第91話 てっぺんを目指せ!

 エスキモーからの登頂とうちょう許可きょかを手にしたヒビキたちは、アラシが待ち構えているリボーンマウンテンの頂上を目指す。

「山は、地形学では丘陵きゅうりょうや台地よりも周囲との相対的高度差や起伏きふくが大きいものを指す。平地と比べ、傾斜けいしゃした地形から成る。周囲とどの程度の高度差があれば山と呼ぶかについては、国や地域ごとの習慣、領域や研究者ごとに差異さいがあり、一概いちがいに決まっているわけではない。たとえば日常生活で人々は、ある盛りあがった地形を指して、同じ人々が、ある時は山と呼んでみたり、またある時は丘陵、丘、おかなどと呼んだりすることがあり、区別は必ずしも明確でない。相対的に二千フィートの高さを持つものを山としている。山岳地帯さんがくちたいはユーラシアの三十三パーセント、北アメリカの二十四パーセント、南アメリカの十九パーセント、そしてアフリカの十四パーセントをめている。また、地上の全陸地面積のおよそ二十四パーセントが山岳地帯と定義されることになる。日本では、地図に示す名称に山をける場合、地方自治体の申請しんせいを以て表示するとしている。山の複合的なものを山岳と呼ぶ。通常、陸上のものは単に山と言い、海中の山は海山と言う。起伏の程度ていどによって分類する方法もあり、低山性山地、中山性山地、高山性山地に分類される」

「まずは、見晴らしのいい展望台を目指そう」

「うん!」

ヒビキたちは、リボーンマウンテンを少し上った先にある展望台を目指す。

 すると、

「あれは…」

「クリのいがだ!」

足元に、クリのいがが落ちてきた。

「ちゅぴ!」

「ちゅる!」

チララとコロンは、クリをひろう。

「トゲトゲしているけど、食料にストックしよう!」

「クリのうち、各栽培かくさいばい品種ひんしゅの原種で山野に自生するものは、シバグリまたはヤマグリと呼ばれる、栽培品種はシバグリに比べて果実が大粒おおつぶである。また、シバグリもごく一部では栽培されている。落葉性高木で、高さ十五メートル、幹の直径は八十センチメートル、あるいはそれ以上になる。樹皮はあんはい褐色かっしょくあつく、老木の樹皮は縦長に深くて長いけ目を生じる。一年枝は赤褐色で、無毛か少し毛が残る。葉は短い葉柄ようへいがついて互生し、葉身の長さ十二センチメートル、幅三センチメートルの長楕円形ちょうだえんけい長楕円状披ちょうだえんじょうひ針形しんけいで、先端はするどとがり、基部は円形からハート形をしており、ややうすくてぱりぱりしている。葉の表は(こ)い緑色でつやがあり、うらはやや色が薄くて細かい毛でおおわれ、たん(たん)黄色こうしょく腺点せんてんが多数ある。葉縁には鋭くき出した小さなきょが並ぶ。葉は全体にクヌギによく似ているが、鋸歯の先端部せんたんぶはクヌギほど長く伸びない。無胚乳ないはいにゅう種子しゅしである。雌雄しゆう同株どうかぶ、雌雄異花で、六月を前後する頃に開花する。花序は長さ十五センチメートルのひものような穂状ほしょうで、ななめに立ち上がりながら先は垂れ、全体にクリーム色を帯びた白色である。花序の上部には多数の雄花がつき、下部に二個の雌花がつく。個々の花は小さいものの、白い花穂が束になって咲くので葉の緑を背景によく目立つ。クリの雄花のにおいは独特で、すこしせいしゅうを帯びた青臭い生臭さを持つのがあり、かおりも強く、あたり一帯にただよう。クリは自家じか受粉じゅふんしない。ブナ科植物は風媒花ふうばいかで花が地味のものが多いが、クリは虫媒花で、雄花の匂いをまき散らしてハエやハチのなかまの昆虫こんちゅうを呼び寄せて、他家の花粉を運ばせる。一般いっぱんに雌花は三個の子房しぼうふくみ、受精した子房のみが肥大ひだいして果実となり、不受精のものはしいなとなる。秋に実が茶色に成熟せいじゅくすると、いがのある殻斗かくとが四分割に裂開して、中から堅い果実が一個から三個ずつ現れる。果実は単にクリ、またはクリノミと呼ばれ、普通は他のブナ科植物の果実であるドングリとは区別される。また、毬状まりじょうの殻斗に包まれていることからこの状態が毬果と呼ばれることもあるが、中にあるクリノミ自体が種子ではなく果実であるためあやま(あやま)りである。実の香りの主成分はメチオナールとフラノンである。ふゆは枝の先端に仮頂芽、側芽は互生してつき、丸みのある三角形でクリの実に似ている。冬芽のりんは三枚つく。こんは半円形で、維管束いかんそくこんは多数ある」

