16-花々の迷い、または花弁の裏側


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リュシアン:抜ける…って、え!? ティアさんパーティー抜けるの!? 抜けようとしてるの!? ヤバい、誰か止めて。


ティア  :PLの狙いとしては実質的なキャラロストを狙ってます。

(※GM注:キャラロストはキャラが死亡するなどの理由によって、次回以降のセッションで参加できなくなること。今回はパーティーを抜ける=物語からいなくなる、という実質ロストということを狙っている)


メルリル :ダメだぞ!? 止めるぞ!?


ハクマ  :ティアはここでドライアードを殺さないと被害が……って思っているのか? だからパーティーを抜けようとしてるのか?


ティア  :うーん……。ティアとしては、過去、同じような場面で殺すことを選んだから、殺さないとダメっていう信念を持っているんだよね。あっちと同じならこっちも同じことを貫かないと、っていうさ。


【GM】  :あー……(※元キャンペーンでティアと同じパーティー)


メルリル :あー……(※元キャンペーンを回しているGM)


ティア  :そんなわけで、ティアの背景的に譲れなくてね。それでもって、パーティーの意見が食い違ってるから、抜けるよ、っていうこと。

さすがにここで過去の話はティアの口からは言わないけどね。


【GM】  :でも他PCたちはティアがなんでそういう信念を持っているのか、という背景を知らないから、かなりハードモード。


リュシアン:だけどここで止めないと、本当にティアさんがロールプレイで実質ロストになる。マズイ。


【GM】  :なんでティアさんが物語のラスボスになってるん?


ティア  :あ、一応世界観の確認なんですが、ドライアードはソードワールド世界において魔物でいいんだよね?


【GM】  :魔物ではあるんですが、妖精なので、いわゆる人間の村とかを襲ったりするオーガみたいな蛮族とは違うかな。

妖精は中立的な存在で、人間がお願いしたら手助けしてくれます。

例えば、フェアリーテイマーはドライアードなどの妖精を呼び出して、一緒に戦闘で戦ったりします。さっきの”隣人”っていうのはこういうこともいいますね。

そうやって助けてくれたりもするんだけど、完全に人間の味方ってわけではない。水の妖精ウンディーネも、醜い男を川に沈めたり、水を汚す存在には積極的に攻撃しかけたりするからね。でも妖精っていうのがそういうモノで、そのうえで協力してもらう隣人。


メルリル :あとドライアード自体は樹木の妖精だから、森を豊かにする存在でもあるかな。


【GM】  :なので魔物ではあるけれども、「ドライアードだから殺す」っていうことはまずないかな。妖精見る度に殺してたらだいぶヤバいことになる気がするし……。


ティア  :でも、今回は実害出しちゃってるんだよね。


メルリル :うーん。実害は出してるんだけど、違いはドライアードが積極的に人々を襲うってことはしないところなんですよね。

今回はわざわざ奥地にきて悪事を働こうとしたのかどうかは、置いていても、人間がドライアードの領域まできたのが問題なんですよ。ドライアードは身近にエサが来たから襲った。それは妖精としてというか、生態としては当然なんですよ。


【GM】  :問題なのは人里に近いところにいるってことかな。


メルリル :あとまあ、怖いのは妖精の報復ですね。


【GM】  まあドライアードがというか、妖精という存在が人間と共存してやってきてるんだよ、っていう感じですね。


メルリル :メルリルがここで提案するとしたらギルドに報告して、ここにドライアードがいるから、封鎖してほしい、かな。


ティア  :封鎖ねえ……ギルドに報告したら封鎖ですまさないんじゃないかなあ。


【GM】  :どうかなあ


メルリル :ドライアードってこの一体だけじゃないし、人間たちがドライアードがここにいるっていうのを知らないのが問題なので。ドライアードがいて危険な森だから、立ち入り禁止区域に、という感じかな…。


ティア  :でもそうしたら、ミリカが会えるの? っていうさ。どっちみち詰んでない?


メルリル :そこはミリカが勝手に会いに行く分には、危険だってことを承知なら…


【GM】  : あとね……補足しておくとね、ドライアードは男性にしか魅了しないんですよ。女の子は魅了できないんだ!

ミリカには魅了はきかないのだ!

つまり……ドライアードの特性を逆手にとった百合だ!!!


メルリル :真実の愛、みたいなのを強調するために女性なんだよね?


【GM】  :(百合なのは単純にGMの好みなんだが)とりあえず、ミリカは魅了にかかってないままドライアードが好きなんです。


ハクマ  :ドライアード側は……?


【GM】  :ドライアードは、戦いのさなかに微笑みながら「愛か」と言ってましたね。リュシアンとメルリルの二人を微笑ましく見てたよな。そういうことなんだ。


あとみなさん。ここウルシラ地方なんですよ。メリアとエルフが多くて、二種族とも妖精と親しいです。その地域性を考えると、妖精ともっとうまくやれてるところがあるはずなんです……多分、多分ね!

いやー、ウルシラ地方や妖精やメリアに関するサプリ、欲しいナー。そのあたりもっと知りたいナー。


リュシアン:そこだけを聞くならば……リュシアンとしてはそれでもいいと思ってる、よ。あとこういうロールプレイをいれるかな、っていう考えはある。


【GM】  :あんまりドライアードのロールプレイをいれないでおこうと思ってたんだけど……ドライアードは仲間割れがしのびなくなった。


ティア  :ちゃんとロールプレイ返すから大丈夫だよ(めっちゃ優しい声で) あ、あとマンドレイクが管理されてる意味はあるんだよね?


【GM】  :あ、管理されてるのはただ単に高価な薬草園を守るためです


ティア  :マンドレイク自体に価値があるんだよね?


【GM】  :それはめちゃくちゃあります


ティア  :うん、OK。把握した

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