私は小説が書きたい。(本当のタイトル:紅椛は毎日何かを書いている。)

斜めの句点。

2021/05/10:はじめる事にした。―――――――――――――――#吐露

 小説家になろうと考えた時、一番初めに思い付いたのは「小説家になろう」であった。そうではない、いや、まったく違う訳ではないが、そうではない。


 昨今では、小説家になる為にはWEB上のサービスを使えば、ほぼノーリスクで小説家になれる。勿論成就するかは全くの別問題ではあるものの、なるだけならば容易である。私はそのような人間になろうと思った。


 今は昔、私はPSPを用いて小説を読み漁っていた。如何せんスマホも自身のPCも持っていない物だから、インターネットに接続する手段が他になかった。その頃はログインと言う物を過度に警戒しており、しおりだとか、ブックマークだとかの便利な機能を知らなかった。全くもって面白い物である。PSP自体に備わっているブックマーク機能を用いて全ての作品を保存、管理し、更新があったかを全てのURLを開くことで確認していたのである。一度作品数を数えたが、100を超えていた。非効率にもほどがあるのだが、家のノートPCを占有し始めるまでは継続されたのである。


 ともあれ、面倒なことを継続してすら読み続けたいほどには小説が好きなのであろう。漫画やアニメも好きなので、正確には創作物全般が好きな訳である。しかし読んでいると面白い感情が沸き上がる。


「自分ならばもっと上手くできるのではないか。」


 創作物には色々ある。先程述べたように小説や漫画といった、紙とペンさえあれば完成するもの、アニメや映画といった、一人では到底できそうにないものなど、始める事自体にバリエーションがある。


 私は長期的に面倒くさい事はしたくないので、小説を書こうと思う。PCさえあれば紙とペンは不要であり、実に短慮に開始できる。


 今日はその第一歩として、この文章を投稿しよう。


――――――


 今日の執筆を終え、PCを消す。

 自身としても初めての試みであるし、こういったことをしている人を見た事もない。探せばあるのだろうが、私の世界においては私は世界初の挑戦者である。


「誰かに話したい。……と思っても、話せない内容が多いし、話したい人もいないだろう。」


 夜中に自室で声を出しても、この家の住人は只一人。明日は学校に行かねばならず、声を発することなく数時間を過ごすのだ。風呂に入り、寝間着を着て、自分のしたい事をしているこの時間の方が喉の筋肉が動いているだろう。


「声を出さないと筋肉が硬直してコンビニとかで大変そうだ。カラオケでも行こうか。」


 誰もいないし、歌うだけならば家でもよい。しかし、環境を整えないと新しい事に挑戦できないたちなので、カラオケに行った方が良い。漫画があれば漫画を読み、小説があれば小説を読むのだから、カラオケに行けば歌を歌うだろう。しかし挑戦できないやつは1人でカラオケに行く事もできやしない。


「……これ以上考えても心に悪いだけ。どうでもよい事ならば考えない方がまだましだと聞いた。」


 頭に巻いたタオルを外す。深夜の1時を過ぎている。寝る事にする。

 部屋の明かりを消し、机の隣のベッドで布団を被る。この真っ暗な世界で物事を考えるのも心にはよくないらしい。しかし目を閉じると時間がもったいなく感じ、何かを考えたくなってしまう。


「校外学習のときの瞑想を思い出そう。」


 寺で瞑想させられた記憶がある。その時の話は何故が良く覚えており、座禅を組むこと以外に、瞑想する時は自身から50cm前の畳を見ると良いと聞いた。童心の私にはよく理解できていなかったが、今ならばその理由が少しわかる。


 人間の脳には処理能力の限界がある。視力を失った人の聴力が良くなったというノンフィクションがあるように、外部の情報すべてに対応できるほど人間は賢くない。


 よって「考えない」を達成するには、外部刺激によって脳の処理能力を低下させればよい。簡単な事だ、目を開けていればよい。それで足りないのなら何かを抱きしめればよい。誰かこういった研究をしている人はいないだろうか。


「それではおやすみ。」


 机のぬいぐるみを眺める。

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