分岐世界の冒険者たち

第56話 メインAI「SIZ」

 タイムマシーンのコクピット内に突然女性の声が響く


「時空転移を開始しますか?」


 え、誰?、ちょっと、新キャラ登場しちゃってる?


「今の声は、誰だ?」


「ええ、彼女はこのタイムマシーンのメインAIで、「SIZ」と申します。」


「シズ、でいいのか?よろしく、シズ」


「、、、ご丁寧に、、どうも。お会い出来て光栄ですわ、GF」


「まあ、SIZったら、雄介様には随分しおらしいこと」


「美鈴、あなたこそ雄介様って、ちょっと馴れ馴れしいんじゃないの?」


 女友達同士の会話になってないか、これは。

 そう言えば、未来のAIは、人間と同等に扱われているんだったな。

 

「シズは、玲子君と知り合って何年くらいになるんだ?」


「はい、ほんの少し前ですが、美鈴のことはデータリンクで、もう随分前からよく知っていますわ、、、それにしても、お互い下の名前で呼び合うんですね、、、その美鈴とは、、」


 なんだか妙に女性っぽさを感じるコンピュータだな、中に人間でも入っているんじゃないのか?

 しかし、データリンクが出来ているなら、シズは一個の人間というより、母体のあるコンピュータの端末のようなものなのか?


「ならば、シズも、下の名前で呼ぼうか?」


「ひゃっ、私は下も上もありません、お気持ちだけで十分です!」


「そうなのか、それでは道中、よろしく頼むな」


「はい、GF、よろしくお願い致します。今後、あちらの世界では、GFの端末に入って、24時間サポート致しますわ」


 なんだか張り切っているな、彼女らAIにとても、GFとは偉いと認識出来る存在なんだな。

 しかし、AIに性別って必要あるのか?

 現世のAIって、声の性別は選べるけど、属性としての男女は無いはずだが。


「24時間も、申し訳ないな、君は寝なくて大丈夫なのか?」


「まあ、、、GFはさすがですね、とてもお優しい、、なんて罪作りなお方」


「、、、SIZ、お止めなさい、少し下品ですよ、あまりキャサリンを待たせてはいけません、エラーノリターンを始めましょう」


「はーい、美鈴は堅いんだから、、、それではあらためまして、、、エラーノリターンを開始します。エラーノリターンの申請をお願いします」


 急にコンピュータっぽい感じになったな、、、まあ、今更ではあるけど。

 で、申請って、どうすりゃいいんだ?


「雄介様、音声認識で行います、SIZに私と同じ言葉を発してください」


「何て言うんだ」


「はい、そのままエラーノリターンと呼称します」


 ああ、それ、ヒーロー物とかでやるやつだよな、必殺技の名前言いながらキックとかパンチするやつだよな、、、、

 二十歳過ぎてから、あれやるのか?

 ちょっと恥ずかしいけど、まあ、あれだ、ヒーローになった気分で、、もうやるしかないな。


「では行きます、「エラーノリターン」」


「、、、エラーーーーノ ッリッターーーン!」


「あ、雄介様、声の大きさは普通で大丈夫です。」


 、、、、そういうところだぞ、玲子君!

 ああ、もう、やった後だから、すんげー恥ずかしくなってきた、一生モノのトラウマだよ!

 きっと、心の中で、玲子君も笑っているんだろうな、、、

 すると、前の席に座っている、玲子君の肩が、笑いを堪えてか小刻みに震えていた。

 !

 もう、マジか?

 よく見たら、シズも、なんだかピンク色になって、、、これって笑いを堪えていないか?

 窓の外のキャサリンを見ると、、、

 あー、もう、大爆笑しているじゃん。


 まったく、なんて日だ!




※ メインAI「SIZ」シズの初期設定です ↓

https://kakuyomu.jp/users/wasoo/news/16817330668189616483

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