三章 革命前夜、茨の黒魔女への挑戦 その9 完

「はっ。」

 フェリシアはふと起きた。

「お目覚め?」

 視界には清子の優しそうな顔があった。フェリシアの頭は清子の膝に乗っていたのだ。フェリシアはゆっくり起き上がった。

「ええ!」

 目の間には黒い煙や縛られた数人の男たち、【私はバカです。】と書いてある紙が胸元に貼られたファブリとマリンが気絶していた。フェリシアは答えを求めるべく清子と目を合わせる。

「……どういうこと?」

「あなた達に内緒で、ファブリちゃんが援軍を呼んでたのよ。」

「ああ……にしてももっと素性がまともな人達を選べなかったのかしら?」

「ねーっ。……はいこれ、あのお兄さん達の杖奪っといた。」

 清子は数本ある棒をフェリシアに手渡しした。

「あなたの相方が蒔いたことだから、後処理任せていい?」

「ええ。……清子ちゃん、あなた…。」

 フェリシアは無意識に清子の髪を触ってしまった。別に清子はフェリシアのことを悪くは思ってないため、気にしなかった。

「ちょっと濃くなっている? ……キレイ。」

「ありがとう。」

 清子は素直にお礼を言うとホウキに跨り、飛び立とうとした。フェリシアがあることが気になって、引き留める。

「ファブリが、あなたが国営魔導士の推薦状が幾つもあったのに蹴ったって。本当?」

 清子はその質問に一回頷くと、フェリシアはさらに問い詰める。

「あなたはこの世界に何をもたらすの?」

 この質問に対して清子は少し黙り込んだ。彼女のホウキは浮上した。

「しばらくはフリーの魔女として人助けの旅をするわ。救いの光が届かない夜が来るかもしれない…でも、もうちょっとよ。もうちょっとで新たな女王が誕生する。」

 清子は誇らしげに宣言すると夜の空へと飛んで、そのまま国を去った。




三章 革命前夜、茨の黒魔女への挑戦

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