後書き&お知らせ

忘れられ師の英雄譚:後書き(本編ネタバレあり注意)

 皆様。一気に冬の寒さが迫る中、いかがお過ごしでしょうか。

 しょぼん(´・ω・`)にございます。


 ついに、忘れられ師の英雄譚、全三巻+アフターストーリー、完結にございます。

 総文字数58万文字以上。話数175話の物語、いかがだったでしょうか。


 今回は完結フラグも立てていますので、沢山想いを語りたいと思います。

 勿論大量にネタバレ含みますので、よろしければ本編読み終えた後にお読み頂けたら幸いです。


   § § § § §


 さて、この物語。

 最初は一巻部分だけの構想でしたが、気づけばほぼ毎日更新で約半年に渡って連載いたしました。(巻の間で1、2日空けた位で、後はもう毎日ノンストップでした)


 まあ正直よく書いたなという想いでいっぱいな訳ですが、何時もお話しているように、お陰様で自身の作品でも記録尽くめの大作になってしまいました。


 100万PV超えにしても、星2000超えやブクマ4000超えにしても、本当に驚きしかありませんでしたからね。

 それだけ多くの方々に読んで頂けて、本当に嬉しく思います。


 作中、皆様が一番焦ったかったのは、やはりカズトの性格や行動だったのではないのでしょうか。


 常に自信はなくて、何処か自分なんてどうでもいいから、と下手に色々考え過ぎて身を引く姿に、巻を進めていく中で、


「偏屈すぎなのでは?」

「拗ねてる?」

「擦れてるんじゃ?」


 みたいなお話を頂くことも多かったと思います。


 これ、実はちゃんと理由があります。

 読者視点では勿論そう映って然るべきなんですが、作中でカズトは自らを「どちらかと言えば陰キャ寄り」って表現してるんですね。


 で。

 本当は夢を与えるべき作品で、そこまで表現すべきかはどうかって話は置いておきますが。


 自分が過去に読んだWeb小説で「陰キャ」、「引き篭もり」と設定のある主人公が異世界転生した時、それをさっぱり感じさせない前向きさと自信ばかりあるキャラが結構いまして、自分は常々思ってたんです。

 それは設定した意味あるのかって。


 実は作者も学生時代から、カテゴリーでいうなら陰キャ寄りでした。

 で。表向きの性格って、人見知りであってもうまく繕える人(逆に話をしすぎてそう見てもらえない)は多いのは自己経験もあって実感してましたし、それは全然ありなんですが。

 陰キャって内心、そこまで自分に自信ないんですよ。

 だから、自分はある意味カズトと同じ「他人には前向きになってほしいけど、自分には後ろ向き」な人間でした。


 だからこそ、彼はそういう設定した性格通り、彼なりの人間味ある行動をしてきたんですね。

 追放を多く経験したからこそ、より自信も持てませんし、何処か擦れた性格にもなった。

 そんな中で、自分を仲間と扱ってくれたロミナ達だからこそ、彼女達の力になりたい。

 だけど自分がいた所で彼女達が幸せなわけじゃない。だから、彼女達を助けるだけ助けて去っていく。


 どうですか?

 めっちゃ陰キャでしょう?(汗)


 主人公にそう設定したからこそ、彼は彼なりの心の苦しみとか、人と深く付き合う不慣れさを見せてたんです。


 ぶっちゃけ距離感がわからないから、慰める時に簡単に頭を撫でたりもしてますし、自分がいるより皆が幸せであって欲しいからと、下手な気遣いも見せてしまう。

 多分そういう意味で、ある意味主人公らしからぬ、だけどある意味本当に陰キャな要素を持った主人公だったと思っています。


 実の所、この性格故カズトの行動に対し厳しいお言葉もありましたし、そう映るのかとショックも少なからずありました。

 ですが、それでも敢えて、この考えをぶれさせはしませんでした。

 人が自信が持てない部分って、やっぱり早々変われないだろうって考えを持っていましたので。


 まあ、こんなカズトだったからこそ、あの二巻があり三巻となった訳ですが。

 こんな彼に嫌気が差した方も多かったと思いますが、それでも同時にカズトの優しさ、漢気に、


「頼むから幸せになってくれー!」

「報われてくれー!」


と願って読み続けて下さった方々には、本当の感謝しかありません。


 当初から公言していた通り、個人的に最後はハッピーエンドじゃないと嫌な性格です。

 そこに至るまでかなり掛かってしまいましたが、作品の最後は、ちゃんとハッピーエンドを感じ取って頂けたのではとは思っています。


 ちなみに一巻連載後半から、このエンディングは意識していました。

 細かな合間のプロットは変わってますが、二巻ではひと時の再会を喜び、三巻で記憶から魔王が復活し、しかしそれを乗り越えて皆の元に戻る。これは既定路線でした。

 

