罰ゲームだからこそ、面白おかしく3人に告白してフラれようとしたら・・・OKでした!・・・あれぇ??

黄色いキツネ☆

第1話 罰ゲームで嘘告しました!



「はい、というわけで!」

「朔夜くんのぉ!」

「罰ゲーム決定!」

「ぬがあああああ!」


 高校2年生になって早1カ月。


 新しいクラスに仲の良い友人も出来た今日この頃。


 昼休みに、俺・星空朔夜を含めて友人と4人でゲームをやっていて、昼休み残り10分となった所でのラスト勝負。


 ラストはただ勝負するだけでは面白くないから、負けた者は罰ゲームをしようと誰かが言った。


 言ってしまったのだ・・・


 くそっ、誰だ!?

 罰ゲームなんて言いだした奴は!


 ・・・あ、俺でした。


 ちくしょう!

 だって、今まで全勝してたんだから、負けるなんて思わないじゃんかよぉ!


 勝って、負けた奴が悔しがりながら罰ゲームをする姿を見て、勝利の美酒コーラに酔いしれようと思ったのにぃ!


 なんでこんな事に・・・(自分のせいだが・・・)


 しかも罰ゲームの内容が、クラスの女子に噓告するだと!?


 くそっ、誰だ!?

 罰ゲームの内容を考えた奴は!!


 ・・・あ、俺でした。


 だって、何度も言うけど俺が負けるとは思わなかったんだよぉ!


 まあでも、恥ずかしいとはいえ、昼休みも終わりに近づいているので、クラスの皆はすでに戻ってきている。

 だから罰ゲームの内容もあえて大声で話していたので、クラスのほぼ全員が知っている。


 というよりも嘘告をするのだから、相手が真剣に悩まないようにわざと全員に聞こえるように話していたんだけどな。


 クラス中が冗談で済むように。


 好きです!→ごめんなさい(即答・むしろ食い気味)→ぬおおおおおお!→それを見て皆爆笑


 という構図が理想である。


 まあ、ターゲットにされた女子も、少し恥ずかしい思いをするかもしれないが、そこはご愛敬。


 一言、“ごめんなさい”と言うのに付き合ってくれればいいだけ。


 とはいうものの、誰にすればいいのか悩む。


 別に好きな女子がいるわけでもないし・・・


 いや・・・

 居たら居たで、冗談でも“ごめんなさい”をされたら立ち直れないだろう。


 俺が嘘告する相手を誰にするか、「う~ん、う~ん」と悩んでいると・・・


「おーい、早くしろよー!」

「昼休みが終わっちゃうぞー!」

「いいから、早く玉砕してこい!」


 くそっ!

 こいつらめ!


 自分が罰ゲームするんじゃないからって、余裕かましやがって!


 一体誰のせいで困っていると思ってんだ!?(もちろん自分のせいです)


 ふざけた罰ゲーム思いついてんじゃねえよ!!(自業自得です・・・ごめんなさい・・・)


 ま、まあそんな事はこの際置いといて。


 早くしないと、本当に昼休みが終わってしまふ。


 さて、どうしようか・・・


 と考えた所で、名案を思い付いた。


 くくくっ!

 よし、この際だ!

 盛大に散ってやろうじゃないか!


 目に物を見せてやる!


「よし決めたぞ!お前らに俺の勇姿を見せてくれるわぁ!覚悟するがいい!ア~ハッハッハッ!」

「お前はどこぞの魔王だよ・・・」

「いや、勇姿とか言ってる時点で、魔王とも違うんじゃ・・・」

「・・・壊れたか?」


 おい、そこっ!

 うるさいよ!


 黙って見ていなさい!


 俺は意を決して教壇へと向かう。


 何をするか知っているクラス中が俺を注目し、しーんと静まり返る。


 いや、クラスが静まるなよ!


 黙るのはあいつらだけでいいんだよ!!

 ワイワイガヤガヤしてろや!


 ふ、ふん、まあいい・・・(汗)


 皆の度肝を抜いてやろうじゃないか!


 皆の視線を一身に浴びながら、俺は覚悟を決めて口を開く。


「・・・綾瀬さん」


 と、俺が名前を出した所で『おお~!』という声があちこちから上がる。


 というのも、綾瀬こと綾瀬瑞穂はクラスの中では間違いなく一番可愛い。

 いや、学校中でもかなり可愛い方だろう。


 彼女に告白した男子は数知れず。

 実際、同じクラスになれた事の嬉しさに驚愕し失神した者(誇張)もいたとかいないとか。


 まあ俺自身は、可愛いとは思うがアイドルとか女優みたいに、可愛いけど手が届かない存在という認識であるため、そこに恋愛感情は抱いていない。


 というより、俺はアイドルとか女優は非現実的な存在として考えているため、そこまで興味ないし。


 まあ、そんな話はどうでもいいとして・・・


 彼女を選んだ理由は、さっき言った告白した男子は数知れずという所。


 なぜなら、そのすべては玉砕しており、告白されるのも“ごめんなさい”と言うのも慣れていると見たからだ!

