第2話 食堂にて
ここは我が国ベルガルド王国の王都ガベルにある王立学園で、15歳になり入学試験を突破し学費が払えれば基本的に誰でも入れる。そうは言ってもやはり貴族の割合が多くなる訳だが。
私も今年入学した。入学してそろそろ2ヶ月が経とうするこんな中途半端な時期に転校して来るなんて珍しい。
私は双子の兄妹をじっと見詰める。似てないな...二卵性の双子なのかも知れないが、全く似てない。男の子の方(多分こっちが兄なんだと思う)は、黒い髪に碧い瞳の目が覚めるような美男子だ。女の子の方(恐らくこっちが妹だろう)は、真っ白な髪に赤い瞳の物凄い美少女だ。
クラス中が大騒ぎになるのも無理は無い。男子も女子もみんな夢中になっている。かくいう私もその1人だ。ただそれは2人の容姿もそうだが、それだけじゃない。2人の名字のベリンガムっていうのはひょっとして...私が物思いに耽っていると担任の教師が、
「ほらみんな静かに! 2人がビックリしてるじゃあないの! 今日の日直は誰?」
「あ、私です...」
押し付けられましたとは言えない...
「アイラさんね。じゃあ後でこの2人に校内を案内してあげてくれるかしら?」
「は、はい。分かりました...」
途端にクラス中から刺すような視線が...いや、日直押し付けたのあんたらだろ...なんだその羨ましそうな顔は...
「アイラさんって言うんだ。よろしくね!」
恐らく妹の方がフレンドリーに話し掛けて来る。笑った顔は見惚れるくらいの美しさだ。
「よろしく~」
多分兄の方は軽いノリだ。こっちも近くで見ると目が眩むほどのいい男だ。私はそんな美形双子を引き連れて、校内を案内するという大役を任されたのだった。
◇◇◇
「えっと、それじゃあリク君がお兄さんで、クウさんが妹なんだね?」
今はお昼休み。食堂でお昼を一緒に食べた後、これから2人に校内を案内する予定だ。最初の印象通り兄妹で合っていたようだ。
「固いなぁ~ リクとクウでいいよ。同級生なんだしさ、ラフに行こうよ。俺達もアイラって呼ぶからさ。なぁ?」
「うんうん! これからよろしくね! アイラ!」
そう言われては是非もない。
「分かった。リクにクウ、改めてよろしくね? それでさ、ちょっと2人に聞きたいことが」
「あら~♪ アイラさんじゃあ~りませんの♪ 貧しいあなたに食堂で食べるお金があるのかしら~♪ キャハハハッ!」
「きっと雰囲気だけでも味わいたかったんじゃあ~りませんの♪ キャハハハッ!」
私は心の中で舌打ちした。厄介なヤツらに絡まれた...
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