天才勇者が魔王を倒そうとしたら渋谷にいた件
のざらしのあざらあし
第1話 少年、勇者になる。
幼いころから剣の才能があった。幼いころから困っている人は見放せなかった。暖かい家族、親切な村の人々...。
そんな暖かい村は魔王の手によって一晩のうちに燃えて亡くなってしまった。
おれはその日幼馴染と星を見ようと山に登っていたんだ。そして帰ってきたら家族も村も何もかもなくなっていた。
通りがかった人に救われておれと幼馴染は町に移り住むことになった。環境が変われどおれの心は変わらず、困っている人には手を差し伸べ続けた。町の人たちは半ば哀れみながらもおれと幼馴染を受け入れた。14になったある日、山の中の剣を抜くという大人への通過儀礼をすることになった。町中の同い年の男と共に山へ入っていく。伝説の剣と呼ばれるそれは誰の目から見ても美しい剣だった。1人ずつ剣を抜く。あの子もだめ、この子もだめ。力が強そうなガキ大将だってダメだった。30人いた子ども達はみな悔しそうに後ろに下がりとうとうおれの番になった。おれが剣を持つと剣はいとも簡単にスルリと抜けた。周りの大人も子どもも驚いてその場から動けなくなった。その後、おれは大事にその剣を持ち帰った。
町に帰ると町長がおれを称え、褒めた。そしてお祭り騒ぎになった。200年抜けなかった伝説の剣が抜けたんだ、そりゃそうだよな。その日からおれは伝説の剣を持ちし、天才勇者と呼ばれるようになった。
18歳の誕生日。おれは魔王を倒すためこの町を立つ。剣の腕も磨いた。辺りのモンスターも倒してレベルも上がっている。幼馴染は心配そうにおれを見つめている。
「アンタは帰ってきてよね。じゃなきゃアタシは本当に独りぼっちになっちゃうから。」
気を付けて、と育ててくれた夫婦にも幼馴染からも言われる。その言葉を胸におれは町を出た。
「ケイン!絶対帰ってきなさいよ!待ってるから!いってらっしゃい!」
幼馴染のモモは入り口までおれを見送ってくれた。
「あぁ、いってきます!」
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