第32話 仲間はどこにいる?

 ダイナモジャングルにいるヒビキたちは、行方不明となっているチュースケの仲間を探していた。

「ちゅっぴー!」

「おーい!」

チララとチュースケが声をかけてみると、

「助けてくれー!」

ビーバーが始祖鳥の化石のモンスターにおそわれている光景を目撃もくげきした。

「始祖鳥とも呼ばれているアーケオプテリクスはジュラ紀に生息し、特徴的とくちょうてきな羽毛から世界で初めて鳥類と恐竜きょうりゅうの関係を強く示唆しさされた、一八〇〇年代に発見された主要な化石において最も現生鳥類に近いとされた歴史的に重要な生物である。 アーケオプテリクス化石として産出している物は全て A. lithographica Meyer, 1861 一種に属するとされることが多かったが、いくつかの種に分けるべきだという意見も大きくなってきている。アーケオプテリクスの大きさや概形がいけいはカササギに近く、前足に羽根が並んで幅広はばひろで曲線的なつばさを形成し、後足は基部には羽根を密生するが半ば以上はそれを欠く。また全身にうすい羽根が生えており、体長は長いふくめて大きな標本で五十センチメートル程度であり、胴体部どうたいぶはその半分程度である。標本によってはさらに小さい。これらの特徴は現生の鳥類に似ているが、するどを備えたあごを持つ点、鉤爪のある三本の指を持つ点、そして長い尾部にほねをもつ点などが明らかにことなる。ダーウィンの『種の起源』の出版よりわずか二年の後にはアーケオプテリクスの完全な化石が記載きさいされた」

「このビーバーに心当たりはあるのか?」

「そうだ」

チュースケは、彼と面識があるという。

「行こう!」

「うん!」

現場に向かうと、始祖鳥の化石のモンスターにとらわれたビーバーの救出作戦が始まった。

「私に任せて!」

サクラは、ルビーのマジカルジュエルを魔法まほうの筆にセット。それをモンスターに向けてると、

「フラワースパイラル!」

ラビカの魔法によって、モンスターは化石にもどった。

「ビーバーは、和名はうみたぬきで、体長約八十センチメートルである。尾長約三十五センチメートルで、体重約二十キログラムである。水中の生活に適応しており、ビロードのような毛皮は水をはじき、後ろ足には水かきがある。平たく大きな尾はオールのような形をしているが、上下に動かすことで推進力を得るのに役立っている。ネズミ目では唯一ゆいいつ直腸ちょくしょう排尿はいにょうぐち生殖せいしょくくちねる器官である総排出腔そうはいしゅつこうをもつ。オスの睾丸は体内にあり、交尾期のみ外に出てくるため、外見でオス・メスの区別をするのは難しい。ビーバーの大きく丈夫じょうぶな歯は鉄分を含んでおりとても硬《かたく、直径十五センチメートルの木をわずか十分で倒せる。鉄分てつぶんけずる樹皮のタンニンの反応の影響で歯はオレンジ色に変色しているが摩耗まもうした部分やタンニンにれない裏側うらがわは白い。産まれたての幼体は歯が白く、また地域差や飼育しいき下など住環境によってはさほどオレンジ色にならないこともある。 指は五本あり、両足で物をはさむことで物をつかむことも可能である。茶色の毛の内側にびっしりと生えた白い毛が、皮膚ひふに水がしみるのを防ぐ役割をしている。しかし、この毛が乱獲らんかくつながってしまった。河川や湖・池・沼などの周囲にある湿原しつげんに生息する。夜行性のため、夕方や早朝にのみ姿を見ることができる。ペアとそのようじゅうからなる家族群を形成し生活するが、生後二年以上の若獣が含まれることもある。家族群はそれぞれ縄張なわばりを形成し、におい付けによって縄張りを主張する。刺激しげきを受けると尾を水にたたきつけるが、これは家族に対して危険を知らせたり外敵を驚かせる働きがあると考えられている。年に一度、一腹約三頭の子を産む。子供は十日ほどで泳ぎ始めるが、次の子が生まれても親の元にとどまり、その次の子が生まれる直前、満二歳近くになってようやく独立する。草食性で、日に二キロもの木の葉や草、木の皮などを食物とする。葉を食料とするために木をかじり倒すことも多い。五十センチメートルの枝ならわずか三分で丸裸まるはだかにしてしまう。池底に沈んだ白い枝はビーバーの食後のあとである。皮膚をぬらさないために毛づくろいをする。足の間に油を出す部分があり、この油を前足で毛に塗りつけることを岸辺で行っている。毛づくろいが終わると水の中に入る。コヨーテ・イタチ・テンなどの天敵から身を守るために、陸地で活動することは少ない。岸からせいぜい二十メートルの距離きょりで食事するぐらいである。ビーバーは自分の生活のために周囲の環境を作り替える、ヒト以外の唯一の動物であるとも言われる。ビーバーのダム作りは、持って生まれた本能的な行動で、教わらなくても自然にできるようになると言われている。 水辺の木をかじり倒し、どろ枯枝かれえだなどとともに材料として、川を横断する形に組み上げ、大規模なダムを作る。オスの役目で縄張りには尿をかける。ダムによってできた“ダム湖”の中心部にも木を組み上げ、密閉された個室状の巣を作る。巣の床は水面より上にあるが出入り口の通路だけは水面下にあり、天敵の侵入しんにゅう巧妙こうみょうに防いでいる。ダムを利用することでこうした水位を常に保っている。長い年月の間にはいくつもの“ダム湖”が作られ、これによって岸辺の総延長が伸長し、食物をとる範囲はんいが増えることになる。ビーバーが環境を大きく変えることで多くの命を森に呼び込んでいる。川が流れているだけで水鳥はめない場所であったものが、池になることでわたり鳥もやってくる。池にはたくさんの水草も育ち、様々な生物でにぎわうようになる。数十年経つと池は土砂どしゃに埋まって使えなくなり、残された栄養えいよう豊富ほうふな土砂には草が良く育ち、池は後に広大な草原に生まれ変わり、森の草食動物の貴重な食事場所になる。しかし、天敵がいない環境だと、過剰に木が倒されて森林しんりん破壊はかいになるケースもある。近年、ビーバーは水が流れる音を探知すると本能的にそこをせき止めるダムを作ることが分かり、それを利用してさくを立てるなどして流水音を人工的に発生させてビーバーがダムを作る場所を人為的じんいてきに調整する試みが行われている。確認されている世界最大のビーバーのダムは、カナダ・アルバータ州のウッド・バッファロー国立公園内で発見されたダムで、長さは八百五十メートルにもなる。ダムそのものに草木が生えていることから、一九七〇年代から建設が始められ、数世代にわたって拡張かくしょうされ続けているものと考えられている。このダムは更に拡大を続ける可能性がある。カナダ・アルバータ州で、原油のパイプライン破断事故が発生し、その後、同州環境当局者は、ビーバーが作ったダムにより、被害も拡大せずにんだとの趣旨しゅしを、公表している」

