第18話 KAC2021始まりです

「KAC2021……これってなんなんです?」

「ふむ。アニバーサリーチャンピオンシップだな。簡単に言うと、運営から出されるお題に対し作品を投稿し、その人気を競うものだな」

「人気ということは、読者選考ですね?」

「うむ。読者賞とレビュー賞があってだな、それぞれ読者数と星の数を競うものだ」

「なるほど、お題?に合わせた作品を即興で書くんですかね」

「詳しくはこの説明サイトを見たまえよ」

「……ふむふむ、把握。つまり私には関係のない催しということでFAですね」

「いや、むしろ書きたまえ」

「あの、私の現状から言って、読者数、つまりPVや作品フォローですよね?それと星。ほぼ0に近いのですよ?羞恥プレイですか?」

「それだ」

「どれですか?」

「きみは自身の現状に対し恥ずかしいと感じている」

「それは、まあそうですね」

「醜態を晒すのを恐れている」

「マゾじゃないですからね」

「でもプレビューや応援が付くと嬉しくなる」

「それは、まあそうですね」

「評価されると嬉しい、評価されないと悔しい」

「悔しいというか、それ以前ですね」

「苦労した末に用意した新刊。てへ100冊も刷っちゃった。売れ残るかな?それとも、早い時間に完売しちゃったりして!と妄想逞しいのがまさに公開直後の心境だな」

「……コミケあるあるですか?」

「帰宅時、100冊を持ち帰る状況に似ているわけだな」

「サンプルを手に持ってすらもらえなかった感じですね」

「コミケの話はどうでもよろしい!」

「自分でトラウマスイッチ押してるんです気付いてください」

「生きることは恥だ!」

「今度は漱石ですか?」

「恥をかくことの何が悪いのだね?ペンネームによって匿名性が担保されている自由な表現の場でありながら、きみはどんなプライドを後生大事に抱えておるのだ?」

「ですから、身バレしたときの……」

「過去の人生で、思い出すたびに赤面するような事例を思い出してみたまえ」

「……やめてください」

「先生にお母さんと呼んだ小学生。授業中にウケ狙いで叫んだ中学生。趣味が合わないと友人関係の構築を拒んだ高校生」

「え、ちょっとやめてくださいよ!ぶんなぐりますよ?」

「いやなに一例だ。琴線に触れたかね?」

「……あ、そうですね一般論ですね、そりゃそうですよね」

「はじめてのチュウ……」

「……コロス!」

「落ち着きたまえ。いいかねきみ。現時点でリアルなきみを知る知り合いはどのくらいいるのかね?今まで知り合った人たちの何人と親密な関係を続けているかね?」

「それは……」

「逆に問おう。そこそこ親しい友人がユーチューバ―としてデビューした。そこそこ面白いけど視聴数は伸びない。どう思う?」

「関係性にもよりますかね。頑張れとも、もういいんだとも、思えるかもしれません」

「それがめっちゃバズって超有名どころになったとしたらどうだね?」

「……よく頑張った……それと、うまくやりやがってとか」

「労いと、そして羨望だな。それはな、醜態を晒す覚悟の果てに訪れる栄光なのだ!」

「醜態のまま終わる可能性も考慮してくださいよ」

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