読了した本

みお

第1話 湊かなえ『ブロードキャスト』

 私が湊かなえが好きだ。

イヤミスの女王、湊かなえ。人間の奥に潜む心理などを描写し、見たくないと思いながらも読み進めてしまう、嫌な汗がたっぷり出るようなそんなお話を書く。人間の嫌な部分をうまく書いているところが堪らなく好き。

 


『ブロードキャスト』

あらすじ

町田圭祐は中学時代、陸上部に所属し、駅伝で全国大会を目指していたが、3年生の最後の大会、わずかの差で出場を逃してしまう。その後、陸上の名門校、青海学院高校に入学した圭祐だったが、ある理由から陸上部に入ることを諦め、同じ中学出身の正也から誘われてなんとなく放送部に入部することに。陸上への未練を感じつつも、正也や同級生の咲楽、先輩女子たちの熱意に触れながら、その面白さに目覚めていく。目標はラジオドラマ部門で全国高校放送コンテストに出場することだったが、制作の方向性を巡って部内で対立が勃発してしまう。果たして圭祐は、新たな「夢」を見つけられるか――。



 『ブロードキャスト』を読んでみて感じたのは、「あれ、いつもの湊かなえと違う」だった。なにか事件が起こるのか?と思いきや、何も殺人事件は起こらず、青春ストーリーで終わった。でも、その中でも、高校生ならではの悩み、スクールカーストの嫌らしさがうまく書かれていた。

 自分では変えることのできない運命に、思わず同情してしまう悲劇。体育会系ならあるあるのライバル視、負けず嫌い、憎しみが青春ストーリーの中でも表れていた。

 特に、陸上部の大会メンバーを決めるシーンの登場人物たちの思いは痛いほど身に染みた。自分は到底勝てない絶対的力量を持った友達の存在、毎回スタメン落ちの友達の存在、そして、絶対にスタメンに入りたい自分。その関係が強く結びついたり、怒りに繋がったり。

 

 青春ストーリーが好きな人にはおすすめのお話です。

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