第42話 セックスするの?しないの?

結局、ユウスケと会うことになる


「早く会おうよー」

「うん…」

「今、事務所が銀座だから近くに住んでるからそこに来てもいいよ」

「え?だって、家族とか心配じゃん…」

「大丈夫。場所知らないし」

「ほんと?じゃぁ、行こうかな…。」

「うん!めっちゃ気持ちいいセックスしよーうよー」

「うん。いいんだけどさ、

あのさ…前みたいになりたくないからさ…ゴム準備しといてね〜」

「えー。俺、ゴムじゃイケないんだよねー」

「でもさ…困るの私だし…」

「分かったよー。なんとかするよー。」


って言っていたけど、何とかするってなんだろう??

ユウスケの住むマンションに到着して、迎えに来てくれた

また、少し太ったのかな?

お腹が大きくなってる

甘いカフェオレを手に持っている

あれ…甘党だっけ??

いつも知らないユウスケを見つける

私達は、それだけお互いを知らない

あまりにも知らな過ぎる

同じ時を過ごしていない証拠でもある

なのに、なんでこんなに時間が経過しても切れないんだろう

私達が出逢ったのは22歳だから…

もう、15年にもなる


「久しぶり」

「おぅ。こっち。」


部屋に入る

15年間知り合ってユウスケの部屋に入るのは2回目だ

うん。。これは、一人暮らしだね。。

ってか、暮らしじゃなくてただの寝床だな。

全く生活感無いしとてもなんか小汚い

散らかっているというより、乱雑。

トイレも風呂も一切、掃除をしていない感じが出ている。

家族も来ていないだろうし、今は家に来るような彼女もいないんだと思う。

ギターが壁に掛かっている

それを見ると淡い気持ちが蘇る


「こっちに来なよ」

「うん」

座る場所なんかほとんどなくて、ベッドがテレビの前に置いてあるだけでそこに腰を掛ける

そして、シーツも枕も何だか汚くて少し嫌だな


キスをしてくる体に触れてくる

思わず声が出てしまう


でも、それを何度か繰り返してはテレビを見て…

なんだ?なんだ?前に進まないじゃないか?!

いや、別にセックスだけをしにきたわけじゃないんだけど、

あれからラインとかでもめっちゃセックスしたいってユウスケが言ってたじゃん??

それとなく聞いてみる

「今日はセックスしないの?したくないの?」

「えー。セックスしなくたってこうやってイチャイチャしてるだけでもいいじゃん。」

「んー。私はしたいなー。」

「でも、ゴムないと駄目なんでしょ?ゴム無いもん。」

「準備して、って言ったじゃん。」

「えー買ってない。だから、こうやってでいいじゃん。お腹空いたから何か食べようよー。」


そんな風にはぐらかされてウーバーイーツで釜飯を頼む

ユウスケが支払ってくれる

そして、私もお礼のひとつを言って甘えることが出来ている自分に驚く

でも、物凄く意識している

奢ってもらうことに関してすごく緊張している

こういうのに慣れていない


結局、セックスをしないで帰る

「またね〜」

「うん…」


なんだろう。

セックスだけの関係にモヤモヤしていたけれど無かったら無かったで更にモヤモヤが残る…


こうやって、また会わなきゃいけない理由が出来てしまう

なんだよ…

ずるいな…

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