長田の愉悦
相 合唆
一目遭ったその日から
僕の名前は長田。静岡の三〇自動車の高級車両の製造ラインで働いている。自分の仕事に責任を持って対応するのが、モットーだ。
ライン長「今日から、パートナーになる「竿(さお)くん」だ。長田くんよろしく頼むぞ。」
じじい「初めまして、竿好男(さお よしお)です。」
白髪と髪の薄さ、風貌から70代に見える。冴えないじじいだ。よく採用されたなあ。コロナで人材不足というが、うちの会社大丈夫か?
ピロン、ピロン♩
じじいの携帯が鳴る。ラインに持ち込んじゃダメと教えられなかったのか、というか切っとけよ。
じじい「はい。竿(さお)です。」と
イヤ、出るんじゃねえよ。
じじい「いや、もうすんません。すんません。今日中に必ず。ハイ、ハイイ、」
なんかもめているな。
じじい「なな長田先輩、なななな、何とか、この電話代わってくだせえ。」と
電話からは、おいこらてめえの怒号が噴き出している。
製造ラインが止まると、先輩の自分の責任になるので、仕方なく長田は、じじいの電話を取る。経験豊富な長田は、闇金からの督促電話とピンと来た。適当に、闇金の兄さんを遇らう(あしらう)。
じじい「ありがとうございます。ありがとうございます。お礼がしたいです。是非お名前を。」
さっきも言ったが、「長田」だ。
じじい「いや、下の名前を。」
何で?。
じじい「自分、イク時に下の名前を叫ぶタイプなんで。」
(スパナでやるか。)と、長田は、手に力を入れるが、やはり製造ラインを止めることはできない。
長田「無駄口叩かずに、作業に戻って下さい。」
じじい「わ、わしの、ゆっ、唯一、人に胸を張って自慢できることなんじゃ。」と、じじいは、ズボンを脱ぎ始める。
ドカ、「あっ」長田は、思わず蹴り倒した。しまったと反省する。
じじい「おふ」と、よくわからない呻き声(うめき声)を出しながら、半ケツで、倒れる。
じじい「み、見るだけ、わしの、ケツマンコを、一目見てくだせえ。そしたら作業に戻りまするう。」と
長田「見たから戻りな。」
じじい「わしくらいになると、アヌスが視線を感じるんです。長田くんの視線が刺さってこない。ちゃんと見てください。ほれ♡。」
じじいが、両手で、ケツを広げる。
(ちっ)っと、長田は仕方なく茶番に付き合うことにして、汚えじじいのケツを見る。
「わん。くうん。」と、何故かそこには、ハナちゃんがいた。ハナちゃんとは、長田が中学生の時分、飼っていた犬だ。
〜回想〜
ハナ「キャいん、キャいん。・・・くうん。」
長田「ハナ・・・。大人しくしろよ。」
幼い頃から、ませていた長田が、家で飼っていた美雌犬(びめすけん)のハナとその様な関係になったのは、クラスに2人か3人くらいはある、ごく自然な事であった。
ハナが妊娠した時の、長田の狼狽様(うろたえよう)は、家族はおろか近所も不思議がったものである。
・・・・・・・・・・・・
じじい「いつでもええぞ。・・・くうん。」
じじいのケツマンコは、ハナの花弁とそっくりであった。しかも、じじいは、ハナが発情した時の、鳴き声まで知っている。
(くそ。)長田は、初体験の射精感(ああ、それは刺激的且つ甘美)を期待しながら、抗し難い何かに誘われる様に、製造車両の箱の死角で、じじいのケツマンコに挑んだ。
・・・・・・・・・・・・
「次からは、1万円じゃぞ。」と、
放心状態の長田を横に、じじいは身支度を整えながら伝えた。
「あとは、長田くんの下の名前を教える事。そうそう、イク時は、ハナじゃなく、好男(よしお)と言ってくれ。じゃが、無理は言わん。」
長田は、激しく寄せる後悔の波に翻弄されながら、ライン(作業)に戻った。
(俺は何をやってんだ。)長田は、吐き捨てる様に、つい今しがたの過去の事実を消したいと思った。実に恐ろしきは性欲也。
しかし、まさかこの意味不明の関係が今後も続くとは、長田は想像できなかった。
~完~
長田の愉悦 相 合唆 @ookuwa
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