第60話 空の国での異変

 セントラル地方のクリスタルを手に入れたヒビキたちが天空の島にたどり着くと、

「待ってたのじゃ!」

長老ちょうろうが待っていた。

「どうじゃい?クリスタルは見つけたのじゃ?」

「はい!」

「セントラル地方で、黄色のクリスタルを見つけたよ!」

「これはよかったのじゃ!」

それから、ヒビキたちは世界樹のいずみへと向かう。

「さあ、クリスタルを使うのじゃ!」

「ちゅぴ!」

チララが黄色のクリスタルを使うと、

「大きくなれ!」

「えいっ!」

大地の妖精ようせいの力で、世界樹は大きくなった。

 すると、

「この声は…」

「女神さまだ!」

世界樹から女神さまが現れた。

「みなさんとまたお会いすることができて、本当にうれしく思います。今日は、大切なお話があります」

ヒビキたちは、女神さまからの話を聞く。

「最近、あなたたちが住んでいる世界では、異常いじょう気象きしょうが相次いで発生しております。気温きおん上昇じょうしょうに加え、酸性さんせい砂漠化さばくかも後を絶ちません。また、長引く雨によって水没すいぼつしてしまう都市も少なくありません」

それは、ヒビキたちの故郷である空の国が、異常気象に見舞みまわれていることだ。

「気象庁では、過去三十年の気候に対していちじるしいかたよりを示した天候を異常気象と定義している。世界気象機関では、平均気温や降水量こうすいりょうが平年より著しく偏り、その偏差へんさが二十五年以上に一回しか起こらない程度ていどの大きさの現象を異常気象と定義している。エルニーニョ現象や、これに南方振動なんぽうしんどうを含めたENSOは、異常気象の原因となるとされているが、エルニーニョ/ラニーニャ現象は数年の周期で起こるものであり、エルニーニョ/ラニーニャ現象=異常気象」ではない。後異常気象の原因=エルニーニョ/ラニーニャでもない。また、過去に経験した現象から大きく外れた現象で、人が一生の間にまれにしか経験しないともしている。異常気象は、英語の"extreme weather","unusual weather","abnormal weather","anomalous weather"とほぼ同義であり、極端きょくたんな気象、まれにしか起こらない気象という概念だとされている。しかし異常気象の発生自体は当たり前の事象であり、地球が存在する以上は必ず一定量発生するものである。単に人間の寿命じゅみょうがせいぜい百年程度で、近代気象学に関わる文献ぶんけんが過去数百年〜千年程度でしかないため、本来的には地球上で“普通”に発生し得る天候であっても、観察者である人類の寿命・歴史にとっては“異常”と定義したといえる。自然変動の周期はさまざまであり、一日周期の太陽放射たいようほうしゃから季節変化、十数年周期の太陽黒点活動、数十万年周期のミランコビッチ・サイクルまである。また、それにしたがって地球全体や地域的規模の気候の変動の周期も数日〜数十万年の実にさまざまなものがある。周期の長いものや短いものは三十年あるいは二十五年に一度という異常気象の判断基準に合わず、変動の山や谷にあるときは現在から見れば異常気象であっても、当時の状況では異常気象ではない、ということがある。こういったことから、異常気象であるかどうかという判断は、そのときに用いるものさしに大きく左右される」

「このままでは、僕たちの世界が危ない!」

「それを防ぐには?」

「ニュートピアに散らばっているクリスタルをすべて集めなければなりません」

世界中で頻発ひんぱつしている異常気象を阻止そしするためには、すべてのクリスタルを集めて世界樹を完全体にするしかないと明言する。そのうえで、

「これからも頑張がんばってください」

「ありがとうございます!」

女神さまは、ヒビキたちにエールを送ったのであった。

 一方その頃、

「ぐはははははっ!」

突然とつぜん(、渋谷しぶやの街頭ビジョンに魔王まおうが現れた。

「機はすでにじゅくした。今こそ、我らの本当の力を見せるとき!堕落だらくに満ちている世界を、この手で変えてみせる!」

マスコミ各社からにも、魔王からの声明文が届けられてきたという。

 その様子を、タビビトはパソコンのモニターしで見ていた。

「この状況を、選ばれし戦士によって打破しなければならない」

タビビトは、危機感をあらわにするのであった。

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