#9 博物館は大忙し!?

 コロンを仲間に加えたヒビキとチララは、博物館にいた。

「イワシの群れが大魚となっている!」

「サメも負けていられない!」

魚を見ていると、

「あれは…」

「タコだ!」

「タコは、主に岩礁がんしょう砂地すなちに生息する。海洋棲かいようすで、淡水たんすいきらい、河口などの汽水域には棲息しない。複数の吸盤きゅうばんがついた八本の腕を特徴とくちょうとする。動物学的には足であり、一般いっぱんには足と呼ばれるが、物をつかむ機能などにより、特に頭足類における足はうでとも表現される。見た目で頭部に見える丸く大きな部位は実際には胴部どうぶであり、本当の頭は腕の基部に位置して眼や口器が集まっている部分である。すなわち、頭から足が生えているのであり、同じ構造を持つイカの仲間とともに頭足類の名で呼ばれる理由がここにある。イカの仲間とのちがいは腕の数のほか、ミミがないことであるが、これらには例外もある。このほか吸盤の構造もイカの仲間とはことなる。その柔軟じゅうなんな体のほとんどは筋肉であり、ときには強い力を発揮はっきする。体の中で固い部分は眼球の間に存在するのうを包む軟骨なんこつとクチバシのみである。そのため非常にせまい空間を通り抜ける事ができ、水族館で飼育しいくする場合は逃走とうそう対策たいさくが必要である。比較的ひかくてきたかい知能を持っており、一説には最も賢い無脊椎動物であるとされている。形を認識することや、問題を学習し解決することができる。例として、密閉されたねじぶた式のガラスびんに入ったえさを視覚で認識し、ビンのふたをねじって餌を取ることができる。また、白い物体に強い興味きょうみを示す。身を守るためには、保護ほごしょくに変色し、地形に合わせて体形を変える、その色や形を二年ほど記憶できることが知られている。また、一九九八年には、インドネシア近海に棲息するメジロダコが、人間が割っててたココナッツのからを組み合わせて防御に使っていることが確認され、二〇〇九年十二月、無脊椎動物の中で道具を使っていることが判明した初めての例として、イギリスの科学かがく雑誌に掲載けいさいされた。ここでは特集が組まれ、二枚貝の貝殻や持ち運び可能な人工物を利用して身を守る様子がくわしく紹介された。血液中にはヘモシアニンという緑色の色素が含まれており、そのため血液は青く見える。ヘモシアニンは魚類のもつヘモグロビンに比べ酸素さんそ運搬うんぱん能力のうりょくおとるため、長距離ちょうきょりを高速で移動し続けることができない。さらに、海水のpH濃度のうどにも影響を受けやすく、海水が酸性化すると酸素運搬能力が低下する。えら外套がいとう膜内まくないに格納されており、漏斗ろうとのポンプで海水を取り入れて鰓に当てることにより酸素と二酸化炭素の交換こうかんをする。漏斗からき出す水は遊泳時の主な推進力となるほか、二酸化炭素のみならず排泄物はいせつぶつすみの排出に利用される。墨を墨汁ぼくじゅうふくろたくわえており危険を感じると括約筋かつやくきんを使って漏斗から黒い墨をき、姿をくらます。タコ墨はイカ墨よりアミノ酸や多糖類たとうるい、脂質が少なくさらさらしている。タコはさらさらの墨を煙幕えんまくのように利用しており敵を一時的に麻痺まひさせる成分を含んでいる。タコ墨が料理にあまり用いられないのは、イカ墨と比べて墨汁嚢が取り出しにくく、さらに一匹から採れる量もごく少量であることが理由である。外敵におそわれた際、捕らえられた腕を切りはなしてげることができ、その後、腕は再生するが、切り口によって二本に分かれて生えることもあり、八本以上の腕を持つタコも存在する。極端なものでは、日本で九十六本足のあるタコが捕獲ほかくされたことがあり、三重県の志摩しまに標本として展示してある。マダコでは自分の腕を食べる行動が観察されている。この行動は何らかの病原体によって引き起こされると考えられており、腕を食べ始めたタコは数日以内に死亡する。オスは四本の腕の吸盤の大きさが、メスに比べてばらつきがある。タコの吸盤は、たいていのものには吸着できる。切断された腕であってもその活動は約一時間続く。しかし、タコの吸盤は切断されたものであっても、自分の体には吸着することはなく、この原理については判明していない。ただしタコの皮膚を取り除き、同じタコの腕を切断して近づけると、その腕の吸盤は皮膚を除去した部分に吸着する。また皮膚を貼り付けた物体に、切断されたタコの腕を近づけると、その部分にはくっつかず、皮膚のない場所にはくっつくという現象が確認できることから、皮膚に何らかの自己認識機構が存在するという説がある。吸盤には味覚を司る感覚器があるとされる。吸盤の表面は古くなると剥がれて更新される。古い吸盤表面をがすために激しく腕をくねらせて互いにこすり合わせることがある。タコの吸盤は主に筋肉の収縮を利用しており、の付いた角質の環を利用することで張り付くイカの吸盤とは構造が異なる。八本のしょくわんのうち一本は交接こうせつうでと呼ばれ、先端せんたんが生殖器になっている。これがメスの体内に挿入されせいさやが受け渡されることで受精が成立する。たいていのタコのめすは、生涯しょうがいに一回のみ産卵さんらんし、たまごしたのちに雌は死んでしまう。タコでは平衡へいこういしを用いた年齢ねんれい推定すいていが行えないため、一部の種を除いて、どれくらい生きるのかはわかっていない」

タコが展示されているところを発見した。

 天文台へ行ってみると、

「おっ、見えた!」

「これは、オリオン座だ!」

「オリオン座は、天の赤道上にあり、おうし座の東にある星座だ。中央に三つ星が並んでいるのが目印である。北半球における冬の晴れた夜空は湿度しつどが低くんでいるため、星がよく見えるばかりでなく、オリオン座にはオリオンの肩に相当する赤みがかったα星ベテルギウス、脚に相当する青白いβ星リゲルの全天二十一の一等星の二つを含み、二等星以上を七つも含むなど明るい星が多く、都会の空でもよく目立つ有名な星座である。特徴的な星の配置は、古代から世界各国で様々な呼び方をされていた。日本では京都府きょうとふ綾部市あやべし山梨県やまなしけん甲府市こうふし塩山市えんざんしなどで、形を鼓に見立てた鼓星という名前が伝わっていた。オリオン座はしばしば文学作品などにも登場する。オリオン座は他の星や星座を見つける基準にもなる。オリオンのベルトのラインを南東へ延ばした先には全天で一番明るい恒星こうせいであるシリウスがあり、この星はおおいぬ座に含まれる。ベテルギウスと、おおいぬ座α星シリウス、こいぬ座のα星プロキオンの三つの一等星を結ぶとほぼきれいな正三角形となり、これを冬の大三角と呼んでいる。ベテルギウスをほぼ中心に置いて囲むように、プロキオンから右回りにふたご座β星ポルックス、ぎょしゃ座α星カペラ、おうし座α星アルデバラン、オリオン座β星リゲルを結び、再びシリウスを通ってプロキオンに至る六角形を引くこともできる」

望遠鏡ぼうえんきょうをのぞいて、星座を発見した。

 すると、

「博物館を好きになってくれて、ありがとうございます!」

学芸員のシーバが現れた。

「新たな星、見つけたよ!」

「こっちへ来て!」

「わかりました!」

ヒビキとチララは、シーバのもとへ向かった。

「街をよりよくするために、いこいの場を作ってほしいです!」

その後、シーバはカメじいに手紙を書いたのであった。

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