第33話 Take the devil 18



ライザたちはサイゼン城が一望出来るところまで歩みを進めた。


「ライザ様! ここまで来れば問題ないかと思います」


「そうね。辺りには何も気配は感じられません」


ライザたちは追っ手が来ないことを確認し、一息つこうとしたとき。


ドッカーーン!! 


凄まじい爆音がサイゼン城の方から聞こえ振り返ると、最も巨大な塔が吹き飛んだ。


ドッカーン!


次は二つ目に大きな塔が崩れ落ちた。


ドッコーーーン!

ドッカーーン!


今度は連続して爆音が響く。

四方に聳え立っていたサイゼン城の象徴ともいえる塔のすべてが崩れ去った。


さらにドン! ドン!! ドドーン! ドッカン! バッコーーン! ダダン! ダガン! チュドーーン!


あらゆる爆発音が響き、時々地面まで揺らす。

そして最後に巨大な火柱が上がった。

その火柱の大きさはかなりの距離が離れているライザたちのところでもはっきりと視認で来た。


「なにあの魔法? あんなの見た事が無い!! サイサリーは知っている?」


「いえ!私もあれほど破壊力のある魔法は見たことがありません。

 あの悪魔が放ったのでしょうか?」


「シロかもしれない」


「え? ライザ様! あの男は剣士では無いのですか?」


「剣士とは言っていなかったわ。シロのマジックバッグは魔法を出し入れ出来るらしいの」


「な!なんと!! そのようなマジックバッグは聞いたことございません。

 アヤツの持っている装備のすべてが尋常ならざるアイテムですね。

 このローブもサイズが大きくなったり、ヒール唱えたり・・・そう、空を飛ぶ力を付与してくれました。

 私も初め空を飛びましたよ」


「シロは凄いでしょ。さしずめアイテム・マスターよね。そんな職業あるかどうか知らないけど。

 そうそう。料理が凄くおいしいの!! 食べたことが無い料理ばかりで驚いちゃった」


ペンザはライザの明るい話しぶりに驚いていた。それはサイサリーも同じであった。

父である魔王ヘルザイムを亡くしたはずなのに、無理に明るく振舞っているのか、それとも・・・・・






「あーー畜生!10回くらい殺されたぜ! デブーやガーリみたいに上手く戦えねーな!

 修行が足りないか!」


「乱戦での戦い方は難しいッすからね。少数同士の戦い方と敵のいなし方が丸っきり異なりやすからね~」


「やっぱ、ガーリ、デーブは戦い慣れてる・・・・いや、殺し慣れてるって言った方が正しそうだな」


男は太った悪魔に抱えられるようにして空を飛んでいた。


「俺たちも久しぶりに大暴れできたんでスッキリしましたよ!

 いいですね。加減せずに暴れるのは」


「お前たちもすっきりしてくれたなら幸いだけどな」


と痩せた悪魔ガーリのほうを向きながら話した。


「でもいいんですか? 皆殺しどころか城までフッ飛ばしちゃって。

 『ほどほどに働いて楽をする』がアニキの主義じゃなかったのですか?」


「なーに、ゼンセン城が無い今、サイゼン城も破壊しておいた方がバランスが取れていいんじゃないか?

 死の商人はそういうことをして裏でこそこそ利益を上げるんだぜ!」


「うわ~~悪魔の俺たちでさえ、ドン引きですぜー!」

「ホントにそうですよ。悪魔もそんな極悪なこと考えないですよ」



「まぁ~もうここに来ることは無いだろう。3度目は無いだろう」


「そうですか? アニキの故郷では『2度あることは3度ある』って言う言葉がありませんでしたか?」


「ハハハハ。さすが博識のガーリ! 俺の世界の格言なんかよく知っているな」


男と悪魔たちの眼下でライザが手を振っっているのを発見すると側に降りていった。


「シロ! ありがとう!! シロのおかげでペンザを助けることが出来た!」


「約束だったからな。 おいペンザ! さっさとローブを寄こせ!」


「すまない。助かった。感謝する。英雄シロ・ブルーノ!」


と言うとペンザは借りていたローブを脱ぎ男に手渡した。

男はすぐにローブを着るとダブダブだったローブが男の体に合うように小さくなった。


サイサリーが男の下へ歩み寄り


「シロ・ブルーノ! ライザ様を守ってくれてありがとう。

 ペンザ卿を助けてくれたことを感謝する」


と言うと頭を深く下げた。


「ペンザ! ライザに感謝しておけ! 俺はお前がどうなろうと知ったこっちゃ無い。

 ライザが命を張ったおかげで俺は助けに来た。

 ライザへの感謝を死んでも忘れるなよ!」


男の言葉を聞くとペンザはライザの前に跪き


「ライザ様。ありがとうございます。

 残りの人生をライザ様のために捧げます」


ペンザは頭を垂れ騎士の近いたてた。


「いいのよ、ペンザ。私のことなんかよりペンザが中心になって魔属領を運営していかないといけないわ。

 頑張ってね」


と言うとペンザの手を取った。


「ライザ様の願いなれば身を粉にして働きます」


パチパチパチ

と男は手を叩いた。


「綺麗にまとまったところで、とっとと魔属領へ向かうぞ! 

 俺の仕事はサイゼン城を破壊することじゃなくてライザを魔属領まで送ることだ!!

 おら~ 行くぞ!!」


男は左の袖の下から装甲車を出すと一行は廃墟となったゼンセン城を後にした。

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