ライジングサンズよ永遠に

なっかのう

第1話「四国の太陽、昇る」

2030年、日本プロ野球は3リーグ制となり、新リーグ「エポックリーグ」には、京都、静岡、新潟、宮崎、茨城、そして四国に新球団が作られた。



 1950年に2リーグ制になって以来の出来事で、日本の中でも特に新しいチームが作られた地域は大盛況だった。



 しかし、ネット上では「5チームだと日本一になりやすくてズルくないか?」、「新しい球団、リーグができたら日本プロ野球のレベルが低くなる」などのアンチコメントが溢れていた。



 そんな逆風の中、四国で初めてとなる球団・四国中央ライジングサンズが5年目にして四国のみならず、日本中で大きな話題となった。


その理由の一つとして、球界のレジェンド、塚本邦洋(つかもとくにひろ)が監督として名乗り上げたからである。


彼は2010年代の日本球界をリードした頭脳派ながら強打が魅力のキャッチャーで、実働10年で通算打率は3割を超えそのカリスマ性からメディアの露出も多くまさに「スター」であった。


日本各地からメディアが集まる中、2035年の四国中央ライジングサンズの球団会見が始まった。


「この度、四国中央ライジングサンズの監督となりました。塚本邦洋です。四国の皆さん、このチームを絶対に優勝させて見せます!」


監督の挨拶終了後、キャプテンである田中次郎(たなかじろう)にマイクが渡った。


「この度、四国中央ライジングサンズのキャプテンを務めます。田中次郎です。チームの顔として、恥のないプレーで四国中を沸かせます!」


「四国中を沸かせます」


この一言が、次の日のスポーツ新聞で表紙になった。



 そして始まった2035年の開幕戦、今年で完成5年目を迎えるライジングサンズのホーム球場「四国スタジアム」にはビジター席まで超満員が詰めかけた。


「四国中央ライジングサンズのスターティングメンバーを発表します!」



「1番、センター、中島泰史(なかしまたいし)!背番号1!」



快速のスイッチヒッター、中島泰史。元々アマチュアだったライジングサンズ時代から所属していた。プレイスタイルはどちらかというと守備型で、華麗な守備でスタンドを沸かせる、イケメン外野手。



「2番、ライト、宮川勝男(みやがわかつお)!背番号23!」



強肩が売りのユーティリティプレイヤーで、主に右翼、二塁を守っている。アマチュア時代最終年に加入した2年目。打撃には難ありだが、守備に高いポテンシャルを持つ。



「3番、レフト、フェイスフル!背番号8!」



今年新加入した助っ人外国人で、圧倒的なパワーを誇り、とても勝負強いという評判だ。とても明るい性格で、チームのムードメーカーにもなり得そうだ。クリーンナップとして打線を引っ張れるか。



「4番、セカンド、田中次郎(たなかじろう)!背番号00!」



1番中堅の中島とともにライジングサンズの最初期から所属していて、今シーズンはこのチームのキャプテンを務める。走・攻・守全ての能力が高く、チームでも慕われている。チームの精神的支柱であり4番、四国中央を代表する打者である。



「5番、ショート、藤城陽平(ふじきようへい)!背番号6!」



今年のドラフト1位で入ってきたスーパールーキー。高いミート力と、高い守備力を持つ、いわばアヘ単タイプ。少々粗く走塁面こそ課題だが、将来の四国を担う星とされている。



「6番、ファースト、市野隆介(いちのりゅうすけ)!背番号32」



長打力が売りの内野手で、3年目ながら昨年は全試合に出ている。守備は主に、一塁三塁。特に守備がうまいわけではないが、今年は3割20本を目標にしているらしい。



「7番、キャッチャー、大須賀大地(おおすかだいち)!背番号10!」



チームの精神的支柱、チーム最初期からマスクをかぶっているベテランの捕手。特別なにか突出している能力はないものの、そのプレイスタイルからいぶし銀とよく言われている。



「8番、サード、隅田賢治(すみだけんじ)!背番号44!」



チームを陰ながら支える内野手。チームでは努力家として慕われており、応援歌が「はるのうららの〜」から始まることでファンからよく認知されている。



「9番、ピッチャー、赤羽太輔(あかばねたいすけ)!背番号18!」



四国が誇る大エース。よく落ちるフォークを主体としたピッチングの右の本格派で、昨年度の防御率は1.20。圧巻のピッチングで敵を寄せ付けなかった。



四国中央ナインが守備についた瞬間、割れんばかりの大歓声が四国スタジアム、いや、四国中に響き渡った。



そして中継で塚本監督率いるライジングサンズを、四国中の野球少年たちが一眼見ようとテレビに夢中になっている。



「さあ、大歓声の中始まろうとしているエ・リーグ開幕戦。新規参入した四国中央ライジングサンズはここ四国スタジアムに昨年王者宮崎フェニックスを迎え入れての一戦です。」



果たして、四国初白星をあげることはできるのか......

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