 というよりも、この件では“ごめんなさい”を気負わずに言えるだろうからね。


 正に嘘告には打ってつけ。


 ・・・しかし、これで終わると思う事なかれ。


「・・・そして、花崎さん」

『・・・はっ?』


 俺がもう一人の名前を挙げた事で、クラス中があっけにとられる。


 くくくっ、俺が嘘告するのは1人だけだと思うなよ?


 次に俺が名前を挙げたのは、花崎みなも。


 彼女は明るく活発で、男女隔てなくフレンドリーである。


 だから彼女と接する男子は、彼女が自分に気があるのでは?と勘違いして告白し玉砕するという事案がよくある。


 花崎も男子からよく告白されるように間違いなく可愛いのだが、綾瀬との違いを言うと、綾瀬がロングの髪が似合う綺麗系だとすると、花崎はツインテールの印象が強い可愛い系だ。


 だが、俺は他の男子と違って花崎に絆されたりなどしてはいない。


 むしろ、友人としてちゃんと線引きしている。


 ただ今回は、そんな彼女に俺も篭絡されたという設定にして盛大に散ろう。


 2人も名前を出した事で、「こいつばかか?」という視線や、「早く告白しろや!」という雰囲気がひしひしと伝わってくる。


 しかし、これだけでは終わらない。


 更に・・・


「・・・佐久間さん」

『・・・はああああああ!!??』


 クラスの皆は、俺が2人に告白するのもおかしいのだから、流石に3人目はないだろうと思ったのだろう。


 くくくっ、甘いな・・・甘すぎる!

 チョコレートケーキにチョコレートソースをたっぷりかけて食い、その上でホットチョコを飲むくらい甘いぞ!!


 俺が名前を挙げたのは佐久間千里。


 佐久間は弓道部に所属し、清楚で凛とした佇まいをしており、ポニーテールにしている髪が彼女によく似合っている。


 彼女も綺麗なのだが、前者2人と違って男子からはお近づきになりにくい感じがある。


 そのためか、佐久間はあまり告白されたという噂はあまり聞かない。


 だからこの嘘告で、告白される事と“ごめんなさい”に慣れてもらう事にしようと考えたのだ。


 俺は佐久間とは比較的仲が良いと思っているし、笑って許してくれるだろう。



 俺が3人も名前を挙げた事で、クラス中の皆が「こいつ何考えてんだ!?」という顔を俺に向けている。


 ふん、馬鹿者どもが!!


 これはクラス中が知っている嘘告なのだ。

“ごめんなさい”を言われる事が前提なのだ!


 いわば余興である。


 余興とはいえ、どうせ恥をかくんだ!

 だったら、盛大に面白おかしくしてやろうじゃないか!!


 さあ、せいぜい俺の悲惨な姿を見て盛り上がるといい!(・・・くすん)


 よ、よし!

 じゃあ、いくぞ!


「・・・す、好きです!付き合ってください!」


 そう言いながら、頭を下げて右手を伸ばす。


 くっ、いくら嘘告とはいえ、流石に緊張してどもってしまった。


 なんか、本気で言っているみたいになってしまったジャマイカ!


 うおっ!

 俺が自分で思っているより、緊張しているのか!


 頭の中で、くだらないオヤヂギャグが出るとは・・・


 いや、ていうか・・・


 返事まだなの!?


 長すぎね!?


 俺の計画では、「好きです!付きあ『ごめんなさい!』」と、3人から食い気味で断られるはずだったのに・・・


 いやもしかしたら、緊張で一瞬が物凄く永く感じているだけかもしれない。


 とはいえ、この緊張感がやばい!


 心臓のバクバク感がひどいし、冷や汗が止まらない・・・


 このまま「まて!」状態が続くと、俺は心臓破裂で死ぬかもしれない。


 だから、早く早く!と凍頃の中で考えていると・・・


 頭を下げている俺の耳にトットッと3つの足音が聞こえ、誰かが近づいてくる事がわかった。


 な、なんだよ!


“ごめんなさい”を言うのに、わざわざ近づいて言わなくても、その場で言ってくれよ!


 足音が止まると、頭を下げている俺の視界ギリギリの所に3人の足が見える。


 なのに、まだ“ごめんなさい”は無い。


 何でもいいから、早く早く!


 早くしないと、俺の心臓があああああ!!


 と、心の中で叫んだところで・・・


『・・・お願いします』


 という言葉と共に、俺の手には3つの手が触れる感触があったのである。


 ・・・・・あれぇ??



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る