#12 浜辺に打ち上げられたもの

 ヒビキたちは、ピーコとともにシャインビーチにいる。

「あれは…」

「黒いトゲトゲ!」

そこに、黒いトゲトゲの球が打ち上げられていた。

「これは、ウニだ!」

「ウニは、別名にガゼなど。なお、雲丹うにの字をあてるときはウニを加工した食品を指す。日本の俳句では春の季語である。深海の海底からいそに至る世界中の海に生息し、約八百七十種が確認されている。 多くの種が全身にトゲを持つ。中にはガンガゼのようにどくを持つものもある。 ウニの体の構造は五つの部分から成り、背面から見たから輪郭りんかくが円形で、中心から五つの部分が放射ほうしゃ相称そうしょうに配置されたものを正形ウニ類と呼ぶ。タコノマクラなど、放射状ではなく左右相称になっているものを不正形ウニ類と呼ぶ。棘皮きょくひ動物どうぶつは五放射相称の形をしており、とげのためにわかりづらくはなっているものの、ウニも五放射相称である。ウニは炭酸たんさんカルシウムの球状の骨格こっかくを持ち、骨格上のいぼから棘が伸びている。棘のある側に肛門こうもんがあり、口はその反対側で骨格に大きな穴を空けている。骨格は肛門の付近を除いて、五本の歩帯とその間の間歩帯からなる。歩帯には、管足が伸びる二つの穴を空けた歩帯板が連なっており、その下には放射水管が流れる。間歩帯の下には生殖せいしょくがある。肛門付近の骨格は頂上板系と呼ばれる。頂上板系はウニのなかで最も古い部分になる。精子やたまごが放出される生殖孔を持つ五つの生殖板が肛門の周りにならび、生殖巣はここにつながる。生殖板のうち、ひときわ大きく多くの小孔を持つのが多孔板たこういたであり、水管系と外界をつないでいる。生殖板の間に終板と呼ばれる骨があり、歩帯はここからのびる。終板にも管足があり終管足と呼ばれ、これは一本ずつ生える。口からは腸が伸びる。口には五つの歯があり、五放射相称のアリストテレスの提灯ちょうちんと呼ばれる骨と筋肉きんにくによって動かされる。棘は炭酸カルシウムの骨を表皮で覆った構造をしており、防御や移動の機能がある。主に反口側の棘が防御ぼうぎょに用いられ、口側の棘は移動に用いられる。視覚器官の役割も果たしている。棘は管足の並ぶ歩帯の間に主に配置する。普通の単純な棘の他に、先端がピンセット状などになったまたとげがあり、体表の掃除そうじや敵に対する防御などに使われる。棘はその根元から大きく動かすことができる。殻の棘のつく部分は丸く盛り上がっており、棘の基部もまた半円形にき出している。この両者は筋肉で結びつけられており、この筋肉によって棘はり回すような運動が可能である。筋肉の内側にキャッチアパレータスと呼ばれる結合組織があり、これをかたくすることによって棘を固定することができる。種によっては棘の中央と殻をつなぐ結合組織も持つ」

「中に、オレンジの身が入っている!」

「おいしそう!」

ヒビキたちは、ウニを食料のストックとして保存する。

 さらに、

「大きな岩にのりがついている!」

「のりは、日本では、古くさい神仙しんせんさいと呼ばれた。食品として、それら藻類そうるいを加工したなま海苔のりや板海苔などが食されており、米飯のおかずや江戸前寿司などで重要な材料となっている。日本語のノリはヌラを語源とする。水中の岩石に苔のように着生する藻類そうるい全般ぜんぱんを表す語で、広義には食用とするくれない藻類・らん藻類そうるいの総称である。平安時代末期はあま海苔のりといい、アマノリを板海苔に成形した浅草海苔が江戸時代以降に広まった。海苔はタンパク質、食物しょくもつ繊維せんい、ビタミン、カルシウム、EPA、タウリン、ベーターカロテン、アミノ酸などが豊富に含まれており、栄養に富んでいる。日本のほか、中国、韓国かんこく、イギリス、ニュージーランドで養殖ようしょくもされている。一九八〇年代にアメリカでも養殖が試されたが、失敗に終わっている」

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

チララとコロンは、のりを回収した。

「町はずれの森と木漏こもれ日林道は山の幸が取れるのに対して、ここは海の幸が取れるんだね」

「そうだっピ!早くみんなに伝えるっピ!」

ヒビキとピーコは、こう思うのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る