そして、

「着いたよ」

ヒビキたちは、リボーンマウンテンの展望台にたどり着いた。

「ちゅっぴー!」

「ちゅるるわー!」

チララとコロンがやまびこすると、

「声は遠くに聞こえているはず」

と、遠くにこだましたようだ。

 すると、

「食料を確保したで!」

ダイ大将は、ヒビキたちにあるものを調達してきた。

「これは?」

「カキやで!」

「カキは、東アジア原産の同地域固有種である。日本や韓国かんこく、中国に多くの在来品種があり、特に中国・長江流域に自生している。熟した果実は食用とされ、日本では果樹として、北海道以外で広く栽培されている。果実はビタミン類や食物しょくもつ繊維せんいを多く含むことから、現代では東アジア以外の地域でも栽培・消費されている。ヨーロッパ産ではスペインが九割を占め、中国に次ぐ世界第二位の生産国である。みきは家具材として用いられる。葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋かきしぶ防腐剤ぼうふざいとして用いられる。現在では世界中の温暖な地域で栽培されている。落葉の小高木で、高さは七メートルになる。一年目の若枝には毛があり、基部には前年の芽鱗が残る。樹皮は灰褐色で、網目状あみめじょうに裂ける。枝は人の手が加えられないまま放って置かれると、自重で折れてしまうこともあり、折れやすい木として認知されている。葉は互生し、長さ十二センチメートルの楕円形から卵形らんけいをしていて先が尖り、表面にややつやがある。葉縁に鋸歯はない。葉柄は長さ一センチメートル前後で、太くて短い。花期は初夏である。本年生枝の基部近くの葉腋に花がつく。花弁は白色から淡黄色で四枚ある。雌雄同株であり、雌雄雑居性で雌花は点々とはなれて一か所に一つ黄白色のものが咲き、柱頭が四つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的こんせきてきしべがある。雄花はたくさん集まって付き、雌花よりも小さい。うてなは四裂し、花冠は鐘形かねがたをしている。日本では五月の終わり頃から六月にかけてに白黄色の地味な花をつける。果期は秋から初冬にかけて。果実は柿と呼ばれ、品種によって大小様々な形があり、秋に橙色だいだいいろに熟す。萼はヘタとよばれ、後まで残っている。ヤマガキは枝、葉に毛が多く、果実は小さい。柿の果実は、年によりなり方の差が大きい。果樹を叩いたり、傷つけたりすると、花芽形成が促進そくしんされて実がなることが知られ、樹木の採種園でも樹皮を円周状に傷つける環状剥皮かんじょうはくひが行われる。果実は、タヌキやサル、カラスなどにも食べられて、種子が人里近い山林に運ばれて芽を出すこともある。冬芽は互生し、丸みがある三角形で短毛がある。枝の先端に仮頂芽、その下には側芽がつき、芽鱗は四枚ある。葉痕は仮頂芽の背後と、側芽のすぐ下にあり、半円形で維管束痕は一個ある」

「おいしそう!」

それは、カキの実だった。

ももくり三年さんねんかき八年はちねんという言葉のように、頂上に立つには決してけわしい道になるだろう」

「だからこそ、気を引き締めていこう!」

「うん!」

ヒビキたちは、リボーンマウンテンの頂上を目指すのであった。

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