Act.7
ミストルの街にある、公園みたいな場所にはベンチ設置されており、何人かの人たちが座って休んでいたり、談笑していたりしていた。
噴水もあって、より一層公園らしさが伺える。ブランコのようなものやアーチ状の遊具等、そういう物も置いてあり子どもたちが遊んでいた。
公園を後にし、再び街中の散策へ戻る。
折角来たのだから、冒険者組合に行くのは後にしても良いよね。今度エリシアちゃんを連れてこれるように、街を把握しておきたいっていうのもあるけど。
港街ポステル以上の活気さを感じられるこのミストル。
隣国からの人もやって来てたりして、色んな文化の交流みたいなのもあるっぽい。ミストルはフロリア王国側の国境沿いの街だが、ステリア王国側にも国境の街はある。それが前にちょろっと言ったメティアという街。
まあ、他の街は今は置いとくとして、このミストルはフロリア王国とステリア王国の国境にあるから国境の街と言われてるらしい。
ステリア王国側へ繋がる門も結構な人が並んでいるのを確認してる。それだけ、人と行き来が激しいという事だ。
さて、わたしが知ってる街について一度まとめてみようか。
まず、街ではないがアルタ村だ。わたしが一番最初にお世話なった村で、実際行った感じでは良い所だと思ってる。ただ平和なので、冒険者としてはあまり活動ができない。
次に港街ポステルだ。知っての通り、港街なので、海上交易が盛んな街。それもあって、品揃えも豊富で活気がある良い街だと思う。
海上隣国であるアスタル海王国との交易が多い。時々違う国との交易船もやってくるが、一番多いのはやっぱりアスタルだろう。
港街という事もあり、街の面積の約三分の一は港となってる。停泊している船の数は時期にもよるけど、一番多くて百以上。船が入れるまで時間がかかる場合もあるらしい。
で、三つ目が今日来たこのミストルだ。
知っての通り、国境沿いにある街でさっき説明した通り、人と行き来が激しい。港はないけど、それでも非常に賑やか。
わたしたちが住んでいるログハウスがあるのが新緑の森。
この新緑の森はフロリア王国のやや中央にあって、面積も広い。様々な魔物も生息しており、腕に自身がない人はまず寄り付かない。
新緑の森を中央として、西……左側にあるのがアルタ村、そのアルタ村の南……下方向にポステルがある。
そして新緑の森の東、つまり右側にはミストルと、隣国のステリア王国がある。
で、このフロリア王国の王都っていうのが、北に行った所にある。名前はフローリアと言うらしいけど、フロリアに”ー”付けただけっぽくて、結構安直だった。
王都というのにもちょっと興味はあるんだけど、アルタ村から歩いて二週間くらいかかる距離なんだそうで。馬車を使っても一週間はかかるみたい。
かなり遠い。でも、そっち側にも違う街とか村があるらしいし、興味はある。
「まあ……時間はたっぷりあるしね」
折角生まれ変わった今世、寿命は分からないけど普通に全うして死にたいと願う。この世界についてもっと知っていかないとね。
で、気になって以前調べたのが東の国と呼ばれてる国だ。
この辺りでは話題にすらならないほど、遠くにあり、小さな島国で周りが海に囲まれている国――
はい、バリバリ日本っぽい名前です、有難うございました。
海に囲まれている島国っていうのも日本と一致してるし、調べた限りでは建築物も日本風。まあ、日本風と言っても江戸時代みたいな感じっぽかったかな。
図書館で偶々見かけた大和王国についての資料に少しだけ載ってた。そんな大和王国っていうのが、お米とかを主食に食べている国なのだ。
地域ごと? に将軍って呼ばれる、こっちで言うなら貴族? みたいな存在が居るらしく、その人たちが領地を治めている国だそうで。
「……凄い馴染み深いと言うか、聞き覚えのある名称だよなあ」
おおよそ、江戸時代くらいの日本って言えば良いのかな。大和王国では刀っていう武器も使われてるみたいで、それは偶にしかこちらには流れてこない。
剣と違い、峰と呼ばれる部分と刃と呼ばれる部分の二つがあり、峰の部分では斬れないけど、殴られたらかなり痛いみたい。
刃の方の切れ味は非常に凄く、触れただけでも斬れてしまうと言われてる独特な武器だそうだ。
大和王国内ではどうだかわからないが、この辺りではかなりの高値で偶に売り出されてたりする。
服も独特だ。わたしからすれば馴染み深いけど、侍って言えば良いのかな? そんな感じの服だ。後、忍者っぽいのもあるしくノ一っぽい服も。
まあ、そんな訳でお米をこの世界でも購入できるようにするには、その大和王国に行かないといけない。
ただ世界地図を見た感じだと、ここからは超遠い、まじで遠い……更に船を使わないといけない場所でもあって、行こうとすればかなりの月日がかかる。
陸上の移動なら家に転移で戻れば良いけど、船の上ではそうも行かないよね。他にも人は乗ってるはずだし。
まあ、何れは行ければいいなって事で。
「ここがミストルの冒険者組合か」
もう少しだけミストルを見回った後、当初の目的地である冒険者組合へやってくる。
建物は二階建ての結構大きな立派な物だった。冒険者っぽい人たちの出入りも結構激しい。
今のわたしは背中にワンダーデスサイズを背負ってるから、結構抑止力になるかな? ただ、目立つのでやっぱり視線を少し感じる。
視線は置いておくとして、冒険者組合の建物の中へ入る。
「わーお」
アルタ村でもポステルでも無いような広いスペースが広がっていた。カウンターも5つくらいあって、それぞれに受付嬢が立っている。冒険者たちも何人か並んでいるようだ。
「いらっしゃいませ、冒険者組合ミストル支部へようこそ。お食事でしたら奥のテーブルへどうぞ!」
もう一つ違う物というのが、何とこの組合は酒場を兼用になってるという事だ。依頼とかのカウンターがあるスペースとは別に酒場用のスペースも有り、そっちにはイスとテーブルが何個も設置されていた。
既に何人かの冒険者っぽい人たちが座って談笑しながら軽いものを食べてる様子が伺える。
当たり前だが、受付嬢とは別に酒場用の職員も居る。ただ制服は異なってるっぽい。
受付嬢の方は如何にも、受付嬢をしてますよって感じの服装だけど、酒場の方はウエイトレス風の制服だ。
何というか、新鮮だったよね。
因みに二階には組合長とかの部屋とかがあるみたい。基本、一般人と言うか冒険者は一階を使う。
依頼掲示板も一階にまとめて並んでおり、当然のようにランク分けがされている。そして依頼の数も結構多かった。
行商人の護衛だとか、猫探しとか、ポーション納品だとか、種類自体も結構豊富に見える。
魔物の討伐依頼も多く、納品系の依頼も多い。そしてポステルとかアルタ村では見たことのない物の納品物もあるみたいだ。
掲示板をにらめっこしている冒険者も結構多い一番数が多いと思ったのはCランクの掲示板にある依頼だった。
冒険者ランクがCと言えば、一人前と見られるランクだ。現状、このCランクが一番冒険者が多いらしい。
色々と新鮮で楽しかった。
これは後でエリシアちゃんとティアさんも連れて来ないとね。そんな訳でわたし組合を後にするのだった。
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