第78話 今、僕たちにできること

 インディゴ地方のクリスタルを手に入れたヒビキたちが天空の島にたどり着くと、

「待ってたのじゃ!」

長老ちょうろうが待っていた。

「どうじゃい?クリスタルは見つけたのじゃ?」

「はい!」

「インディゴ地方で、あいいろのクリスタルを見つけたよ!」

「これはよかったのじゃ!」

それから、ヒビキたちは世界樹のいずみへと向かう。

「さあ、クリスタルを使うのじゃ!」

「ちゅぴ!」

チララが藍色のクリスタルを使うと、

「大きくなれ!」

「えいっ!」

風の妖精ようせいの力で、世界樹は大きくなった。

 すると、

「この声は…」

「女神さまだ!」

世界樹から女神さまが現れた。

「みなさんとまたお会いすることができて、本当にうれしく思います。今日は、大切なお話があります」

ヒビキたちは、女神さまからの話を聞く。

「あなたたちが住んでいる空の国では今、人々の生活が困窮こんきゅうしております。学校や保育ほいく施設しせつに行くことすらままならない子供たちが多く、たった一つしかない部屋でのフリーター生活を余儀なくされている大人たちも少なくありません。このままでは、アスファルトの道などでの路上暮らしをいられる人々が増加してしまいます」

「これも魔王まおう仕業しわざなのだろうか?」

「その可能性も否定できません。一部の国では、流行のファッションや音楽が無いのはともかく、食べ物や飲み物も限られたメニューしか無いそうです。そこに暮らす人々の食事では、きたない水や焼かない食パンばかり食べているとのことです」

「ふわふわのクロワッサンやかりかりでバターがこうばしいシュガートーストを食べれないなんて…」

ヒビキたちの住んでいる世界では、人々の生活が困窮しているのだ。

「それを防ぐには?」

「ニュートピアに散らばっているクリスタルをすべて集めなければなりません。それは、世界を救うための最終手段なのです」

人々の生活の貧困化を阻止そしするためには、すべてのクリスタルを集めて世界樹を完全体にするしかないと明言する。そのうえで、

「これからも頑張がんばってください」

「ありがとうございます!」

女神さまは、ヒビキたちにエールを送ったのであった。

 一方その頃、

「ここはいったい、どこなのだろうか…」

岩石の洞窟の最深部で倒れてしまったアラシは、目が覚めると見慣れぬ場所にいた。

「ようこそ、新しい世界へ」

と、手を当ててみると温かく感じてしまうようなチカチカしている文字が表示されたアラシの世界には、

「我々がお前の助けを元てほしいと言い聞かせている」

という声が聞こえてきたのであった。

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