「助けてくれてありがとう!俺はビバだ!」

ビバはヒビキたちに挨拶あいさつすると、

「ようやく再開できた!」

「感謝している!」

チュースケとビバは、ヒビキたちに感謝の言葉を述べた。

「そうだ!君たちに見せたいものがある!」

「ちょっとついてこい!」

そのお礼として、チュースケとビバはある場所へと案内する。

「着いたぜ!」

「これは、トリケラトプスの化石だ!」

「トリケラトプスは、中生代後期白亜紀ちゅうせいだいこうきはくあきの、現在の北アメリカ大陸に生息した植物食恐竜の一属である。既知の非鳥類型恐竜の最後の属の一つで、六千六百万年前のK/Pg絶滅イベントで絶滅した。トリケラトプスという名は「三本の角を持つ顔を意味し、古代ギリシャ語のτρί- が「三つ」、κέρας が角、ὤψ が顔を意味することに由来している。中国語名は三角龍さんかくりゅう、または三觭龍さんちーろんである。オスニエル・チャールズ・マーシュによって一八八九年に元記載げんきさいされて以来、完全な骨格は発見されていないものの、多数の化石標本が記録されてきた。孵化幼体ふかようたいから成体までの各成長段階を代表する標本が発見されている。トリケラトプスは典型的なケラトプス類として、最も人気のある恐竜の一つであり、映画や切手など多くのメディアに登場している。口先は鳥類のくちばしのようにとがっている。頭骨には大きな骨質のフリルと三本の角があり、大きな四本足の体は現代のサイに似ていることで最もよく知られている恐竜の一つである。また、全長九メートル、体重十二トンという最大級の角竜でもあった。この動物は被食者だったと考えられているが、博物館の展示や一般的いっぱんてきなイメージでよく描かれているような捕食者ほしょくしゃとの戦いをしていたかどうかは定かではない。フリルと三本の特徴的な角の機能については長い間議論の的となってきた。伝統的には、これらは捕食者から身を守るための武器と考えられてきた。最近の解釈かいしゃくでは、これらの特徴は現代のぐう蹄類ているいの角と同様に、主に種内競争のために使われていた可能性が高いと考えられている。ただし、これは護身用の武器として使われた可能性を否定するものではない。トリケラトプスは伝統的には短いフリルをもつセントロサウルス亜科あかに分類されていたが、現代の系統学的研究では、一般的に長いフリルを持つカスモサウルス亜科のメンバーであることが示されている。これまでに十七種が命名されてきたが、現在ではそのうちT・ホリドゥスとT・プロルススの二つの種だけが有効であると考えられている。最も多く発見されている標本は、巨大な頭骨である。成体の頭骨の長さは約二メートルで、その半分弱がフリルである。他のカスモサウルス亜科と同様に一本の鼻角と二本のうえ眼窩がんかつのを備える。上眼窩角の長さは約二メートルと言われる。強力な四肢で重い体を支持していた。トリケラトプスのようなケラトプス類の前肢の姿勢は、長い間物議をかもしていた。肢は直立していたという考えは後肢に関しては議論の余地なくあてはまる。一方で、角竜の骨格に基づく研究では、ゾウのように手の甲を前にした直立状態で前肢ぜんしの骨を組みたてると前肢の関節が脱臼だっきゅうしてしまうため、前肢の肘を横に張り出して這い歩きするような姿勢であったという説があった。しかし、これはトリケラトプスの足跡化石には合致しないものであった。最近の研究では、トリケラトプスは前肢をひれ脚類あしたぐいのように、手の甲を外側に向けて直立して立っていたということになっている」

「わーっ!」

「すごーい!」

そこは、トリケラトプスの化石がまっている場所だった。

「ここは、太古のロマンがまっている!」

冒険ぼうけんファンには、うってつけの場所だ!」

ビバとチュースケはこう語ると、

「さあ、ハミングタウンに帰ろう!」

「うん!」

ヒビキがスマートフォンで転送アプリを起動して、ハミングタウンに帰ったのであった。

 一方その頃、アラシもダイナモジャングルにいた。

「忠告しておく。化石はそう簡単に見つからないことを…」

アラシはこう言い残して、どこかへと去っていった。

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