第73話 SIZの秘密

 俺は、今現在マキュウェルが置かれた状況を、自分で作った戦略構図から悟った。

 この図を見れば、誰でも北の隣国フキアエズ王国との同盟関係構築が、この国の安定に繋がることは予想出来る。

 そして、国家間が最も同盟を強化するために効果的な事柄、、、、それは両国王室や公爵家との婚姻が定番なのだ。

 そして、フキアエズの王子は現在25歳独身、マキュウェルは18歳、そりゃ婚姻の話しが持ち上がってもおかしくはない。

 ましてや結婚適齢期の二人、国民もそれを強く望んでいるだろう。

 しかし、それならば、わざわざ俺たちがこの世界に来なくても、普通に二人は婚姻成立し、同盟を組めたのではないだろうか。

 そこに、なぜ俺たちによるエラーノリターンが必要になるんだ?。


「ん?、どうした、シズ?」


 作戦図を見ている俺に、シズは後から抱きついてきた。


「、、、もうすぐ、GFが帰っちゃうと思うと、私、ダメだって解ってるんです、解ってるんですけど、もう、この気持ちが抑えられなくて、、、」


「シズは意外と甘えん坊なんだな、大丈夫、どこにもいかないよ」


「、、、、本当?」


「ああ、本当だ」


 ん? あれ、? なんだか俺は、ここに留まりたいと思うようになってないか?

 そんな時、まさか突然二人だけのこの空間に入ってくる人物がいた


「いけません雄介様!、SIZも離れて!」


 ええええ、玲子君、一体どうやって入ってきた?

 玲子君は、シズより少し大人びた制服を着て、いきなり出現した。


「SIZ、私はだめだって言いましたよね、これは一体どういうことですか?」


 俺に抱きついていたシズは、パッと離れて、気まずそうにしていた。


「玲子君、これは私が依頼したことなんだ、玲子君がそんなに怒るとは思わなかったんだ」


「いえ、雄介様は悪くありません、この危険性について、一番理解しているのはSIZなんです、、、SIZ、説明を」


「、、、、だって、、美鈴が羨ましかったんだもん、私だってGFのこと、触れてみたかったんだもん、甘えたかったんだもん、、」


 シズはそう言うとまた泣き出してしまった。


「玲子君、私にはその君の言う危険性とやらが理解出来ていない、今回の事は謝るから、もう戻ろう」


 玲子君は、そう言うと渋々ながら納得した。

 そして、この空間のリスクを聞いた。


「雄介様、この空間はいかがですか?」


「ああ、とても快適に感じる、むしろ肉体を離れた時の方が苦痛を感じないな」


「それがこの行為の危険なところです、この空間は麻薬と一緒です。苦痛に対するルールが薄いのです。長時間居続けると、肉体に戻れなくなりますので早く戻りましょう」


 なるほど、この空間なら、現実以上の快楽の中で暮らせそうだ。

 シズみたいな美少女に好き好き言われ、生活していたら現実に戻れなくなることも理解出来る。

 

 俺たちはこの空間を去ることにした。

 後を振り向くと、シズが寂しそうな顔で手を振っている。


「大丈夫だよ、シズ、また来るから」


「、、、雄介様!」


「だって、かわいそうではないか、シズはここで一人なんだぞ」


「いえ、意外と一人ではないのです。それはまた、いずれご理解される日が来るでしょう」


 、、、いずれ、ねえ。

 君たちは、俺に何を隠しているんだ。

 今回の事で、俺の未来には多くの事件やエピソードがあることが容易に理解出来た。

 ただ、シズの空間があることで、俺の人生にどんな苦労があっても、何か担保を得たような気がしていた。

 これで勇気をもって未来に進める。



※ 美鈴玲子のGF職員制服姿 ↓

https://kakuyomu.jp/users/wasoo/news/16817330668407667720


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