浴衣
さとすみれ
第1話
携帯を持っていない、可愛いブルーの浴衣を着た彼女とはぐれた。
さっきまで俺の目の前で美味しそうにいちご飴を食べていた彼女が。俺が棒を捨てに行っている間にどこかに消えた。捨ててくるって言ったから探してるってことはないと思うんだが……。
……もしかして先に行ったのか。俺は人混みをかき分けて神社の方へ進んだ。ここのお祭りは神社のある山の上から見る花火が綺麗ということで有名だ。人に当たるたびに「すみません」と謝りながら神社を目指した。
神社に着いた僕は驚いた。誰もいない……。あっ。今って何時だ。左腕をふっと上にあげて浴衣を肘に寄せ時計を見てみると六時をちょっと過ぎたところだった。確か花火って八時からだよな……。葵が目をキラキラさせながら言ってたよな……。だからここには誰もいないのか。二時間も早く来るやつなんていないか。俺は今来た道を戻り始めた。
神社に行くための階段を降り、両脇にある屋台をスルーして、葵とはぐれたところまで戻ってきた。どこに行ったんだよ、葵。
その時、俺の名前が聞こえた。
「悠真くん――」
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