 そんな中、やはり読者がある意味驚き、ある意味反響があった箇所はやはり、皆様も記憶に新しい、三巻のワースの試練でしょうか。


 嫌われる。


 この一言はとても軽そうに聞こえるのに、実際は恨まれている程の嫌われよう。

 これにショックし、お怒りになった方々も多かったのは、実は結構驚きでした。


 作者からすると、ワースも何だかんだで宝神具アーティファクトでしたからね。

 ギアノスですら死のトラウマを持つ程の試練。

 それがワースになった途端おちゃらけた簡単な試練になるのは可笑しいと思っていたからこそ、心を鬼にして書きました。

 が、それ故にかなりワースが嫌なキャラに映ったかもしれません。


 でも、ここでに反響は「ちゃんと読んでもらえたからこそ」という感想も多くて、皆がカズトをここまで見てくれたからこそ可哀想だと仰って下さったのは、本当にありがたかったとも思っています。


 そして。

 実はこういった辺りで皆様の色々な想いをコメントで読んだからこそ、〜未来の書〜ではそんな読者様の言葉を借りたシーンがいくつかありました。


 ミコラがワースに叫んだシーン。

 あの台詞はその最たる例です。


 あれだけの事をしておいて、何で他人事のように語るのか。

 ワースこそカズトを死に追いやったようなもの。


 あの叫びこそ、皆様の言葉があったからこその台詞でした。


 運命の六日間で、ロミナがカズトに口にした、そんなの仲間じゃないという言葉もまた、読者様が仰っていた言葉でもありました。


 分かるんですよ。

 本人じゃない視点からしたら、そういう想いになって当たり前で、正論なんです。

 そしてそれこそカズトが反省すべき所。


 だからこそ、皆様の代わりに語っていただきました。

 こういった部分は、自身の今までの作品になかった事だと思っています。


 まあ読んでいただいた方ならわかるように、自分は作者として書きたい性分ですからね。

 ですが、いただいた想いはごもっともで、納得できるもの。

 三巻は特に、ストックしつつ連載もしていた期間だからこそ、今回はそんなシーンも盛り込んでみました。


 作者の想いと読者の想い。

 それを両方何らかの形で描けたのは、自分にとっての驚きであり、喜びでした。

 そういう意味でも、皆様と共にあれた作品だったと思います。


 ちなみに作品のタイトル通り、忘れられ師だからこそ、記憶に纏わるエピソードは多かったのですが。

 二巻、三巻と行くに連れ、本当に読者の記憶力を試すかのように、過去と今のシーンを重ねたり、過去を振り返るシーンが非常に多かったと思います。


 正直な所、二巻以降を書く時点で、忘れられ師としての記憶に絡む展開は絶対必要だと思っていました。

 そして同時にしょぼん(´・ω・`)さんは好きなんですよ。過去があったから今があるという展開が。


 過去の事は気づくと関係なくなってしまう(というか語られなくなってしまう)作品って往々にしてありますし、それは新鮮な風が続く意味で良さもあります。

 ただ、自分は「過去があり、乗り越え成長したからこそ今がある」と思っている人なんですね。

 だからこそ、そういうシーンを沢山入れちゃうんです(汗)


 特に、三巻は集大成を見せようとしました。

 だからこそ、本当に一巻、二巻を思い出させるシーンがとても多かったんですよ。


 カズトが心残りとしていた、魔王との戦いに同行できず、彼女達が苦しんだ過去。

 ロミナがカズトと共に負ったトラウマと、交わした約束の数々。

 カズトとの再会の場に共にいた、絆の女神だったはずのアシェ。

 そして最初に追放されたカズトと、最期に受け入れられたカズトのシーン、などなど。


 あの時の事があったからこそ今がある。

 あの頃の幸せだった過去に繋がる今がある。


 そんな過去と今、そして未来を繋げるべく、記憶に残るべき物語として書ききりました。

 この辺は運命の六日間なんかでもふんだんに使われてましたね。


 運命の六日間といえば。

 実はこれ、流れ的には蛇足かと思ったりはしていました。

 一人頭二話。計六人分のエピソードが再会後の展開であったので、ちょっと間延び感あるかなっていう不安はあったんですよね。

 ただ、それでも敢えてこれを盛り込んだのは、最後は読者も楽しめないとという一心でした。


 いやですね。

 正直作品書いていて嬉しかったのは、皆様のカズトへの思い入れもありましたが。

 何気に一部女子を推してくださる方々がいらっしゃったのもあるんですよ。


 あくまで応援コメントからの体感ですが、一番人気はまさかの二巻から登場したアンナ。

 美人で気立ても良くて、何処か優しいメイドの彼女ですが……皆、こういうの好きですね~。しょぼん(´・ω・`)さんも好きですけど(にっこり)


