俺と彼女の温泉同好会
水無風
第1話
4月。それは出会いの季節。もう葉桜になった桜並木を通り抜け、俺、渡瀬紘幸は今日からこの桜木高校に入学する。桜木高校は進学校に指定されているものの、ギリギリ進学校と名乗ってるレベルの高校だ。
入学式が終わり、その後は特にすることもないので、俺は帰り支度を済ませ、家に帰ろうと教室から廊下に出た時だった。目の前に少し小柄な、先輩だと思われる女子生徒が立っていた。俺がサッと避けようとすると、彼女は
「あの!温泉同好会に入りませんか?」
と言った。フツーに部活の勧誘だった。俺は知らぬ間に彼女に見惚れていたらしい。彼女に大丈夫?と言われるまでボーっとしていて、咄嗟に
「わかりました」
と答えてしまった。そうすると、彼女は
「ほんと!?」
と本当に嬉しそうな顔をして、
「じゃあ明日の放課後に視聴覚室でね」
と言って、少し長めのポニーテールを揺らして歩いて行った。この出会いが、俺の学生生活を良くも悪くも全く違うものに変えたのだった。
俺と彼女の温泉同好会 水無風 @minakazee
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