである。最大のものは四メートルともいわれるが信憑性が低い。丸太のような円柱系の体形をしているが、頭部は横に、尾は縦に平たい。腹びれ、背びれ、尻びれ、尾びれは体の後半部分に集中してついている。体色は黒から銀色まで個体差があり、成魚では体の後半部分が赤くなるのが特徴である。現地名のPirarucuという名前も、現地のインディオの言語であるトゥピ語で魚を意味するPiraと、その実から化粧けしょうに用いる紅い色素を採取するUrucuという植物の名を合わせたもので、紅い魚の意味である。口は大きく、したにはたくさんの突起とっきがついたおろし器のようなかたほねが通っている。アロワナ科魚類の古い分類名コツゼツはここに由来する。また、円形のうろこも硬くザラザラしており、成魚で直径十センチメートルほどもある。南米のアマゾン川流域に分布し、沼地や川の流れのゆるい部分に生息する。タイとマレーシアの河川にもスポーツフィッシング用として移入され、生息している。食性は肉食性で、おもに小魚を捕食する。熱帯の淡水域では酸欠さんけつ状態じょうたいとなりやすいが、ピラルクーはうきぶくろからはいのように空気呼吸ができ、水面に口を出して息継ぎをすることで酸素を取り入れることができる。繁殖にあたってはオスとメスがつがいになってたまごや稚魚の世話をする。稚魚はオタマジャクシのように全身が黒く、水面に群れをなして泳ぎ、親魚が下から見守る。稚魚の食欲は旺盛おうせいで、成長は早い」

リンリンとタンタンは、ピラルクーを釣った。

 シャインビーチでは、

「これこそ…」

「生きた化石とも呼ばれているシーラカンスだ!」

「シーラカンスは、化石種も現生種も含めた総称である。かん椎目しいめとも呼ばれる。古生代と中生代のシーラカンス目は、かつては世界中の淡水域や浅い海に広く分布していたと考えられる。体形・体長もさまざまなものが知られ、現生のラティメリア属に近い体形のものから、タイのように体高が高く扁平へんぺいな体型をした種やアンコウのような丸い形のもいた。また、淡水-汽水域に生息したMawsonia などには推定される全長が六メートルにも達する巨大な種も知られている。現生のシーラカンス二種はいずれも深海に生息し、魚やイカを捕食ほしょくしていると考えられている。シーラカンスは八つのひれを持ち、第二背びれ、胸びれ、腹びれ、尻びれにはうろこおおわれた筋肉質きんにくしつの基部がある。骨格は脊柱せきちゅうを含めほとんど軟骨なんこつで出来ており、肋骨ろっこつが無い。ふくろには空気ではなく脂肪しぼうが満たされている。鱗はこうりんであり、コズミン層の退化したコズミン鱗であると考えられている。シーラカンス目はらん胎生たいせいであると化石から推測されていたが、現生種の解剖かいぼうでそれが証明された。雄の外性器はいまだに見つかっておらず、交尾については依然いぜん不明ふめいである。鱗を観察・研究した結果、妊娠にんしん期間きかんは少なくとも五年、寿命じゅみょうは百年と推測される研究結果が出た」

ケンタは、巨大魚であるシーラカンスを釣った。

 そして、

「タイムアップじゃ!」

ついに制限時間を迎えた。

「今回の優勝者は、六匹釣ったケンタなのじゃ!」

「やったね!」

今回の釣り大会の優勝者は、ケンタ。

「これを受け取るのじゃ!」

「おめでとう!」

ケンタは、カメじいから金メダルを受け取ったのであった。

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