 実はアンナは二巻書き出した直後には存在していないキャラでした。

 シャリアが実は弟を亡くしていて、それがカズトそっくりだとか、ロミナの師匠だって設定はあったんですがね。


 ただ、シャリアとの一章を書いている時思ったんですね。

 ロミナ達と再会するまでの間をどう繋ぐかと。


 そこで登場したのが、丁度彼に付いて行動する事になったアンナでした。

 暗殺者という暗い過去がありながら、シャリアに救われメイドとなった彼女。

 そんな彼女をキーに事件がひとつ起きる。

 最初はそんな軽い気持ちだったのですが、書いている内に作者もアンナが気に入りまして、そのまま準レギュラー扱いになりました。


 ですが本当に、二巻の時点で「これぞ真ヒロイン!?」なんて言われたりもするほどに、アンナファン多かったですね~。

 何気に皆様忘れかけているかもしれませんが、カズトのファーストキスを奪っていますからね。

 色々と健気な彼女の魅力は、三巻でも出せたのではないかと思います。


 次にファンが多かったのは意外にもキュリアでした。

 実は彼女。第一巻の出番が一番少なかったんですよね。

 留守番組の中でも、ロミナはまだインパクトある闘技場でのカズトとのやりとりなんかがありましたけど、キュリアはあの頃あまり表情もなかったし、ただの無口な娘じゃないかってなってまして。


 だから、二巻では出番をあげようと考えて、雨宿りのシーンなんかも書いていた訳ですが。大きな転機はやはり、実は二巻のサイドストーリーではないでしょうか。

 彼女も何気に健気な一面もありましたし、カルドがカズトだと知ってからの葛藤は、何気に皆様の心を掴み始めていましたね。


 そして三巻ですよ。

 母フィネットのお陰もありますが、一番最初にワースの試練の中でもカズトを信じて頑張ろうとする健気さと、料理作ればポンコツだけど、ある意味真っ直ぐな純朴さだったり。


 途中から少しずつ表情も豊かになっていく、ある意味でカズト以上に成長というか、変化を感じるキャラだったのもあって、キュリア推しの方も結構いらっしゃいましたね。

 ちなみに、ふんすとやる気を見せるシーンは個人的にお気に入りです。


 こうなると正ヒロインポジションっぽいロミナの立場も危ぶまれましたが、こちらにもファンがいてだくさったのはほっとしました。


 ある意味良識もある、カズトに一番普通の女の子として接していたイメージのある彼女。

 そういう意味でかなり良い感じのキャラで、しょぼん(´・ω・`)さんも勿論好きなキャラなんですが。


 ~未来の書~にいくまでの三巻は、ロミナが笑顔になれるシーンがまったくなくって、本当にファンには申し訳なかったなと思います。

 その分、~未来の書~の一章は彼女中心で色々な想いの揺れ動きを描きましたし、二巻で何気に一人いい思いしていたりもしましたので、そこはご容赦いただけたらなんて思います。


 今の所、~未来の書~で記憶を思い出してからカズトといるのを迷った三人は、残念ながらあまり推されてない気配です(泣)

 といっても、三者三様に持ち合わせたヒロインっぽさはサイドストーリーなんかでも垣間見れたのではと思っています。


 あまり皆様のお眼鏡に掛かってないかもですが、しょぼん(´・ω・`)さん的には他と同じ位好きなので、是非その良さを分かち合ってくださる方を募集してます!


 ちなみに、シャリアはよい姉御でしたね。

 さっぱりとした、しかし何処か食えない大人な性格。だけど思いやりは一人前というキャラ故に、こういう姐さんタイプのキャラって良いですね~、なんて言っていただけてましたが、個人的にも聖勇女パーティーにはない個性があってよかったと思ってます。


 と、長々と色々と語ってしましましたが、「忘れられ師の英雄譚」はこれにて無事完結です!


