第10話 オセロと質問


 うーん……。

 俺はここでどうすれば良いんだか。

 まずまず俺にコミュ力がなさすぎが問題だな……。

 あまりにも話が弾まない。

 こういう返し方すれば良かったってあとになって思う時点でだめなんだよな……。


 そう思っていると花恋がオセロ盤を持ちだした。

 そして花恋がこの雰囲気の中、口を開く。


「あのさ。このままじゃなんかあれだから、オセロでもやらない?」


 それは嬉しい誘いだな。

 俺もトランプとか持ってこれば良かったなと思ってたし。

 それにオセロ自体面白いし。


「それはいいな。やるか」


 その言葉を花恋は聞くとテーブルにオセロ盤を置いた。そしてオセロを手に取り並べていく。


「零くんは黒と白どっちがいい?」


 花恋は黒と白を交互に上げながら質問する。


「うーむ……黒で」

「わかった! じゃあ私は白ね」


 そう言うと花恋はオセロを片手に掴み、白面を見た。それを見た俺もオセロ盤からオセロを取り花恋に話しかけた。


「それじゃ、先行後攻どっちがいい?」

「うーむ……どっちかというと、私は後攻の方が良いかな……」

「それじゃ俺は先行で」


 そう言うと片手にあったオセロをオセロ盤におく。


「あ、せっかくだからオセロやっている間は質問しあうみたいのやらない?」

「……ん? どうゆうこと?」

「オセロやってる最中だと無言になっちゃうかもしれないからさ。それにあんまりお互いのことしらないし……」


 あ、そういうことか。

 それなら無言になってんのも嫌だしいいかもな。

 しかし質問なんて思いつきもしないけど……。

 なんでいきなり友達になろうと言ったのか、何故あの日屋上に呼ぼうとしたのか、などは思いつくんだが、あまり本人が言いたくない感じがするから言いづらい。


 まぁ別に質問される方は答えを言えばいいだけだから楽でいいんだけど……。


「そういうことならいいよ」

「ほんとに? それじゃあ、質問していくよ!」


 そう言いながらオセロを置く。オセロを置き終わると目線が上がり、俺の顔をじっと上目遣いで見つめた。

 それに気づくと俺はオセロ盤に視点をずらし、すぐにオセロを置いた。


 なぜじっと見つめられるんだ……?

 まぁじっとされるだけなら良いんだが、なんかちょっと……。


 そう思ってると花恋の口が開いた。


「質問なんだけど好きなタイプってなに?」


 まじか……。

 こういうけいね?

 まぁなんとなくわかってはいたけど……。


 恋愛けいとかあんまり考えたことがないから答えづらい。

 よーく考えると次の質問も流れ的に恋愛系の可能性が高いな。


 しかし好きなタイプか……。


「清潔感がある人がタイプかな?」


 俺は首を傾けながら答えた。


「そうなんだ! じゃあ私って清潔感あると思う?」

「……ん? いやバリバリ清潔感あると思うよ」

「ほんとに!?」


 花恋の答えに対して首を縦に振る。

 そうすると徐々にニヤニヤした顔になっていった。


「それじゃもう一つ質問するね! いま好きな人いる?」

「……うーむ」


 なんかね。

 俺、思うんだけどこう言う質問ばっかされるとほかの男子だったら勘違いするよな……。

 それで勘違いして告白してる人も多いんじゃないかっていう考察が浮かんでる。


 でも俺の場合は自分の立場がわかっているから、ないことはわかるんだけど。


「零くんどうしたの?」

「今考えてるだけよ」


 まぁそれは一回置いといて、好きな人はいません。

 いたら片思いのままで終わるからって言うのが理由だね。


「好きな人はいないよ」

「なるほどね……いないんだ!」


 そうすると花恋はなんとも言えない顔でくすくすと笑った。









 






















































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る