第15話 青山美智子『お探し物は図書室まで』
あらすじ
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。
彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。
狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。
話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集......。
そして選書が終わると、カウンターの下にたくさんある引き出しの中から、小さな毛糸玉のようなものをひとつだけ取り出します。本のリストを印刷した紙と一緒に渡されたのは、羊毛フェルト。「これはなんですか」と相談者が訊ねると、司書さんはぶっきらぼうに答えます。 「本の付録」と――。
自分が本当に「探している物」に気がつき、
明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
感想
仕事が辛いと思っている人、やりたいことが見つからない人、生きている意味がわからない人、人間が嫌いな人、やりたいことがあるのに諦めている人、本が好きな人、に読んでほしい本です。
あなたのお探し物が必ず見つかる心温まる物語です。
私が1番心を掴まれたのは、二章の 涼 三十五歳 家具メーカー経理部 のところ。
自分の好きなことができる店を起業したいと思う主人公。
けど、いつも後回しにして、起業なんて夢のまた夢だと思っていた。
しかし、サラリーマンと並行して起業するということを予算や時間など考えるようになる。
副業で、起業した男にあった時、
「実際儲かるんですか?」
と聞いた。すると、その男は、
「本屋に関しては儲けよりも精神的な充足をもらっていると思います」
と答えていた。
なるほど。と思った。
サラリーマンを続けて安定的に収入を得る、そのかたわら、好きなことに時間を費やす。
そんな生活、素敵! と思った。
自分が本当にやりたいことは、なんなのか、考えるきっかけになる話でした。
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