合宿 合宿 いい知らせ
その後、文化棟に行くとケンキチさんの他に、ニッシーと菅原さんがいた。ケンキチさんはパソコンを借りて何やら作業していた。
「いーい、お知らせだぞ」
ニッシーが広瀬くんを見て言った。ケンキチさんと菅原さんは、一緒にパソコン画面を見ていた。
「工学部の沢崎教授、いるだろ?」
「あ、はい。さっき、園山先生に言って来ましたよ」
「あ、どうだった?」
「結構反応よかったよね」
私はそう言って広瀬くんを見た。彼は二回ほど高速で首を縦に振った。つづけてケンキチさんに、サークル名簿更新の話をしたら、案の定忘れていたそうだ。
「園山先生も、イベントごと好きだからなあー。で、沢崎教授に連絡取って、その話してみたら、なんとなんと。連れてってくれるそうだ」
「何に?」
「えっとですね」菅原さんが代わりに答える。
「沢崎教授はゼミ合宿を毎年やってるんですよ。その行先が上富良野なんです」
「え? まじで? ひょっとすると、ひょっとして?」
私は期待が流れ出ないように、右手の指をを口元に当てながら、二人のいる机に近付いた。頭の中には無条件にラベンダーが香る。
「それで、ちょうどいいから沢崎ゼミと宇宙研究部で合同合宿しないかって言ってくれてます」
「まじで?」
私の驚きに満足したのか、ケンキチさんが大袈裟に頷いた。それを横目で見ながら、私も沢崎教授から届いたメールを確認する。
『お世話様。沢崎です。北出くんのサークル、活動していたのですね。天体観測にいくのなら、ちょうど私のゼミで合宿に行くので、一緒にどうですか?上富良野の宿泊施設を借りて、天文台にもいきますよ。スポンサーの先生と相談して、決めてくださいね。詳細を送ります。ただ、夜通し観測するために必要な道具やもちもの(シュラフ等)は、各自用意してください。当日バーベキューをする予定もあり、みなさんも参加するのであれば(しますよね?)参加費等かかります。詳しくは詳細で』
私は顔を上げて広瀬くんを見た。その時の私の顔も、たぶん彼と同じくらい笑顔だったと思う。
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