 皆様。

 これまで半年間お付き合い本当にありがとうございました!







 ……という終わりでいいのかというお話になるわけですが。


 コメントでもちらっと言われてましたね。


「カズトの出生の話は何故出てきたんだろう?」


 なんてお話が。


 カズトは古の勇者と聖女の子。

 ディアはそんな彼の両親を知っているかもしれない存在である。


 勿論、この話があったからこそ、第一巻で彼は聖剣を手にできたのかもしれませんが、何でこんな話が急に出てきたんでしょうか。


 勿論それだけじゃないです。

 そもそもカズトはまだ忘れられ師ロスト・ネーマーです。

 呪いを解いて、本当の幸せになった訳ではありません。


 何より折角ロミナ達とパーティーを組んだのに、作品で描かれた彼女達とパーティーを組んでの戦いはまさかの魔王戦のみ。

 しかも、最後は冒険の一つすらまともにしていません。


 一巻こそミコラ達と旅をしましたが、ロミナやキュリアはいませんでしたし。

 二巻の封神ほうしんの島はほとんどクエストのノリで、何よりカルドとしての立ち位置でした。

 そして三巻でやっと旅立つ訳ですが、そこでお話は終わっています。

 アンナだって聖勇女パーティーに加わったのに、活躍すらしてないんですよね。

(ヒロイン的な活躍は多かったですけど……)


 まあ、そういうやり残した事も多いという意味では、沢山の未来がそこにはあってもいいように感じますよね。


 ──正直な所、忘れられなくなった忘れられ師ロスト・ネーマーの物語ってどうなんだろう? というのはあります。

 勿論、独自性ある世界観だったり、能力だったりもありますけど、皆様がただの冒険を見たいのか? という点は正直気になっています。


 とはいえ、はっきりとはしておこうと思います。

 今回はこの時点(実は後書きもフライングで書いています)で、まだ構想しかありません。

 ですので、必然的にすぐ、とは言いにくいです。


 ただ、折角の作品。

 キャラを好きと言ってくれる方々もいます。

 英雄譚は、カズトとロミナ達の再会の物語でしたので、色々と辛いことも多かった。

 だけど、皆と共に歩む冒険なら、きっと今まで以上にちゃんと冒険者となって旅ができるかもしれませんよね。


 ということで。

 以前の後書き(覚えている方いらっしゃるかな?)でもちらっと話をしましたが、できれば新作「忘れられ師の冒険譚」を書いてみたいな、とは思っています。


 理想はカクヨムコン7やHJ文庫大賞2021後期の期間中に連載できれば、なんて思いますが、最近仕事もプライベートもやや多忙なのもあり、確約はできません。

 ただ、もし「連載始まったら読みたいに決まってる!」という方がいらっしゃれば、しばしお時間をいただけたら幸いです。

 ユーザーフォローなんてしておいていただけると、連載開始時に来づけるかもしれませんので、よろしければ活用頂けたらと思います。


 なお、英雄譚としての本作はこれで完結ですが、カクヨムコン7にも折角なので参加はしてみたいと思います。(完結作品は正直不利なんですけどね……)

 よろしければ、その時には本作も応援していただけたら嬉しいなと思います。

 勿論、何時でも応援や評価、レビューはお待ちしていますし、折角だし読み返す! という方も大歓迎です。作者が泣いて喜びますよ!


 ……さて。

 本当に長くなってしまいましたが、これにて後書きも含めて終了です。

 皆様、本作品に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


 最後はカズト達との再会を夢見る方の為に、本作は第三巻最後の言葉を以って、締めさせていただきたいと思います。

(そういえば、これが二つのFinに掛けていると気づいて下さった方、当時どれだけいたでしょうか?)


 ここまで読んでくださった方々が、絆を信じ、未来を信じ、彼らの物語を待ってくださったらと思いつつ。

 また、何時かお会いしましょう!




『絆を諦めれば、物語はFinale終わり

    絆を信じれば、Future in Next未来は紡がれる




『……あなたは……絆を、信じますか?』





              2021.11.12

           しょぼん(´・ω・`) 



〜追伸〜


2022年1月4日より、続編「忘れられ師の冒険譚 〜聖勇女パーティーに戻れた男は、記憶に残れるよう彼女達と夢を追う〜」が始まりました!

 本作の未来が気になった方は是非、こちらもお付き合い頂けたら幸いです!


https://kakuyomu.jp/works/16816700428626953714

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