第488話 荒川放水路決戦場
上半身のほとんどを失った飛鳥は、復旧するにつれて、下半身の動きがなぜか良くなっていった。
「上半身の重さが無くなったおかげで、動きが軽いようですね」
なるほどな、まさかやられてメリットがあるなんて思わなかった。
「キノ、君はもし、デュレイザーム砲の射撃回数が3回を下回った場合、生存の可能性はあるのか?」
「解りません、、、初めてなもので」
それでも、彼の生存の可能性があるのであれば、俺はそれに賭けたい。
しかし、リチャード・シンも、あの規模のデュレイザーム砲を、既に2回発射している、リチャードの自我は、あと一発で消失すると言うことか?。
「それは解りません、私とリチャードは、全くの別個体、構造は同じガンバレル型でしたが、プルトニュームの量に違いがあります、日本製の私は、そもそもの核物質量が少ないのです」
そうか、楽観は出来ないな。
俺とキノが乗った飛鳥は、台東区方向からやや北部の荒川区方面へ進んでいた。
そして、
「雄介様、富岳は思ったより早いです、何でしょう、今までよりも動作が早く見えます!」
、、、リチャードも、この荒川放水路を決戦場と理解したってことか。
富岳の機動エネルギーにも、自分の核物質を削って燃料代わりにしているってことだよな。
「そうですね、GFのお考えの通りです、この動き、通常動力ではありません」
「キノ、君は真似するんじゃないぞ」
「ええ、、、出来ません、彼ほどタフではありませんから」
すると、リズが、再び叫んだ
「雄介様、危険です、新宿方向より高エネルギー体、来ます!」
今度は、地平線の向こう側から、全てをなぎ倒すように、富岳のデュレイザーム砲が放たれた。
俺たちは、直撃こそしなかったが、飛鳥の全身は焼けただれて、立っているのがやっとな程まで機能は低下していた。
「もう、逃げることも困難だな、キノ、やれるか?」
「はい、必ずや、一撃で」
キノのその一言を否定するように、猛スピードで迫る富岳の姿が、肉眼で捕らえられた。
「来るぞ!」
先ほど飛鳥がやった高速タックルを、今度は富岳が何倍もの速度でやろうとしている。
こんなのが当たったら、俺たちはどこまで吹き飛ばされるか、いや、、デュレイザーム砲自体が不能になってしまう。
これは、これだけは守り抜かなければ、これが俺たちの切り札だからな。
それまでスローモーションのようだった富岳の動きとはまるで異なる俊敏な動き、、、そして、、、当たる!
「ユースケー!!」
何?、今度はなんだ?
例によって、別の高質量が感じられる。
新手?
いや、これは、、、
ビッグ・ドット!
「まったく、新宿方面にって言うから行ってみれば、戦場が変わっているじゃないか、言えよ!」
ゼンガ!、おまえ、本当にこう言う時、頼りになるな!。
ゼンガは、体長10m程度のビッグ・ドットを器用に操り、とんでもない速度で鉄骨を振り回し、富岳の頭部めがけて一撃を喰らわした。
それは異様な光景だ、無敵の威厳を持った富岳の巨体が、たった10mの個体に殴られてゆくのだから。
ゼンガは、富岳の頭部に乗ると、鉄骨を何度も打ち付け、首がもげるほどの衝撃を与えた。
、、、凄いな、本当に勝ってしまいそうだ。
あの、動力を増した富岳を、まるで赤子の手をひねるが如く。
「キノ、準備はどうだ?」
「はい、あと2分!」
がんばってくれ、ゼンガ、あと、たった2分でいいんだ。
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