第15話 フルーツを運ぼう

 ハミングタウンの住民たちに食料を調達するため、ヒビキたちは町はずれの森にたどり着いた。

「まずはここからだ!」

「ちゅぴ!」

チララが赤いフルーツが生る木をゆすってみると、

「ちゅっぴー!」

「リンゴが取れた!」

「リンゴは、植物学上はセイヨウリンゴと呼ぶ。春、白か薄紅うすべにの花がく。人との関わりは古く、紀元前から栽培さいばいされていたと見られ、十六世紀じゅうろくせいき以降いこう欧米おうべいでの生産がさかんになり、日本においても平安時代には書物に記述がみられる。現在世界中で生産される品種は数千以上といわれ、栄養価の高い果実は生食されるほか、加工してリンゴ酒、ジャム、ジュース、菓子の材料などに利用されている。西洋美術、特に絵画ではモチーフとして昔からよくあつかわれる。その形状が球体ではなく、上から見たら五角形に近いことから現代日本の美術びじゅつ界隈かいわいでは、"リンゴは五角形"の合言葉で親しまれている。リンゴの種には青酸配せいさんはい糖体とうたいと呼ばれる物質がふくまれている。そのひとつがアミグダリンで、腸内ちょうない細菌さいきんによってシアン化物に変わる。このシアン化物は、人を死にいたらしめる力をもつ。ただし、リンゴ一個分の種では、少し気分が悪くなる程度ていどのシアン化物しか生成されないが大量に食べることは危険である」

そこから、リンゴが落ちてきた。

「ここも行こう!」

「うん!」

ナツが別のフルーツの木をゆすってみると、

「おいしそう!」

「オレンジが落ちてきた!」

「オレンジは、日本の日常生活において単にオレンジというと、非常に多く栽培、流通されているスイートオレンジのネーブルオレンジかバレンシアオレンジを指すことが多い。また、英語の orange という単語がよくみかんと日本語訳されることが多いが、日本で単にみかんというとマンダリンオレンジの近縁である温州うんしゅうみかんを指すことが多く、同じ柑橘属かんきつぞくであるが別の種類である。なお、オレンジの果実のような暖色をオレンジ色という。原産地はインドのアッサム地方である。日本に導入されたのは明治時代である。現在の主産地はアメリカ、ブラジル、スペイン、イタリア、メキシコなど。日本での栽培はネーブルオレンジを除いてそれほど多くなく、国内流通品の大部分はアメリカのカリフォルニア産である。ネーブルオレンジは広島県、和歌山県、静岡県しずおかけんなどで年間六千トン前後生産されている。果皮、果肉共にオレンジ色で多汁質である。適度な甘味・酸味をもち、かおり高い。生食用のほか、ジュースの原料として利用され、またカモなどの肉の料理にソースとして用いられる。なお果皮はオレンジピールやキュラソーの原料としても使われる。中東では、花弁はなびらを蒸留して得られる液体オレンジフラワーウォーターを菓子かしや飲み物の香りづけに用いる。果皮とふくろが密着してはなれにくいのが特徴とくちょうだ」

そこから、オレンジの実が落ちてきた。

「行くわよ!」

「うん!」

ラビカがピンクのフルーツが生る木をゆすってみると、

「出てきたわ!」

「おいしそうなモモね!」

「モモは、春には五弁または多重弁の花を咲かせ、夏には水分が多くあまい球形の果実を実らせる。中国原産で、食用・観賞用として世界各地で栽培されている。未成熟みせいじゅくな果実や種子にはアミグダリンという青酸配糖体が含まれる。三月下旬から四月上旬頃に薄い桃色の花をつける。ももの花は春の季語である。桃が咲き始める時期は七十二候において、中国ではももはじめはな、日本は桃始笑と呼ばれ、それぞれ啓蟄けいちつの初候、次候にあたる。あわい紅色であるものが多いが、白色から濃紅色まで様々な色のものがある。五弁か多重弁で、多くのしべを持つ。花柄はながらは非常に短く、枝に直接着生しているように見える。ハナモモと呼ばれる観賞用の品種は源平桃・枝垂しだれ桃など。庭木として、あるいは華道で切り花として用いられる。葉は花よりややおくれてしげる。幅五センチメートル、長さ十五センチメートル程度の細長い形で互生し、縁はあらきょ歯状しじょうである。湯に入れた桃葉湯は、あせもなど皮膚ひふ炎症えんしょうに効くとされる。ただし、乾燥していない葉は青酸化合物を含むので換気かんきに十分注意しなければならない。七月から八月に実る。桃の実は秋の季語である。球形でたてに割れているのが特徴的である。果実は赤みがかった白色の薄い皮に包まれている。皮の表面にはきのこが生えている。果肉は水分を多く含んでやわ(やわ)らかい。水分や糖分、カリウムなどを多く含んでいる。栽培中、病害虫に侵されやすい果物であるため、袋をかけて保護ほごしなければならない手間のかる作物である。また、いたみやすく収穫後しゅうかくごすぐにやわらかくなるため、賞味期間も短い。生食する他、ジュースや、シロップけにした缶詰かんづめ(かんづめ)も良く見られる」

そこから、モモの実が落ちてきた。

「いっぱい収穫できて、よかったね!」

「町はずれの森は、フルーツが実っているのか!」

これで、調達するのに十分なフルーツを集めることに成功した。

 ハミングタウンにもどってくると、

「ただいま!」

「フルーツ、いっぱいとれたんやな!」

ダイ大将がヒビキたちを温かく歓迎(かんげい)した。

「みんな、フルーツが届いたんやで!」

「ちゅっぴー!」

「ここに集まって!」

ヒビキたちが住民たちに声をかけてみると、テントの中から住民たちが出てきた。

「わーっ!」

「おいしそう!」

「フルーツがいっぱいでしゅ!」

すると、住民たちはフルーツをおいしそうに食べた。

「よかったな!」

「これで一件落着だ」

ヒビキたちが喜んでいるのもつかの間、

「住民たちがテント暮らしを余儀なくされている!」

「商店街にある郵便局はすでにあるけど、このままでは…」

ハミングタウンの住民たちが家ではなくテントで暮らしているのに気づく。

「そうやな、木漏こもれ日林道に行ってみるんちゃう?」

「ああ。そこには、家を建てるための資材があるかもしれない」

すると、ヒビキとダイ大将は、木漏れ日林道に資材調達へ行くことを提案ていあんする。

「行ってみよう!」

「うん!」

ヒビキたちは、木漏れ日林道へ行くことになった。

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