第13話 プレビューって難しいです

「想像以上に読まれませんね」

「なぜ盲目的に読まれると思うのかね?」

「よく物語の中では、投稿サイトに公開するとたくさん読者の反応がある描写が多いからですかね?」

「以前言った通り、読まれるためには評価が必要だ。わざわざ時間を使って、星一つない作品より、ほれ、こういった公開初日にも関わらず三ケタの星を獲得している作品を読むだろう。結果としてさらに人気が出る。好循環というやつだ」

「恐ろしい世界ですね。でも人気作だって読まれ始めるきっかけがありますよね?」

「作家間のフォローによって、フォローしている作家の新作が通知されるのだ。きみも言っていただろう?本屋で好きな作家の新刊があれば買うと。だが、無名の作品を手に取ることは少ないはずだ」

「ランダム購入も楽しみの一つとしてたまにやりますけどね」

「金に余裕が無ければやらんだろう?本は、時間が無くても金があれば買うものだ。だが、無料のネット小説は、時間が無ければ読まれない」

「一見さんを期待するのは難しい、作家間の絆を作らないとだめなのですね」

「商業作家として名前が売れている作家は別としても、ここが「カクヨム」である以上、書くだけではいかん。同じ立場の作家の作品を読んで、レビューするなど交流を育むことが何よりも重要だろう」

「私、コミュ障なんですが」

「ふむ。そんな言い訳やプライドはフォローしてくれる人が三ケタくらいになってひけらかすものだ!今のきみは新入社員、新一年生なのだ!周りは皆先輩だぞ?」

「なるほど……それは確かに」

「自分の歳や立場なぞ忘れてしまえ。ここはある意味「仮想現実」だ。K-enterpriseという義体を用いて好きに活動するが良いぞ?」

「でも手当り次第フォローしたり作品を読んだりって節操なくないですか?」

「そこには意志を持って選択してもいいし、興味本位でもいい。ただ、読むと決めたら真剣に読みたまえ」

「心得ております」

「ついでに言うと、公開しているジャンルと同じ傾向を持つ作品を読むことをお勧めする。ホラーが苦手な人、恋愛が苦手な人、それを見極めるのだ」

「難しいものですね」

「ならば、同じコンテストに参加している作品を読むがいい」

「わかりました。ところで、次の作品ですがこの『カクヨムコン』というのに出してみたいのですが」

「ほう、気が早いな」

「なんだか短編の方はもう忘れたいので。それにこっちの短編はもっと文字数があります。トレーニングには最適かと」

「ふむ。だがしかし、このコンテスト。尚のこと「書く」だけではダメなのだが」

「どういう意味です?」

「中間選考の条件として、読者選考というものがあるのだ」

「読者……つまり、ここのユーザーから一定の評価を受ける必要があるのですね?」

「まあ運営の選考方法を厳密に知ることはないが、星、レビュー、作品フォロー、応援、コメント、そしてプレビュー、これらの数値が高いに越したことはない」

「短編公募の五作、プレビュー数が合わせても10に満たないのですが」

「どんなに素晴らしい商品を開発しても、売れるとは限らんからな」

「素晴らしいかどうかすら疑わしいですけどね」

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